札幌で顔面神経麻痺に悩んだら、鍼灸という選択を
札幌の東洋中村はり灸院では、顔面神経麻痺に対して東洋医学の鍼灸で根本からアプローチします。
顔が動かない、目が閉じられない——突然起きた顔の変化は、日常生活だけでなく気持ちにも深く影響します。
原因不明と言われる顔面神経麻痺も、東洋医学では体全体の乱れとして捉え、改善へ導くことができます。

こんなお悩みはありませんか
- 顔の片側が動かない、または動きにくい
- 目がしっかり閉じられず、目が乾いてしまう
- 口角が下がり、飲み物がこぼれてしまう
- 額にシワを寄せようとしても動かない
- 食事中や会話のときに顔の違和感が気になる
- 病院でステロイドを処方されたが、なかなか改善しない
- 原因不明と言われ、このまま後遺症が残るのではと不安
顔面神経麻痺は、症状が顔という人目につく場所に出るため、外出を避けるようになったり、鏡を見るのがつらくなったりと、精神的な苦痛を抱える方も少なくありません。
「病院には通っているけれど、なかなか変わらない」「もう治らないのでは」と感じている方こそ、ぜひ読み進めてください。

顔面神経麻痺の症状について
顔面神経は、表情をつくる筋肉の動きを支配するだけでなく、涙や唾液の分泌、味覚にも深く関わっています。この神経が何らかの原因で麻痺すると、以下のような症状が現れます。
- 顔の片側全体、または一部が動かなくなる
- 目が閉じられないことによる乾燥・充血
- 口を動かす筋肉が働かず、よだれや飲食のしづらさが起きる
- 味覚の鈍化・消失
- 涙・唾液の減少
- 聴覚過敏、耳の痛み
また、適切な対処が遅れると「表情筋が十分に動かない」「口を動かすと目が一緒に閉じてしまう」といった後遺症につながるケースもあります。症状に気づいたら、早めに対処することが重要です。
ベル麻痺・ラムゼイハント症候群・中枢性——3つの違い
ひと口に顔面神経麻痺といっても、原因によっていくつかに分かれます。ご自身がどれに当たるのかを知っておくことは、これからの見通しを立てるうえで大切です。
ベル麻痺
原因が特定できない末梢性の麻痺で、顔面神経麻痺の6〜7割を占めます。ある朝、突然顔が動かなくなった——という形で起こることが多く、耳の後ろの痛みが前触れになることもあります。単純ヘルペスウイルスの再活性化が関わっているとも言われますが、はっきりとは分かっていません。
ラムゼイハント症候群
水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活動することで起こる麻痺です。耳のまわりの水ぶくれ・強い耳の痛み・難聴・めまい・耳鳴りを伴うことが多いのが特徴です。ベル麻痺に比べて麻痺の程度が重くなりやすく、後遺症が残りやすいとされています。それだけに、早い段階から体全体を整えていく意味が大きくなります。
中枢性顔面神経麻痺
脳梗塞・脳出血・脳腫瘍など、脳の側に原因がある麻痺です。見分ける手がかりのひとつが額のシワで、中枢性の場合は麻痺した側でも額にシワを寄せられることが多いとされています。手足のしびれ・ろれつが回らない・激しい頭痛などを伴う場合は、ためらわずに救急へご連絡ください。急を要する状態のことがあります。
当院にご相談いただくのは、主にベル麻痺とラムゼイハント症候群の方、そしてこれらの後遺症でお困りの方です。まずは医療機関で原因をはっきりさせたうえで、鍼灸を組み合わせていくのが安心です。

なぜ薬と顔への刺激では変わりにくいのか
薬は炎症を抑えますが、「なぜ弱ったのか」には触れません
顔面神経麻痺の6〜7割は、病院で原因を特定できない「ベル麻痺」に分類されます。原因が特定できない以上、西洋医学の対応はステロイド剤・抗ウイルス薬・ビタミン剤で炎症を抑える対症療法にならざるを得ません。軽度であれば1か月前後で動きが戻る方もいますし、急性期に炎症を抑えることには意味があります。
