肋間神経痛の痛みと向き合う:
「巡り」を整え、心身の緊張を和らげる
脇腹を走る鋭い痛みは、東洋医学では「気の巡りの滞り」が関わっている場合があると考えられています。
必要に応じて医療機関での診断を仰ぎつつ、鍼灸では「肝(自律神経)」の昂ぶりを穏やかに整えます。滞っていた巡りを緩やかに通すことで、呼吸に伴う不快な刺激や、身体の強張りが軽くなる場合があります。

肋間神経痛の痛みと向き合うために:本ページのご案内
脇腹や背中に現れる鋭い痛みに対し、お身体全体の緊張を和らげ、巡りを整えることで負担を軽くしていく東洋医学の考え方を順を追ってご説明いたします。

肋間神経痛の概要:
上半身に現れる鋭い痛みとその性質について
肋間神経痛は、背中から肋骨に沿って走る末梢神経が何らかの原因で刺激を受けることで生じる状態を指します。それ自体が特定の病名というよりも、現れている「症状」の総称として用いられる言葉です。
多くの場合、お身体の左右どちらか一方に沿って、線状や帯状に不快な感覚が広がるのが特徴です。
痛みの性質に関する傾向
(上半身に現れる特有の感覚)
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鋭い響き:
「電気が走るような」「針で突かれるような」鋭い響きが瞬間的に現れることがあります。
お身体の中に張り巡らされた一本の糸が、ふとした拍子に強く弾かれたような感覚に近いかもしれません。 -
持続的な違和感:
瞬間的な響きだけでなく、ジリジリ、チクチクといった皮膚表面の過敏な感覚や、重苦しい不快感が続く場合もあります。 -
動作による変化:
お身体をひねる、伸ばすといった動作のほか、深呼吸や咳・くしゃみなどで胸の周りが動く際に、刺激が強まる傾向があります。

肋間神経痛の分類:
背景にある要因と東洋医学の視点
肋間神経痛は、その要因によって大きく二つに分類されます。それぞれの性質を理解することで、お身体に合わせた関わり方を見出すことができます。
① 原発性(原因が特定しにくいもの)
(調整が適している面があります)
画像検査(X線やMRIなど)では明らかな異常が見当たらないとされるケースです。
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背景の推測:
自律神経の過緊張や、心身の疲労の積み重なりによって、末梢神経が過敏に反応している状態と考えられています。 -
臨床的な名称:
突発性肋間神経痛などとも呼ばれ、ストレスやお身体の冷えがきっかけとなる場合が多く見られます。 -
調整の考え方:
お身体の「センサーの感度が一時的に上がりすぎている」状態と捉え、心身を緩めることでその過敏さを穏やかにすることを目指します。
② 続発性(要因が明確なもの)
(連携を大切にするケース)
痛みの要因となる具体的な疾患や、部位の損傷が特定できるケースです。
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主な要因:
帯状疱疹(ウイルスに関連するもの)、椎間板の変性、脊椎の変化による圧迫、外傷による影響などが挙げられます。 -
医療機関との関わり:
要因が明らかなため、まずは医療機関(整形外科やペインクリニックなど)での適切な対応が必要となります。 -
東洋医学の役割:
医療機関の対応を優先しつつ、鍼灸ではお身体の巡りを助け、回復を待ちやすい環境を整えるお手伝いをいたします。

西洋医学(病院)による対応:
検査の重要性と対症療法の役割
肋間神経痛の際、西洋医学が果たす役割の中で非常に重要なのが、痛みの原因が内臓の重篤な疾患ではないことを確認する「除外診断」です。お身体の安全を確認した上で、現れている症状への対応が検討されます。
主な対応方法と性質
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お薬による対応:
痛みの感覚を和らげる鎮痛薬、神経の働きを助けるビタミン剤、あるいは過敏な反応を穏やかにするための処置が行われることがあります。 -
ブロック療法:
痛みの信号を伝達する部位に対し、一時的に感覚を遮断する働きかけを行う方法です。鋭い不快感が強い場合に検討されることがあります。 -
対応の性質:
これらの方法は、現れている痛みを一時的に抑えることを目的としています。「響いている音(痛み)を、耳を塞ぐことで聞こえにくくしている状態」に近い面があり、お身体が過敏になっている背景(心身の緊張や冷えなど)については、別の視点からのケアが大切になる場合があります。 -
継続的な配慮:
お薬の性質によっては、長期的な服用において眠気や胃腸への負担など、お身体との相性に配慮が必要な場合もあります。主治医の指示を仰ぎながら、適切に付き合っていくことが求められます。

東洋医学(鍼灸)の捉え方:
巡りを整え、神経の過敏さを和らげる視点
東洋医学では、肋間神経痛を局所的な問題としてだけでなく、お身体全体のバランスが崩れた結果、神経が過敏に反応している状態と捉えます。特に「原因が特定しにくい」とされるケースにおいて、体質に働きかけるアプローチが適している場合があります。
お身体全体を整える視点
(心身の調和を目指す)
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全体的な巡りの調整:
痛みのある部位だけでなく、お身体全体の巡り(気・血)を整えます。特にストレスによる影響を受けやすい働きや、お身体の回復を支える働きに配慮しながら調整を行います。 -
機能低下への働きかけ:
慢性的な疲労や冷えによってお身体の守る力が弱まっている場合、それらを補うことで、刺激に対して過剰に反応しにくい状態への変化を促します。 -
背中の強張りの緩和:
背骨の周囲には神経の出口や自律神経に関わる部位が集中しています。
この部分の強張りを緩めることで、「締め付けられていた通り道に、ゆとりが生まれる」ような変化が期待できます。
施術において大切にしていること
(お身体に優しい働きかけ)
当院の鍼灸は、穏やかな刺激によって深部の緊張や体質の偏りに働きかけることを大切にしています。
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お一人おひとりに合わせた確認:
お身体の状態や体質を丁寧にお伺いし、その時々のお身体の状況に合わせたツボを選定します。 -
関連する流れの調整:
肋骨の周りを走るお身体のライン(経絡)を整えることで、過敏になっている神経の反応を穏やかに沈静化させるお手伝いをいたします。 -
負担の少ない施術設計:
使用する鍼は髪の毛ほどの細さのもの、お灸は心地よい温かさを感じる程度のものを使用いたします。刺激に敏感な方や、初めての方にも安心してお受けいただけるよう努めております。

