坐骨神経に沿った不自由さを
お身体の内側から穏やかに整える
足腰に現れるしびれや痛みは、お身体の巡りが滞り、特定の場所に負担が重なっている一つのサインかもしれません。
鍼灸の施術では、「冷えや巡りの滞り」によって硬くなった場所を緩やかに解き、必要な栄養が隅々まで届くようお身体を整えていきます。西洋医学的な処置と並行しながら、今ある負担が少しずつ軽くなるような変化が出ることがあります。

お身体の変化と向き合うための手引き
足腰のしびれや痛みに対し、お身体全体の巡りを調えることで、本来持っている健やかさを支えるための視点をまとめています。

坐骨神経痛に伴うお身体の変化:
その要因と現れやすい感覚について
坐骨神経痛とは、特定のひとつの病名ではなく、腰から足先にかけて通っている大きな神経が刺激を受けることで現れる感覚の総称を指します。
主な要因として、腰周辺の骨や組織の変化、あるいはお尻の奥にある筋肉の強張りなどが挙げられます。 例えるなら、お身体の中を通る一本の流れが、どこかで遮られたために、その先の巡りが乱れているような状態と言えるかもしれません。
お身体に見られる主な感覚の傾向
- 感覚の広がり: お尻から太ももの後ろ、あるいはふくらはぎにかけて、響くような感覚や、ピリピリとした不快感が現れることがあります。
- 動作による変化: 重いものを持った時や、同じ姿勢を長く続けた際、あるいは歩き続けることで、その感覚が強く意識される場合があります。
- お身体の強張り: こうした感覚が重なると、腰から足にかけての動きに不自由さを感じたり、お身体全体に緊張が続いたりすることがあります。
- 日常の影響: 長年の腰の違和感をお持ちの方や、冷えなどの環境要因が重なった際に、こうした不調が表面化しやすくなる傾向が見られます。
西洋医学における診断や治療を尊重しながら、東洋医学ではこうした状態をお身体全体の「巡りの滞り」として捉え直します。部分的な負担だけでなく全身のバランスを見つめることで、日々の負担が軽くなる場合があります。

坐骨神経に沿った感覚の要因と、画像情報の関係について
西洋医学においては、神経の通り道における圧迫や負担の有無を、主に以下のような視点から確認します。
代表的な視点
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腰のクッションの変化:
背骨の間にあるクッションが本来の位置から移動し、神経の周辺に触れている状態。 -
神経の通り道の変化:
加齢などの積み重ねにより、神経が通る管の幅にゆとりが少なくなっている状態。 -
周囲の筋肉による影響:
お尻の深い場所にある筋肉が硬くなることで、その下を通る神経に負担がかかっている状態。
画像情報と、お身体の感覚の差異
MRIなどの精密な検査は、お身体の「構造」を知る上で非常に重要ですが、時にお身体の感覚と一致しないことが見受けられます。
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画像に現れない要因:
画像上は大きな変化がなくても、しびれを強く感じる場合があります。これは、筋肉の緊張や冷え、巡りの滞りなどが関係しているのかもしれません。 -
画像上の変化と症状の関係:
画像で変化が確認されても、痛みをほとんど感じずに過ごされている方もおられます。
東洋医学では、画像に映る「形」だけでなく、お身体の「巡り」に着目します。冷えを取り除き、滞りを緩やかに解いていくことで、画像上の変化はそのままに、今ある負担が軽くなる場合があります。
画像は「建物の構造図」のようなものですが、東洋医学はその中で流れる「水道や電気の滞り」を調えるように働きかけます。

西洋医学の治療の歩みと、併せて考えたいお身体の土台作り
坐骨神経痛における西洋医学的な対応は、強い痛みや炎症を抑え、日常生活への影響を最小限にすることに重きが置かれます。
主な対応の形
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お薬による調整:
痛みの伝わりを穏やかにするお薬や、炎症を和らげる内服・外用薬などが用いられます。 -
局所的な働きかけ:
神経の興奮を落ち着かせるための処置などが、専門医の判断のもとで行われます。 -
物理的な補助:
リハビリテーションや牽引、コルセットによる固定など、お身体の動きを物理的に支えます。
お身体の環境と、向き合い方
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巡りの重要性:
局所の痛みが和らいだ後も、冷えや血流の滞りといったお身体の土台部分がそのままの場合、負担が再燃しやすくなることがあります。 -
選択肢の検討:
保存的な方法で変化が乏しい場合には、外科的な処置が検討されることもあります。術後の経過を含め、ご自身の状況に合わせた選択が求められます。 -
総合的な視点:
画像上の変化と、実際に感じるしびれの強さが必ずしも一致しない場合、お身体全体のバランスを整える視点が支えとなることがあります。
西洋医学が「今そこにある火を消すこと」を助けてくれる一方で、東洋医学は「再び火が起きにくい土台」を整えるような役割を担います。

