子宮筋腫に伴う不調とお身体の巡り:
東洋医学的な視点による調整
東洋医学では、子宮筋腫の背景にお身体の巡りが滞った「瘀血(おけつ)」という状態があると考えます。
お腹の深部を穏やかに温め、滞った流れを促すことで、生理痛や経血量の多さといったご負担が軽くなる場合があります。
西洋医学的な管理と並行しながら、例えるなら、冷えて固まった土を陽光でほぐし、水の通り道を整えるように、お身体の土台を整えていくことを大切にしています。

本ページの内容:子宮筋腫とお身体の巡りについて
お身体の状態を見つめ、巡りの滞りを和らげることで、日々の負担を軽減していくための視点を整理いたしました。

子宮筋腫の概要とお身体の巡り:
東洋医学的な視点
子宮筋腫は、子宮の筋肉に生じる良性の組織です。東洋医学では、これを一時的な反応ではなく、お身体の巡りが緩やかになり、特定の場所に「滞り」が積み重なったサインとして受け止めます。
例えるなら、スムーズに流れていた川の底に、長い年月をかけて砂や泥が溜まり、一つの固まりとなった状態と考えることもできます。
お身体の背景:巡りの重要性
- 多くの女性にみられる一般的な状態ではありますが、その背景には、お身体の内側で巡りが滞りやすい環境があると考えられます。
- ホルモンバランスの変化も、単独の現象ではなく、全身の巡りや調整機能の偏りとつながっている場合があります。
- 良性のものであるからこそ、今起きている痛みや不調に目を向け、お身体全体のバランスを整えていく視点が大切になります。
現れやすいお悩み:滞りによる反応
- 生理痛や、下腹部に感じる独特の重だるさは、巡りが阻害されている場所で起きる自然な反応の一つと考えられます。
- 経血量の変化による疲れやすさ(貧血)や、将来への不安についても、お身体の巡りを促すことで、日々の負担が和らぐ場合があります。
- 西洋医学による経過観察やお薬での対応を継続しながら、東洋医学で巡りの土台を整えていくことは、穏やかな日常を取り戻すための一つの選択肢となります。

西洋医学と東洋医学の捉え方:
組織の「状態」と巡りの「機能」について
子宮筋腫に対するアプローチは、お身体のどの部分に主眼を置くかによって、それぞれの医学で異なる役割を持っています。
西洋医学:組織の管理と処置
西洋医学は、筋腫という「目に見える組織の状態」を詳細に把握し、管理することに優れています。
- 定期的な検査で大きさを確認し、必要に応じて手術やお薬で物理的な負担を取り除きます。これは生活の質を守るために非常に重要な視点です。
- 一方で、組織を取り除いた後も、お身体本来の「巡りの傾向」は続いていることが多いため、長期的な経過を見守る必要があります。
東洋医学:巡りの機能と背景
東洋医学は、筋腫という形が現れるに至った「お身体の巡り(機能)」の偏りに着目します。
- 滞り(瘀血)が積み重なった背景には、冷えや疲れ、日々の緊張などが複雑に関わっていると考え、その土台から整えていきます。
- 例えるなら、生えてきた草を刈るだけでなく、その草が育ちやすい土壌の環境を見直していくようなアプローチを大切にしています。
- 巡りを促すことで、筋腫に伴う痛みや過多月経といったご負担が和らぎ、再発しにくいお身体の環境づくりを支える場合があります。
これら二つの視点は相反するものではなく、西洋医学で組織を適切に管理しながら、東洋医学でお身体の土台を整えていくことで、より健やかな生活を目指すことができると考えられます。