肋間神経痛の際にお勧めのツボ:
過敏さを穏やかにするためのセルフケア
鍼灸の施術に加え、ご自宅でも適切な箇所へ触れることで、お身体の緊張を和らげる一助となります。滞っている巡りを促し、神経の過敏さを穏やかにすることを目指します。
不快な感覚が続く際に
用いられることの多いツボ
- 三焦兪(さんしょうゆ) 腰の少し上、背骨から指2本分ほど外側に位置します。お身体全体の巡りを整え、背中の強張りを緩める際に用いられることがあります。
- 郄門(げきもん) 手首の内側の中央から、肘に向かって指5本分ほど上がったところにあります。胸の周りの圧迫感や、過敏になった感覚を和らげる働きかけに使用されます。
- 内関(ないかん) 手首の内側のシワから、肘に向かって指3本分ほど上がったところです。自律神経の働きを整え、心身を落ち着かせる際によく選ばれる場所です。
- 足三里(あしさんり) 膝の皿の下、外側のくぼみから指4本分ほど下がったところです。お身体の土台となる力を補い、回復を助けるための基礎となるツボとして知られています。
※ ツボを抑える際は、心地よいと感じる程度の強さで、ゆっくりと呼吸をしながら行ってください。もし痛みが強まる場合は、無理に刺激せず、温める程度に留めてください。
ツボへ優しく触れることは、「お身体という住まいの風通しを良くし、熱を逃がす窓を開ける」ような役割を果たす場合があります。

日常生活での養生:
冷えと緊張を和らげ、
お身体の安定を助ける過ごし方
肋間神経痛の背景には、冷えによる巡りの滞りや、心身の過緊張が関わっている場合が多く見られます。日々の生活の中で、お身体を「温め」て「緩める」ことを意識することで、負担が軽くなる場合があります。
穏やかな日常を保つための目安
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お身体を冷えから守ること:
冷えは巡りを妨げ、感覚を敏感にさせる要因となります。湯船でゆっくりお身体を温め、痛む部位が冷えないよう衣類などで調節なさってください。特にエアコンなどの風が直接当たらないよう、配慮することをお勧めします。 -
内臓を温める飲食の心がけ:
冷たい飲み物や生ものの摂取は、内臓を冷やし、お身体全体の巡りに影響を与えることがあります。常温、あるいは温かいものを摂るように心がけることで、お身体の内側から安定を助けます。 -
急な動作を控える:
上半身を急にねじったり、無理に伸ばしたりする動作は、神経への刺激を強める場合があります。痛みが気になる時期は、「お身体を包み込むように、静かな動作を心がける」ことで、余計な刺激を避けることができます。
健やかさを育む生活習慣
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十分な休息と睡眠:
疲労の蓄積は、お身体の過敏さを高めることにつながります。夜は早めに休息をとり、睡眠によって自律神経を休ませる時間を大切になさってください。 -
お食事の調和:
温かい和食を中心としたお食事は、お身体の土台を整える助けとなります。刺激の強いものや甘いものを少し控えることで、巡りの滞りを防ぐことにつながる場合があります。 -
心地よい範囲での動き:
状態が落ち着いている時は、軽い散歩などの無理のない運動を取り入れることで、気の巡りがスムーズになり、気分も和らぐ場合があります。

施術料金とお身体を整えるための通院の目安
当院の施術は、お身体全体のバランスを整えることで、過敏になっている感覚を穏やかに沈静化させることを目的としております。自由診療(保険外)となりますが、お一人おひとりの状態に合わせた丁寧な調整を心がけております。
今のお身体の状態を丁寧にお伺いし、東洋医学の視点から変化のきっかけとなる場所を見極め、今後の調整計画をご提案いたします。
その日のお身体の反応に合わせ、背中やお腹の強張りを緩めることで、感覚の過敏さが和らぐよう継続的な調整を行います。
お身体の状態に合わせた通院の目安
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お身体の負担が強い時期:
週に2回程度の頻度で調整を行うことで、過敏な状態が落ち着きやすくなるよう働きかけます。まずは変化の土台を作ることを優先します。 -
状態が落ち着いてきた時期:
週に1回程度のペースで、お身体の巡りを整え、疲れや冷えによる影響を受けにくい状態への変化を促します。 -
安定を維持したい時期:
2〜4週間に1回程度のメンテナンスを行うことで、お身体の調和を保ち、日常の負担に備える力を養うお手伝いをいたします。
「使いすぎて熱を持った機械を一度休ませ、その後、熱がこもりにくいように手入れを続ける」ように、段階を踏んでお身体を整えていくことが大切です。
無理のない範囲でお続けいただけるよう、お身体の変化を見守りながら進めてまいりましょう。

ご予約・ご相談
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