ただ、薬が合わない方、長引いてしまった方には、十分な変化が出ないことがあります。そしてなにより、薬で炎症を抑えても「なぜその人の顔面神経が、炎症を起こすほど弱った状態に置かれていたのか」という問いは、手つかずのまま残ります。同じウイルスを持っていても、発症する人としない人がいます。その差を決めているのは、ウイルスの側ではなく、体の側です。
顔に電気・鍼・マッサージが効きにくい理由
多くの方が通るもうひとつの道が、「顔に電気を流す」「顔に鍼を打つ」「顔をマッサージする」というアプローチです。動かない場所を動かそうとするのは、感覚としてはとても自然です。それでも変化が出にくいのには、東洋医学からみるとはっきりした理由があります。
顔面神経麻痺は、顔の病気ではありません。体全体の機能低下が、顔という出口に現れた症状です。滞っているのは確かに顔ですが、滞らせている原因は上流にあります。気血をつくる力の低下、体表のバリア(衛気)の弱まり、肝の疏泄作用の低下、全身の凝り——どれも顔より手前にあるものです。
詰まった川の下流をいくらかき回しても、上流の水量が戻らなければ流れは変わりません。顔面に直接刺激を与えることは、この下流をかき回す行為にあたります。水を増やすべきは、もっと上です。
「顔以外の不調」こそが、体の状態を語っています
顔面神経麻痺でご来院される方のお体全体を確認させていただくと、ほとんどの場合、顔以外にもいくつもの不調を抱えていらっしゃいます。生理不順、肌荒れ、花粉症、腱鞘炎、季節の変わり目の体調不良——病院ではこれらが耳鼻科・皮膚科・婦人科・整形外科とバラバラの科に振り分けられ、誰も全体をつなげて見ることがありません。
しかし東洋医学から見れば、その複数の不調こそが「この人の体が今どういう状態にあるか」を語る手がかりです。顔に触れずに顔面神経麻痺へ働きかけられるのは、この全体像を土台にして、手足や背中の経絡から上流を開いていくからです。

東洋医学から見た顔面神経麻痺の原因
東洋医学では、今から2000年以上前の中国の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」に、すでに顔面神経麻痺にあたる症状と、その対処法が記されています。当時から顔面神経麻痺は「顔だけの問題」ではなく、体全体の乱れが顔に現れたものとして捉えられてきました。
東洋医学では、体内を「気・血・水」が経絡(けいらく)という通り道を流れることで、人は健康を保つと考えます。顔面には、手の陽明大腸経・足の陽明胃経という2本の大きな経絡が通っています。この流れのどこかに滞りや不足が生じ、顔面まで気血が届かなくなったとき、表情筋を動かす働きが失われます。
発症の背景にある3つの要因
- 体力・気血の低下――疲労・睡眠不足・過労・強いストレスが続くと、体をつくり動かす気血そのものが不足します。届けたくても、届けるものがない状態です。
- 体表のバリア(衛気)の弱まり――体表を覆う防衛力を東洋医学では「衛気(えき)」と呼びます。疲労が重なると衛気は薄くなり、ウェットスーツに穴が開いたように、外からの邪が入り込みやすくなります。
- 体全体の凝り・気血の滞り――冷え・運動不足・長時間の同じ姿勢によって経絡の流れが停滞します。「不通即痛、通即不痛」——めぐりが滞れば不調が生じ、通れば不調は去る。これは東洋医学の基本原則です。
そして、この3つと深く関わるのが五臓のひとつ「肝(かん)」の働きです。肝には「疏泄(そせつ)作用」といって、気血を全身にくまなく行き渡らせる機能があります。この働きが落ちると、頭部・顔面を巡る経絡に滞りが生まれます。さらに東洋医学では肝は筋(すじ)をつかさどると考えるため、表情筋のこわばりや動きにくさとも直結します。
