逆流性食道炎でお悩みの方へ|札幌で東洋医学専門の鍼灸院をお探しなら東洋中村はり灸院

逆流性食道炎の概要:胃の「異常な熱」が引き起こす炎症

逆流性食道炎は、胃の内容物(胃液や消化途中の食べ物)が食道へと逆流し、胸やけやむかつきなどを生じる状態です。食道の粘膜は、胃のように強い胃酸から身を守る防御機能が弱く、逆流が続くことで炎症やただれ(潰瘍)が起きてしまいます。東洋医学では、これは胃に異常な「熱」がこもり、その熱が上昇する「気」の流れを乱している状態と捉えます。まるで、鍋の中身が沸騰し、圧力が上がって蓋が持ち上げられているようなものです。

主な症状・特徴

  • 胸やけ/胸の痛み/酸っぱい・苦い逆流感:胃酸が食道粘膜を焼くことで生じる、この病気の最も特徴的な主訴です。
  • 胃もたれ・上腹部不快・膨満感・げっぷ:胃の動きが滞り、消化機能が低下(脾胃の弱り)しているサインであり、逆流の背景にあります。
  • 喉の違和感・咳払い・声枯れ:胃酸がさらに上部へ逆流することで、喉や気管支を刺激します。風邪やアレルギーと間違えやすく、原因不明の慢性的な咳の原因となることもあります。
  • 増悪因子:食後や特に横になる就寝時に症状が強まりやすいです。これにより睡眠の質が著しく低下し、体力の回復や自律神経の安定を妨げる悪循環につながります。

西洋医学の見立てと治療:薬による「緊急消火活動」

西洋医学(病院)における逆流性食道炎の治療は、「症状を迅速に鎮める」ことに重点が置かれます。これは、家で火事が起きた際に消防士が駆けつけるような、即効性のある対症療法が基本となります。

一般的な方針と東洋医学との視点の違い

  • 胃酸分泌を抑える薬によるコントロール:胃酸分泌抑制薬(PPI/H2ブロッカーなど)や、酸を中和する薬によって、胃の過熱状態を強制的にクールダウンさせ、食道粘膜の炎症を鎮静化させます。
  • 生活面の指導:食事の内容、食後の姿勢、就寝前の過食回避など、逆流を物理的に防ぐための行動指導が行われます。
  • 体質面までは扱わないため、再発しやすい:薬で症状は一時的に治まりますが、胃が異常に熱を持ちやすい体質(胃熱)や、ストレスによって胃がこわばる体質(肝気犯胃)といった根本原因までは改善されません。そのため、服薬を中断すると症状が再発を繰り返す方が多く、生活全体の見直しが鍵となります。

東洋医学では、この「体質的な火種」を取り除くことに特化します。薬の治療中に鍼灸治療を併用することで、再発しにくい体づくりを並行して行うことが可能です。

東洋医学の捉え方:「胃熱」「肝の滞り」による気の逆流

東洋医学において、逆流性食道炎は胃酸の多さだけでなく、胃の熱が上へ向かう「気(エネルギー)の逆流」が本質です。これは「胃だけの不調」ではなく、自律神経や体質的な熱の偏りが原因で、全身のバランスが乱れた結果と捉えます。呼吸・消化・自律神経のリズムを根底から整え、再発しにくい強固な土台をつくるのが、当院の基本姿勢です。

逆流を引き起こす体質の傾向

  • 胃熱(いねつ)と気の逆流:飲食物やストレスにより胃に異常な熱がこもり、その熱が上に押し上げる力となり逆流を引き起こします。(熱湯が沸騰して蓋を押し上げる現象に似ています。)
  • ストレスによる自律神経の乱れ(肝の滞り):「肝(かん)」が司る気の巡りがストレスで滞ると、そのこわばりが胃を圧迫し、熱を生み出し、逆流を誘発します。
  • 胃腸機能(脾)の低下と冷え:消化吸収を担う脾胃が冷えや過労で弱ると、食べ物を下に送る力が弱まり、停滞(つまり)から逆流が起きやすくなります。
  • 呼吸器系(肺)の弱さ・喉の違和感:東洋医学では肺と胃腸は連動しており、呼吸器の弱さが逆流と喉の不快感(梅核気など)に繋がることがあります。

根本改善のための全身連動アプローチ

当院は「木(症状)だけ」ではなく、「森(全身)」を診るホリスティックな発想で治療を行います。

  • 局所ではなく「森を見て木を治す」発想:胃酸抑制薬のように局所的に抑えるのではなく、胃熱を生んでいる「肝」や「脾」といった根本的な体質の偏りに鍼で働きかけます。
  • 呼吸×消化×自律神経を同時に調律:自律神経(肝)を安定させ、消化機能(脾胃)を強化し、呼吸(肺)を深くすることで、胃への物理的・精神的な負担を同時に解消します。
  • 生活習慣・食事も含めた体質の底上げ:鍼灸治療と並行して、胃熱や冷えを増悪させる食習慣を丁寧に指導し、日常から胃を労わる体質へと入れ替えを図ります。

