白髪・髪のお悩みと、
東洋医学による巡りの調整
東洋医学では、髪を「血の余り(けつのあまり)」と呼び、全身の巡りや生命力と深く関わっていると考えます。加齢や日々の緊張によってこの巡りが滞ると、髪に十分な栄養が届きにくくなる場合があります。
鍼灸の施術では、お身体の土台を調えることで、髪を育む力を穏やかに助けます。例えるなら、「土壌の質を調え、植物の根に水が行き渡りやすくする」ように、内側からの環境を整えていくことを目指します。

髪の健康と東洋医学の視点(目次)
白髪や髪質の変化に対し、東洋医学では全身の蓄えや巡りの状態を重視します。お身体の内側から環境を調えていくための考え方をご紹介します。

白髪の仕組み:
東洋医学から見た「精」と「血」の関わり
髪の色を作るメラニンが十分に供給されなくなることで、白髪という状態が現れます。
西洋医学では、遺伝や加齢、ストレスによる色素細胞の機能低下が主な要因と考えられていますが、東洋医学ではその背景にある「お身体の蓄え(精)」と「栄養の巡り(血)」に着目します。
内側から見た髪の状態
東洋医学では、髪を「血の余り(けつのあまり)」と捉え、生命活動の根源となる「精」の状態が髪に現れると考えられています。
髪の変化が目立ってきた状況は、例えるなら「源流からの水(精)が細くなり、末端の土地まで潤い(血)が届きにくくなっている状態」と解釈される場合があります。
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お身体の蓄え(腎の精):
加齢に伴う自然な変化のほか、過度な疲労や睡眠不足が続くと、お身体を支える根本的なエネルギーが消耗されやすくなります。 -
巡りの滞り(血不足・気の乱れ):
強い緊張やストレスは、本来髪へと届くはずの巡りを滞らせ、末端の栄養状態に影響を与えることがあります。

東洋医学の視点:
白髪に関わる五臓のつながり
東洋医学では、白髪の状態を、お身体を支える三つの働き(腎・肝・脾)の調和が乱れているサインと捉える場合があります。
腎(じん)の蓄え
生命力の源
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役割:
成長や発育の根本となるエネルギー(精)を蓄える場所です。髪のハリや色の維持に深く関わります。 -
現れやすい不調:
足腰の重だるさや耳鳴り、冷えなど、お身体の土台となる力が弱まった際に伴うことがあります。
肝(かん)の巡り
栄養を届ける力
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役割:
気や血を全身にスムーズに送り出す役割を担います。髪の末端まで栄養を届ける「道」を調えます。 -
現れやすい不調:
緊張やストレスが続くと巡りが滞り、頭皮の硬さや肩こりとして現れる場合があります。
脾(ひ)の生成
栄養を作る工場
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役割:
飲食から栄養を吸収し、血(けつ)を作り出す場所です。髪の材料を供給する土台となります。 -
現れやすい不調:
食欲の低下や胃もたれ、身体の重さなど、栄養を十分に作り出せない状態が反映されることがあります。
髪にまつわる言葉の解説
東洋医学には「髪は血の余り(けつのあまり)」という言葉があります。これは、全身に栄養(血)が行き渡り、なお余裕がある時に初めて、髪が健やかに保たれるという意味です。例えるなら、「豊かな水が大地を潤し、最後に末端の木々まで雫が届くような状態」を目指していくことが、髪を労わることにつながります。

セルフケア:
白髪の進行を穏やかにするためのお身体の調え方
お身体の維持力を助けるためには、日々の「蓄え」と「巡り」を意識することが大切です。無理のない範囲で、生活の一部を見直すヒントとしてお役立てください。
食生活の工夫
(色と味の活用)
五臓が喜ぶ食材を日々の食事に取り入れることで、髪を育む土台を和らげます。
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黒色の食材:
黒ごま、黒豆、海藻類(ひじき・わかめ)などは、東洋医学で「腎」を助ける食材とされています。 -
血を補う食材:
レバーや赤身の魚、ほうれん草などは、巡りの源となる「血」を補う一助となります。
睡眠と休息
(巡りの回復)
休息は、お身体の消耗を防ぐために最も重要な養生の一つです。
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早めの就寝:
夜更かしを控え、お身体が修復の時間に入りやすい環境を調えることで、巡りの滞りが和らぐ場合があります。 -
目の休息:
スマートフォンの使いすぎを控えることは、東洋医学で血を司る「肝」の負担を軽減することにつながります。
漢方の考え方
(体質による選択)
不足しているものを補うために、漢方の知見を活用することも一つの選択肢です。
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腎を補う処方:
お身体を温める力や潤す力のバランスにより、六味丸や八味丸といった処方が用いられることがあります。
呼吸と巡り
(気の安定)
深く穏やかな呼吸は、全身の緊張を和らげ、巡りを助けるきっかけとなります。
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下腹部を意識した呼吸:
丹田(おへその下)に空気を届けるような意識で深呼吸を行うと、気の乱れが落ち着く場合があります。

鍼灸施術の役割:
お身体の土台を調え、髪を育む力を助ける
白髪の進行が穏やかになるようお手伝いするため、東洋医学の施術では「生命力の貯え」と「栄養の巡り」の両面からアプローチを行います。
内側の環境が調うことで、末端である髪にも本来の維持力が伝わりやすくなる状態を目指します。
- お身体の状態を多角的に把握します 脈の状態や、お腹・舌の様子などを丁寧にお伺いし、生命力を蓄える「腎」の消耗具合や、ストレスによる巡りの滞りなど、髪に影響を与えている背景を確認します。
- 「腎」を中心とした全身の調整 髪の源流と考えられている「腎」の働きを補うことを軸に、全身の巡りを調整します。例えるなら、「土地そのものに潤いを与え、根が水分を吸い上げやすい環境を作る」ように、お身体の土台を調えていきます。
- 負担の少ない優しい刺激 使い捨ての非常に細い鍼と、心地よい温かさのお灸を使用します。お身体への負担を抑え、リラックスした状態で自律神経の安定を促し、巡りの滞りを和らげていきます。
- 日々の歩みへの助言 施術の効果をより安定させるため、ご自宅での養生法(食事や休息の取り方)についても、お一人おひとりの体質に合わせてお話しさせていただきます。

施術料金のご案内:
お身体の土台作りと通院の目安
当院の施術は自由診療(保険外)となります。髪の状態は全身の栄養状態を反映していることが多いため、一時的な処置ではなく、時間をかけてお身体の内側から調えていくことを重視しております。
現在の体質(腎や血の状態)を詳しく確認し、お身体に合わせた施術計画を立てさせていただきます。
定期的な巡りの調整を行い、髪を育むための維持力を支えます。
通院の考え方
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土台を整える時期:
最初の2〜3ヶ月程度は、お身体の巡りを安定させるため、2週間に1回前後のペースをご提案することがあります。 -
状態を見守る時期:
体調に落ち着きが見られましたら、月に1回程度のペースで、長期的な維持を目指していきます。
髪の変化は、季節の移り変わりを見守るように、長い時間をかけて現れてくるものです。
即時的な変化を求めるよりも、数年後のお身体を見据えて、丁寧に向き合っていくことが大切だと考えています。

ご予約・ご相談

院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり・腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、病院で原因不明・治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