顔面神経麻痺は、これらの要因がひとつだけで起きることは稀です。多くの場合、「疲れが溜まって衛気が薄くなっていたところに、冷えと風があたった」というように、いくつかが重なったところで発症します。次の章では、どの要因が主になっているかを、ご自身で見当をつけられる形に整理します。

東洋医学から見た顔面神経麻痺の4つのタイプ
同じ「顔が動かない」でも、その背景にある体の状態は人によって違います。東洋医学では、体質と発症の経緯からタイプを見分け、それぞれに合わせて組み立てを変えていきます。ご自身がどれに近いか、当てはまる項目を数えながら読んでみてください。ひとつに決まらず、2つが重なっている方も少なくありません。
1. 風寒外襲(ふうかんがいしゅう)タイプ ― 冷えと風にあたって突然きた
- 寒い日・強い風にあたった翌朝、または冷えた場所で寝た翌朝に突然発症した
- 発症の前後に、耳の後ろからうなじのあたりが痛んだ・こわばった
- もともと冷え性で、手足や背中が冷えやすい
- 風邪をひきやすく、季節の変わり目に必ず体調を崩す
- 肩・首・背中が全体的に硬く、こわばりやすい
なぜそうなるのか。疲労・睡眠不足・過労が続くと、体表を覆うバリアである衛気(えき)が薄くなります。そこへ「風寒の邪(ふうかんのじゃ)」——冷たい風のような外からの邪気——が入り込み、顔面を走る経絡に居座ると、気血の流れが妨げられ、表情筋を動かす働きが届かなくなります。札幌でもっとも多いのが、このタイプです。
どうアプローチするか。衛気を立て直し、経絡に入り込んだ寒さを追い出すことを主眼にします。風門・大椎など「風の邪の入り口」とされる背部のツボと、体を温める陽の気を補うツボにお灸を用い、体表のバリアそのものを厚くしていきます。もちろん、顔には鍼をしません。
2. 気血不足(きけつぶそく)タイプ ― 疲れ切ったところで倒れた
- 発症前に、極度の疲労・睡眠不足・長時間労働・大きなストレスが続いていた
- 顔色がすぐれず、肌にツヤがない。目に力が入らない
- 立ちくらみ、動悸、疲れやすさがある
- 顔以外にも、生理不順・肌荒れ・花粉症・腱鞘炎など複数の不調を抱えている
- 回復がゆっくりで、夕方になると顔の重さが増す
なぜそうなるのか。顔を動かすには、気(エネルギー)と血が顔面まで十分に届いている必要があります。気血そのものが不足していれば、届けたくても届けるものがありません。夕方になると症状が重くなるのは、一日ぶんの気を使い切ってしまうからです。「顔以外にも不調が多い」というのが、このタイプのもっとも分かりやすい目印です。
どうアプローチするか。本治法で、不足している気血そのものを補います。足三里などのツボで胃腸の力を立て直し、体が自力で気血をつくれる状態を取り戻すことを最優先します。刺激は最小限にとどめます。弱った体に強い刺激を加えることは、逆効果にしかなりません。
3. 肝の疏泄低下(かんのそせつていか)タイプ ― ストレスと季節で崩れた
- 発症前に、強いストレス・怒り・緊張が続いていた
- 春先(2〜4月)や季節の変わり目に発症した、または悪化する
- 目が疲れやすい、まぶたがピクピクする、こむら返りが起きやすい
- イライラしやすい、寝つきが悪い、夜中に目が覚める
- 肩こり・頭痛・生理痛など、めぐりの悪さからくる不調が同居している
なぜそうなるのか。肝の疏泄作用——気血を全身にくまなく行き渡らせる働き——が落ちると、頭部・顔面を巡る経絡に滞りが生まれます。また肝は筋をつかさどるため、表情筋の不調とも直接に関わります。東洋医学において春は「肝」の季節であり、立春の前後に顔面神経麻痺・顔面痙攣・頭痛・寝違えが増えることは、古くから経験的に知られています。