鍼灸施術(経絡治療):胃の「異常加熱」と「気の逆流」を鎮める

当院の鍼灸治療は、胃酸の過剰分泌や逆流という現象に対し、その背景にある自律神経の乱れや臓腑の熱の偏りを解消します。薬で抑えるのではなく、体が自力で正常なリズムを取り戻すようサポートします。

根本に働きかけるアプローチ

  • 経絡とツボを用い、内臓機能と自律神経の協調を促す:全身のエネルギーラインである経絡(けいらく)の流れを調整することで、ストレス(肝)による胃への異常な緊張を解き、胃と食道を締める括約筋の働きを正常に戻します。
  • やさしい刺激で、初めての方でも安心:逆流症状を持つ方は、体が過敏になっていることが多いため、痛みや熱さを感じさせない細い鍼と温和なお灸を用います。体が緊張から解放され、自然にリラックスする(副交感神経優位になる)ことを目指します。
  • 呼吸(肺)と消化(脾)の連動を高める:呼吸が浅いと胸部や横隔膜が硬くなり、胃が圧迫されやすくなります。「肺」と「脾」の連携を強めることで、深く安定した呼吸を取り戻し、胃への物理的・精神的な負担を減らします。

治療に用いられる代表的なツボ(体質別選穴)

すべてのツボを使うわけではありませんが、体質(胃熱、脾虚、肝鬱など)を見極めた上で、特に効果的なツボを選びます。

  • 中脘(ちゅうかん):胃の真上に位置し、胃の働きを直接的に整えるツボです。気の逆流を止め、胃の異常な緊張を緩めます。
  • 天枢(てんすう):消化機能と腸の動きを助け、食べ物を下に送る力(降気作用)を高めることで、逆流を防ぎます。
  • 孔最(こうさい):呼吸器系のツボですが、上腹部の気の滞りを解消し、喉の違和感や慢性的な咳(逆流によるもの)の改善に役立ちます。
  • 足三里(あしさんり):胃の経絡上のツボで、胃腸全般の機能を底上げし、体力と消化力を回復させる「元気のツボ」として活用します。

食養生:胃の「異常加熱」と「冷え」を同時に防ぐ食事

鍼灸治療の効果を定着させるには、日々の食養生が欠かせません。逆流性食道炎の食事は、「胃酸の分泌を過剰に刺激するもの」と「消化機能を弱らせるもの」の両方を避けることが原則です。これは、興奮している胃を鎮め、弱っている消化力を助けるための基本的な体質改善法です。

  • 胃酸を誘発する食品の徹底回避:冷たい飲食、白砂糖、高脂肪食、刺激物(香辛料)、アルコール、過度のカフェインは、胃に異常な熱を生んだり、胃酸の分泌を過剰に高めたりするため、極力控えめにしましょう。
  • 「脾胃の火力」を守る食事へ:温かい和食中心(汁物、煮物、お粥、やわらかい根菜など)で、胃腸の働きを労りましょう。また、「よく噛む」ことで消化液の分泌を助け、少量ずつ食べることで胃の負担を軽減します。
  • 横になる前の「休息期間」:胃の内容物が逆流しにくい状態を保つため、就寝2〜3時間前の飲食は厳禁です。また、夜間に胃を働かせると東洋医学でいう「神(しん)」(精神活動や睡眠)が乱れます。この生活習慣を守ることが、睡眠の質を守ることにつながります。

逆流性食道炎に併発しやすい症状:胃の不調は全身に波及する

東洋医学では、胃(消化器)の不調は「脾」「肝」「肺」といった他の臓腑と深く関わっていると考えます。そのため、逆流性食道炎を患う方は、胃酸の症状だけでなく、自律神経の乱れや気の滞りからくる以下のような全身の不調を同時に抱えているケースが非常に多く見られます。

  • 肩こり・首こり/頭痛・めまい:ストレス(肝の滞り)や胃腸の冷え(脾の弱り)が、「気や血の巡り」を悪化させ、上半身に緊張や痛みを集めます。
  • 冷え性・倦怠感:胃腸が弱り(脾虚)、飲食物から十分にエネルギー(気血)を生成できないため、全身が冷えやすく、慢性的な疲労感につながります。
  • 鼻炎・喉の違和感:東洋医学で胃腸と連携する「肺」(呼吸器系と粘膜のバリア)が、胃の熱や気の逆流によって影響を受け、喉や鼻の症状として現れます。
  • 眠りの浅さ・不眠:胃の異常な熱(胃熱)や、ストレスによる自律神経の興奮(肝の滞り)が、夜になっても鎮まらず、「心(しん:精神活動)」が安らげないため、睡眠の質が低下します。
  • 生理痛・婦人科系の不調:血流を管理する「肝」がストレスで滞ると、胃だけでなく、下腹部の血の巡りも悪化し、婦人科系の症状を悪化させます。

これらの症状は、胃薬では治りません。鍼灸によって全身の気のバランスを整えれば、逆流症状と同時に、これらの周辺症状もまとめて軽減していくことが期待できます。

院長プロフィール

東洋中村はり灸院 院長 中村麻人の写真

中村 麻人(なかむら あさと)

札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。

「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。