巡りの滞り(瘀血)と「肝」の働き:
お身体の調和を見つめる
東洋医学では、子宮筋腫の背景に「瘀血(おけつ)」と呼ばれる巡りの滞りがあると考えます。この巡りをスムーズに保つために中心的な役割を担っているのが、五臓の一つである「肝(かん)」という働きです。
「滞り(瘀血)」の状態を知る
お身体の特定の場所で巡りが緩やかになり、停滞してしまった状態を指します。
- 現れやすいサイン: 子宮周囲での滞りは、強い生理痛や腰痛、また、お顔のシミや肩こりといった全身の反応として現れる場合があります。
- 影響を及ぼす要因: 睡眠不足や過労、偏ったお食事、そして日々の緊張が重なることで、お身体の巡りはさらに停滞しやすくなる傾向があります。
「肝」と巡りの密接な関係
「肝」は、お身体の気や血の流れを一定に保ち、必要な場所へ届ける調整役を担っています。
- 調整役としての機能: 例えるなら、交通の混雑を整理し、スムーズな流れを保つ司令塔のような役割を果たしています。
- 機能が低下すると: ストレスなどでこの調整機能が乱れると、血液の巡りがスムーズさを欠き、子宮周囲に滞りが溜まりやすくなると考えられます。
- 整えることの意味: 「肝」の働きを労わり、巡りを助けることで、筋腫に伴う様々なお悩みの負担が軽くなる場合があります。

鍼灸による調整の考え方:
巡りを促し、お身体の土台を整える
子宮筋腫に対する鍼灸の役割は、組織の形そのものを処置することではなく、筋腫を育みやすいお身体の「巡りの偏り」を整えることにあります。
調整のねらい:巡りを助ける力
- 機能の底上げ: 血の生成や巡りに関わる「肝(かん)」などの働きを整えることで、お身体が本来持っている調整力を引き出す一助となります。
- 気血の流れを導く: 特定のツボを刺激することで、子宮周囲の滞った巡りを促し、痛みや経血量の多さ、特有の重だるさといった現れに変化が出ることがあります。
- お身体への負担: 薬のような全身的な影響が少なく、ご自身の体質に合わせながら穏やかに継続しやすいのが特徴です。
経過の目安:ゆっくりとした歩み
- 時間が必要な理由: 例えるなら、長年かけて硬くなった土を少しずつ耕して柔らかくするように、積み重なった滞りを和らげるには、通常数ヶ月程度の一定期間が必要になると考えられます。
- 土台を整える継続: ストレスなどで乱れやすい「肝」の機能を労わりながら巡りを促すことで、不調が起きにくいお身体の状態へと近づく場合があります。
- 選択肢の一つとして: 物理的な処置が必要になる前に、または処置後のお身体を守るために、巡りの土台を見直していくという選択肢をご提案しております。

自宅でできるセルフケア:血流を改善し、筋腫の増大を防ぐ
鍼灸治療で子宮周囲の「瘀血(おけつ)」を流すとともに、日々の生活で「血」の質と巡りを高めることが、筋腫の増大を防ぐための最も重要なセルフケアです。
食生活:血を補い、肝を労わる
筋腫による過多月経で失われがちな鉄分(血)を補給し、肝の負担を減らす食事を心がけましょう。
- 血を養う食材:食物繊維、鉄分の多い野菜、海藻、大豆製品を意識的に摂り、血(けつ)を補い、血の巡りを改善しましょう。
- 肝の負担軽減:アルコール・カフェインは肝に負担をかけ、気の滞りを生みやすいため控えめに。
- 酸味で肝をサポート:酸味(柑橘類、梅干しなど)は、東洋医学で「肝」をサポートする作用があります。気の流れをスムーズにするために上手に取り入れましょう。
※ 添加物・甘味・油の摂りすぎは瘀血を助長し、筋腫の土台を固めやすいため注意が必要です。
運動・睡眠・ストレス:巡りを促す
全身の気血の巡りを滞らせないための養生です。
- 巡り改善:ウォーキング、ヨガ、ストレッチを日常化し、全身の気の滞り(気滞)と瘀血を解消しましょう。
- 肝の休息:就寝は日付が変わる前(〜24時)を目標に:深夜1時〜3時(肝の時間)に熟睡することで、肝が血を貯蔵し、全身の修復を行う力を最大限に引き出します。
- 自律神経の調整:瞑想や呼吸法などで自律神経を整え、ストレスによる「肝の滞り」を解消し、筋腫の増大を防ぎましょう。
※ 痛みが強いときや、筋腫が急激に増大した兆候がある場合は、医師や専門家に早めの相談を。

料金について
初回:5,500円(税込)
2回目以降:5,000円(税込)
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛、顔面神経麻痺、潰瘍性大腸炎、線維筋痛症、耳管開放症など、病院で原因不明・治療法がない慢性疾患を中心に経絡治療を行っています。