どうアプローチするか。肝経の太衝や、背中にある肝兪・胆兪といった肝と深く関わるツボを用いて、疏泄作用を取り戻します。このタイプは「足りない」のではなく「動いていない」状態なので、補うより流すことを重視した組み立てになります。
4. 気血瘀滞(きけつおたい)タイプ ― 全身の凝りが顔に出た
- 首・肩・背中がいつもガチガチで、マッサージしてもすぐ戻る
- デスクワークや同じ姿勢が長く、運動習慣がない
- 顔の張り・こわばりが強く、とくに朝方に動きが悪い
- 顔面以外にも、頭痛・眼精疲労・耳鳴りなど頭部の症状がある
- 入浴や温めで、顔の動きが少し楽になる
なぜそうなるのか。顔は、全身の滞りがもっとも表に出やすい場所です。首・肩・背中で経絡の流れが詰まっていれば、その先にある頭部・顔面まで気血は届きません。温めると楽になるのは、熱によって一時的にめぐりが回復するからです。裏を返せば、めぐりさえ戻れば動くということでもあります。
どうアプローチするか。顔面を走る主要な経絡——手足の陽明経(大腸経・胃経)——に対し、合谷・足三里といった手足のツボから遠隔で働きかけ、頭部までの通り道を開通させます。凝っている場所そのものではなく、その上流を通す。これが東洋医学の考え方です。
当院では、初回に四診法(次章でご説明します)でお体の状態を確認し、どのタイプが主になっているかを見極めたうえで、その方に合わせた組み立てで施術を行います。同じ顔面神経麻痺でも、使うツボも刺激量もまったく異なります。

札幌の冬と顔面神経麻痺 ― この土地特有の背景
半年近く続く寒さが、衛気を削り続ける
札幌で顔面神経麻痺と向き合ううえで、避けて通れないのが「冬の長さ」です。
体表を覆うバリアである衛気(えき)は、温かいところではよく働き、寒さのなかでは鈍ります。11月から4月近くまで寒さが続く札幌では、衛気は半年ちかく消耗し続けることになります。そこへ、暖房の効いた室内から氷点下の屋外へ出るという激しい寒暖差が、毎日繰り返されます。
汗をかいたあとの除雪作業。風雪にさらされる通勤。冷えた寝室。——顔面を走る経絡に「風寒の邪」が入り込む条件が、札幌の冬にはひととおりそろっています。「寒い日に外にいた翌朝、突然顔が動かなくなった」という発症のしかたが札幌で少なくないのは、偶然ではありません。
立春前後、冬に溜め込んだものが顔に出る
もうひとつ、東洋医学が古くから重視してきたのが立春(2月4日)前後です。春は「肝」の季節にあたり、肝の疏泄作用が乱れやすくなります。冬のあいだ体の奥に溜め込まれた不調が、春の芽吹きとともに表へ出てくる時期でもあります。顔面神経麻痺・顔面痙攣・頭痛・寝違え・めまいといった症状がこの時期に増えることは、東洋医学では経験的によく知られています。
札幌は本州よりも冬が長く、体が寒さの下に置かれる期間が長いぶん、この「溜め込み」も大きくなります。雪が消えていく3月から4月にかけて、体調の崩れが顔に出る方がいらっしゃるのには、こうした背景があります。
だから、この土地では「早さ」に意味がある
雪かきによる疲労、日照時間の短さ、冬場の運動不足による全身の凝り——これらはどれも、気血のめぐりを滞らせ、衛気を薄くする方向に働きます。札幌に暮らすということは、顔面神経麻痺の背景となる条件と長く付き合うということでもあります。
だからこそ、冬に入る前から体を整えておくこと、そして発症してしまったら、できるだけ早く手を打つことに、この土地では大きな意味があります。ボヤのうちに消し止めるほど、火事は広がりません。

当院の鍼灸アプローチ
まずは四診法で、体の状態を丁寧に確認します
当院では施術の前に、東洋医学伝統の「四診法(ししんほう)」を用いてお体の状態を確認します。四診法とは、次の4つを組み合わせたものです。
- 望診(ぼうしん)――顔色・肌のツヤ・目の力・舌の状態などを目で確認する