東洋医学の視点による巡りの調整:
お身体の環境を整える鍼灸施術
お身体の捉え方について
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巡りの滞り:
東洋医学では、痛みやしびれを「本来流れるべきものが滞っている」状態と考えます。 画像に映る圧迫の有無に関わらず、神経の周囲で滞っている血流や気の流れを整えることで、お身体の緊張を解いていきます。 -
全身のバランス:
腰やお尻といった局所だけでなく、足元や背中など、全身のバランスを確認します。お身体の回復力が低下している箇所を見極め、土台から立て直していくことを目指します。
施術のアプローチ
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一人ひとりに合わせた確認:
お身体の微かな反応や、日々の生活の中での変化を丁寧にお聞きします。その時々のお身体の状態に合わせた、無理のない刺激を選択します。 -
穏やかな働きかけ:
細い鍼や心地よい温かさのお灸を用います。過度な刺激を避け、お身体が本来持っている「自ら整おうとする力」を静かに後押しします。
鍼灸によるお身体の変化
- 不快感の緩和: 過敏になっている感覚を落ち着かせ、しびれや痛みの感じ方に変化が出ることがあります。
- 巡りの向上: 血管が緩やかに広がることで、神経や筋肉に必要な栄養が届きやすい環境が整います。
- 緊張の緩和: 神経を圧迫している深い部分の筋肉が緩み、締め付けによる負担が軽くなる場合があります。
- 自律神経の安定: 休息の質が深まることで、お身体全体の回復を助ける環境が整います。
経過の目安
坐骨神経痛は、長い時間をかけて蓄積された負担が形になったものであることが多いため、変化も少しずつ進む傾向があります。
- 初期の段階: 週に1回から2回程度、お身体の状態を安定させるための期間を設けます。
- 変化の兆し: 数回の施術を重ねる中で、しびれの強さや頻度に変化が見られ始める方が多い傾向にあります。
- 安定の維持: 負担が軽くなった後は、再び滞りが生じないよう、間隔を空けてお身体を整えていきます。

お身体の巡りを整えるツボの例:
坐骨神経の負担を和らげる視点
東洋医学では、痛みのある場所以外にも、その経路(経絡)に沿っていくつか大切な場所を確認します。お身体全体のバランスを整えながら、負担が集中している箇所を緩めていきます。
巡りの調整に用いられる
代表的な場所
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足元にある場所:
足の外側や小指に近い部分は、背中から足の後ろ側を巡る流れに関わりがあります。この流れを整えることで、腰から足にかけての違和感が軽くなる場合があります。 -
膝の周辺にある場所:
膝の外側には、筋肉の緊張を穏やかにする際に選ばれる場所があります。お身体の横側の巡りを整え、強張りを緩める際に用いられます。 -
お尻の深部にある場所:
坐骨神経の通り道に近く、周囲の緊張が強い場合に選ばれます。局所の血流を促すことで、締め付けられるような負担に変化が出ることがあります。
ツボは「お身体の環境を整えるためのスイッチ」のようなものと言えるかもしれません。
お一人ひとりのお身体の冷えや、疲れの溜まり具合を伺った上で、その時に最もふさわしい場所を選びます。

日常生活での工夫:
坐骨神経の負担を和らげ、巡りを助けるために
しびれや痛みの緩和、そして再発しにくいお身体づくりのためには、神経への負担を減らす姿勢と、巡りを助ける環境づくりが大切になります。
お身体の環境を整える5つの習慣
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腰の負担を和らげる姿勢:
腰を強く反らせる姿勢や、長時間の立ち仕事は、神経の通り道に負担がかかりやすい傾向があります。時折、軽く前かがみになるなど、腰を緩める時間を持ちましょう。 -
動きの切り替え:
一度に長く歩くことが難しい場合は、無理をせず小休止を挟みましょう。こまめに姿勢を変えることで、局所的な巡りの滞りを防ぐことにつながります。 -
お身体を温める:
腰やお尻の周りを冷やさないよう、湯船に浸かったり、カイロなどで温めたりすることは大切です。 冷えは巡りを滞らせ、感覚の過敏さを招く要因となる場合があります。 -
座り方の見直し:
椅子に座る際は、左右の坐骨に均等に体重が乗るように意識します。痛みのない範囲で、骨盤を立てるように座ると、腰椎への負担が軽くなる場合があります。 -
休息の質を高める:
規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保します。消化に優しい食事を摂り、内側からお身体を支える力を養いましょう。

施術費用と、お身体の巡りを整える通院ペースの目安
坐骨神経痛における東洋医学的なアプローチは、局所のしびれを和らげるとともに、お身体全体の巡りを整えることを目的としています。 当院の施術は自由診療となりますが、ご自身のお身体と向き合い、長期的に負担を軽くしていくための時間として捉えていただければ幸いです。
お身体の状態を丁寧にお聞きし、全身のバランスを確認します。しびれや痛みの原因となっている巡りの滞りを見極め、今後の進め方をご提案します。
その時々のお身体の変化に合わせ、巡りを促す施術を継続します。筋肉の強張りを緩やかに解き、お身体の土台を整えていきます。
通院の間隔について
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お身体が敏感な時期:
痛みやしびれが強く、巡りの滞りが著しい場合は、週に1〜2回程度の間隔で、集中的にお身体の土台を整えることが望ましい場合があります。 -
変化が落ち着いてきた時期:
不快な感覚が和らぎ、お身体の環境が安定し始めたら、週に1回程度のペースで、良い状態を維持し、さらに巡りを深めていきます。 -
健やかな状態を保つために:
症状が気にならない程度まで落ち着いた後は、再び滞りが生じないよう、2〜4週間に1回程度の定期的な調整をお勧めすることがあります。
お身体を整えていく過程は、少しずつ土壌を肥やしていくような歩みに似ています。
一度の施術ですべてが変わるわけではありませんが、丁寧にお身体と向き合い、良い環境を積み重ねていくことで、負担が軽くなる場合があります。

ご予約・ご相談
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