- 聞診(ぶんしん)――声のトーン・呼吸の音などを耳で確認する
- 問診(もんしん)――発症の経緯・生活習慣・睡眠・顔以外の不調などをお伺いする
- 切診(せつしん)――脈やお腹に直接触れて、五臓のバランスを確認する
顔面神経麻痺の場合、とくに大切なのが問診です。「いつ、どんな状況で発症したか」「その前の数週間、どんな生活だったか」「顔以外にどんな不調があるか」——ここに、前章のどのタイプに当たるかを見極める手がかりがあります。顔だけを見るのではなく、体全体の状態を把握することが、改善への第一歩です。
本治法と標治法の二段階で施術します
当院の鍼灸治療は「本治法(ほんちほう)」と「標治法(ひょうちほう)」の二段階で行います。
本治法は、症状の根本原因となっている五臓の乱れを整える施術です。気血が足りていない方には補い、めぐりが滞っている方には流し、衛気が薄くなっている方には温めて厚くする。同じ顔面神経麻痺でも、タイプによって用いるツボがまったく変わります。
標治法では、本治法で整えた体の状態をより確かなものにするため、症状に関連するツボへ補助的にはり治療とお灸を行います。首・肩・背中のこわばりを緩め、顔面へ向かう通り道を確保していきます。
顔に直接鍼を刺したり、電気を流したりすることはありません。体の内側から気血の流れを回復させることで、顔面神経の働きが自然と戻ってくる——それが当院の鍼灸治療の考え方です。
当院で使用するのは髪の毛ほどの細さの鍼と、国産最高級のもぐさです。鍼はすべて滅菌済みの使い捨て(ディスポーザブル)。刺激に敏感な方や、体力が落ちている方には、皮膚に触れるだけで刺さない鍼を用いることもあります。鍼灸師が一つひとつ手でひねったお灸とあわせて、体への負担を最小限に抑えた施術をご提供しています。

顔面神経麻痺に用いる主なツボ
顔面神経麻痺に対して当院が用いるツボは、そのほとんどが手・足・背中にあります。顔から遠く離れた場所のツボが顔に届くのは、経絡という通り道が体をつないでいるからです。ここでは代表的な5つをご紹介します。
合谷(ごうこく)― 顔面へ届く、最重要のツボ
場所:手の甲側、親指の骨と人差し指の骨が合流した谷の部分。正確には真ん中ではなく、人差し指側の骨のきわにあります。反対の手の親指を当て、人差し指の骨に沿って少し上を小指の方向へ押すと、程よく響く場所です。
なぜこのツボか:顔面を走る「手の陽明大腸経」を代表するツボです。この経絡は顔・小鼻・歯・のどまで通じているため、手にありながら顔面へ遠隔で働きかけられます。顔に鍼をせずに顔の症状を動かせるのは、この経絡の仕組みによるものです。
足三里(あしさんり)― 気血をつくる土台をつくる
場所:膝のお皿の下、外側のくぼみから指4本分ほど下がった、すねの骨の外側。
なぜこのツボか:顔面を走るもう一本の主要経絡「足の陽明胃経」のツボです。合谷とあわせて、顔面への気血の通り道を上流から開きます。同時に胃腸の力を高めるツボでもあるため、気血そのものが不足している方(気血不足タイプ)の土台づくりにも欠かせません。お灸との相性がよいツボです。
太衝(たいしょう)― ストレスと春先の乱れに
場所:足の甲側、親指と人差し指の骨のあいだをかかと方向へなぞっていき、指が止まるくぼみ。
なぜこのツボか:肝経を代表するツボです。肝の疏泄作用——気血を全身にくまなく行き渡らせる働き——が落ちると、顔面を巡る経絡に滞りが生じます。ストレスや春先の不調で発症した方(肝の疏泄低下タイプ)には欠かせません。肝は筋をつかさどるため、表情筋のこわばりにも関わります。
風門(ふうもん)― 風の邪気の入り口を閉じる
場所:うなじを前に倒したとき一番出っ張る骨から、背骨を2つ下がった高さの左右、指2本分ほど外側。首の付け根のすぐ下です。
なぜこのツボか:その名のとおり「風の邪気の入り口」とされるツボです。冷えや強い風にあたった直後に発症した方(風寒外襲タイプ)に用います。ここを日頃から温めておくと衛気が保たれ、外からの邪を受けにくくなります。札幌の冬に、もっとも冷やしてはいけない場所です。
三陰交(さんいんこう)― 体を内側から温め、気血を養う
場所:内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上がった、すねの骨のきわ。
なぜこのツボか:肝・脾・腎という三つの経絡が交わるツボで、気血を養い、体を内側から温めます。冷えが強い方、疲労が抜けない方、生理不順など婦人科系の不調を併せ持つ方に用います。顔面神経麻痺は「顔だけ」の症状ではなく体全体の機能低下の表れですから、この土台のツボが要になります。
ご自宅でできること。合谷は、優しくつまむように揉む程度で十分です。風門のあたりは、蒸しタオルやカイロで温めてください。強く押す・長く押す必要はありません。弱った体に強い刺激を与えることは、かえって消耗につながります。そして、顔をマッサージしたり強く動かしたりすることは、控えていただくようお伝えしています。

改善の目安と通院ペース
顔面神経麻痺の経過は、発症からの時間・年齢・体力によって幅が出やすい症状です。そのうえで、当院がお伝えしている目安をお示しします。
週1回の通院を基本とし、6〜8回(約2か月)で改善の手応えを感じ始め、3〜4か月の継続で体質から変わってくるのが一般的な目安です。
発症から日が浅い方は、数回で顔の動きに変化を感じられることもあります。逆に、長く時間が経過している方は、そのぶん体の内側を立て直すのに時間がかかります。前者と後者で見通しは変わりますので、初回に、あなたのお体の状態に即した見通しを正直にお伝えします。無責任な期待をあおるつもりはありません。
始めるタイミングが、何よりも大きい
顔面神経麻痺は、発症からの時間が短いほど改善しやすい症状です。病院での対応と並行して、できるだけ早い段階で鍼灸治療を始めていただくことをお勧めしています。「様子を見ましょう」と言われて数か月待ってから来られる方が少なくないのですが、その数か月は、体にとって決して小さくありません。
手術を検討されている方へ
顔面神経減荷術などの外科手術を受けたあとは、その部位が引っ張って固定された状態になります。固定された部分は動かしようがないため、鍼灸で働きかけられる余地が減ってしまいます。
手術は取り返しがつかない面があります。だからこそ、手術を勧められている段階の方にこそ、その前に東洋医学の鍼灸を試していただきたいとお伝えしています。他の選択肢を試したうえで、最終判断をされることをお勧めします。
顔面神経麻痺の後遺症でお困りの方へ
顔の動きはある程度戻ったけれど、以前とは違う——。そんな状態のまま、何年も過ごしてこられた方が当院にはいらっしゃいます。麻痺そのものより、この後遺症のほうがつらい、とおっしゃる方も少なくありません。
後遺症として現れやすい4つの状態
顔面神経は、一度傷ついたあと再生していく過程で、本来つながるべき筋肉とは違う場所につながってしまうことがあります。これが後遺症の正体です。
- 病的共同運動——口を動かすと目が閉じてしまう、目を閉じると口角が上がってしまう。「食事のたびに目が閉じる」「笑うと片目が細くなる」という形で現れます。後遺症のなかで最も多く見られます。
- 顔面拘縮——麻痺した側の顔がこわばり、突っ張ったように固くなります。頬や口元が引きつり、何もしていなくても頬の筋肉が緊張したままになります。一見「治ったように見える」ため、周囲に理解されにくいつらさがあります。
- ワニの涙(味覚性流涙)——食事をすると、麻痺した側の目から涙が出ます。唾液を出すはずの神経が涙腺につながってしまうために起こります。
- 顔面けいれん——まぶたや口元がピクピクと勝手に動きます。疲れやストレスが重なると強く出やすくなります。
後遺症を、東洋医学ではこう捉えます
後遺症が固定してしまう背景には、気血の不足があると考えます。傷んだ神経と筋肉を作り直すには、材料となる気血が十分に届いていなければなりません。ところが発症から時間が経つほど、麻痺した側の巡りは滞り、筋肉はこわばり、気血はますます届きにくくなります。この悪循環が、後遺症を固めていきます。
ですから当院では、こわばった顔を外から無理に動かそうとはしません。気血をつくる土台(脾胃)を立て直し、滞った巡りを通すことから始めます。顔だけを刺激しても、届ける材料そのものが足りていなければ変わりようがないためです。
正直にお伝えしておきたいこと。発症から年月が経った後遺症は、発症直後の麻痺に比べて、変化に時間がかかります。完全に元通りになるとお約束できるものではありません。それでも、こわばりがゆるみ、引きつりが軽くなり、表情が動かしやすくなる方はいらっしゃいます。まずはお身体の状態を確認したうえで、どこまでを目指せそうかを正直にお話しします。
後遺症のある方が避けたほうがよいこと
後遺症が出ている段階で、顔の筋肉を強く動かす訓練や、顔への強い電気刺激・マッサージは避けてください。動かそうとするほど、間違ってつながった神経の回路が強化され、病的共同運動やこわばりがかえって固定してしまうことがあるためです。「早く戻したい」という気持ちから顔を鍛えてしまい、症状を複雑にしてしまう方が少なくありません。

よくあるご質問
Q. 顔に鍼を刺さないのに、なぜ顔面神経麻痺が改善するのですか?
顔面神経麻痺は顔の病気ではなく、体全体の機能低下が顔に現れた症状だと東洋医学では考えます。顔には「手足の陽明経(大腸経・胃経)」という経絡が通っており、この経絡は手や足のツボとつながっています。手の合谷、足の足三里といったツボから気血のめぐりを整えることで、顔面を走る経絡の流れが回復していきます。これを遠隔からのアプローチと呼びます。顔に電気を流したり顔をマッサージしたりしても変わらなかった方が、体を整えることで動きを取り戻していかれるのは、原因が顔の表面ではなく体の内側にあるからです。
Q. 病院でステロイドを処方されています。鍼灸と併用できますか?
はい、併用していただけます。当院のはり治療は薬を一切使いませんので、病院の処方薬と並行してご利用いただけます。急性期にステロイドで炎症を抑えつつ、その裏側で体そのものを立て直していく——この組み合わせは理にかなっています。服用中のお薬については、初回のカウンセリングで必ずお聞かせください。
Q. 発症してすぐですが、鍼灸はいつから始めるのが良いですか?
早ければ早いほど良いです。顔面神経麻痺は発症からの時間が短いほど改善しやすい症状です。病院での対応と並行して、できるだけ早い段階で始めていただくことをお勧めします。発症から日が浅い方ほど、数回で顔の動きに変化を感じられることが多くあります。
Q. 発症から何か月も経っています。今からでも間に合いますか?
はい、対応しています。時間が経過した方は、そのぶん体の内側の立て直しに時間がかかりますが、気血のめぐりを整えることで残っている症状が楽になっていく方は多くいらっしゃいます。「もう遅い」と決めてしまう前に、一度お体の状態を確認させてください。
Q. 病的共同運動(口を動かすと目が閉じてしまう)などの後遺症が残っています。施術できますか?
はい、ご相談ください。後遺症が残っている状態でも、体の内側から気血のめぐりを整えていくことで、こわばりや動きにくさが緩和していくことが見込まれます。ただし後遺症は、発症直後の状態に比べて時間を要します。現在の状態を確認したうえで、どのくらいの見通しになるかを正直にお伝えします。
Q. 手術を勧められています。鍼灸を試す余地はありますか?
あります。手術は、引っ張って固定するという処置の性質上、その部分を動きにくくします。固定されたあとでは鍼灸で働きかけられる余地が減ってしまうため、手術を検討されている方こそ、その前に東洋医学の鍼灸を試していただきたいとお伝えしています。
Q. どのくらいの期間・回数で変化を感じられますか?
週1回の通院を基本とし、6〜8回(約2か月)で改善の手応えを感じ始め、3〜4か月の継続で体質から変わってくるのが一般的な目安です。ただし顔面神経麻痺は、発症からの時間・年齢・体力によって経過に幅が出やすい症状です。発症間もない方は数回で変化を感じられることもありますし、長期化している方はより時間を要します。初回に、あなたの状態に即した見通しをお伝えします。
Q. 再発が心配です。冬の札幌で気をつけることはありますか?
体表のバリア(衛気)が弱ったところに冷えと風が入り込むことが、発症の大きな引き金になります。札幌の冬は、暖房の効いた室内と氷点下の屋外を毎日行き来するため、この条件がそろいやすい環境です。うなじの下(風門のあたり)を冷やさないこと、首元を覆うこと、雪かきで汗をかいたあとにそのまま冷やさないこと、湯船にしっかり浸かること——この4つを意識してください。当院では体質そのものを整えていくため、続けていただくことで邪を受けにくい体に変わっていきます。ただし、過労・強い冷え・大きなストレスが重なれば、再発の可能性はゼロとは言えません。
Q. ラムゼイハント症候群と診断されました。ベル麻痺より重いと言われましたが、鍼灸は受けられますか?
A. 受けていただけます。ラムゼイハント症候群は、水痘・帯状疱疹ウイルスが関わる麻痺で、耳の水ぶくれや難聴・めまいを伴い、麻痺の程度も重くなりやすいのは事実です。ただ、東洋医学から見れば「ウイルスが暴れ出すほど、体を守る力が落ちていた」という状態です。抗ウイルス薬でウイルスを抑えることと、落ちた体力そのものを立て直すことは、役割が違います。病院での対応と並行して、早い段階から体全体を整えていく意味は大きいと考えています。
Q. 顔の筋肉を動かすリハビリやマッサージをしたほうがよいですか?
A. 麻痺が残っている段階、とくに後遺症が出はじめている段階では、顔を強く動かす訓練や強い電気刺激・マッサージはお勧めしません。動かそうとするほど、間違ってつながった神経の回路が強化され、口を動かすと目が閉じる(病的共同運動)といった症状や、顔のこわばりがかえって固定してしまうことがあるためです。「早く戻したい」という一心で顔を鍛え、症状を複雑にしてしまう方が少なくありません。何をどこまでやってよいかは、お身体の状態を確認したうえでご説明します。
Q. 北海道・札幌以外から通うことはできますか?
A. 通っていただけます。当院には札幌市内だけでなく、近郊からお越しになる方もいらっしゃいます。ただ顔面神経麻痺は、発症からの時間が短いほど変化を得やすい症状です。遠方で頻繁な通院が難しい場合は、まずLINEでご相談ください。通院ペースを含めて、現実的にどう進められるかをお話しします。

顔面神経麻痺でお悩みなら、札幌の東洋中村はり灸院へ
「病院で原因不明と言われた」「ステロイドを飲んでも変わらない」——そんな方ほど、東洋医学の鍼灸が力を発揮できる症状です。顔面神経麻痺は、体全体の気血の巡りを整えることで改善へ向かいます。諦めないでください。
当院では、国家資格を持つ鍼灸師が四診法に基づいた丁寧なカウンセリングを行い、お一人おひとりの体の状態に合わせた施術をご提供します。まずはお気軽にご相談ください。
札幌で顔面神経麻痺の鍼灸をお探しの方、LINEからいつでもご相談・ご予約いただけます。お気軽にメッセージをお送りください。

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院長プロフィール

中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、腰痛、肩こりをはじめ、坐骨神経痛・生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
