呑気症(空気嚥下症)でお悩みの方へ|札幌で東洋医学専門の鍼灸院をお探しなら東洋中村はり灸院

呑気症(空気嚥下症)の概要と症状:「気」の異常な停滞と逆流

呑気症(どんきしょう/空気嚥下症)は、つばや食事と一緒に無意識に多量の空気を飲み込んでしまい、その空気が胃や腸に溜まることで、げっぷやお腹の張りが続く状態を指します。東洋医学では、これは主に「気」の巡りが滞り、本来下に流れるべき気が逆流したり、腹部に停滞したりする病態と捉えます。まるで、パイプの途中で詰まりが起き、ポンプの圧力が異常に高まっているようなものです。日常生活や仕事に支障をきたしやすい一方で、検査では原因がはっきりしないことが多く、機能的な体質の調整が必要となります。

主な症状:気の異常な動き

  • げっぷが頻繁に出る/我慢しづらい:胃に溜まった気が上へ押し上げられる「気の逆流(気逆)」の典型です。食事後だけでなく、緊張時にも頻繁に起こります。
  • お腹の張り・膨満感、喉のつかえ:飲み込んだ空気が胃や腸で停滞する「気の滞り(気滞)」です。喉の奥のつかえ感(梅核気)は、ストレスによる「肝(かん)」の気の停滞が原因で、呑気症と併発しやすい症状です。
  • しゃっくり・胸の不快感:胃の気が横隔膜を刺激することでしゃっくりが生じたり、胸部全体の気の巡りが乱れることで不快な圧迫感が生じたりします。
  • 噛みしめに伴う頭痛や肩こり:呑気症の原因の一つに、ストレスによる無意識の「噛みしめ」があります。これにより頭部や肩の気の滞り(血流の悪化)が増悪し、頭痛や慢性的な肩こりが生じます。

発生要因と西洋医学の見解:東洋医学から見た「気の滞り」の元

呑気症は、無意識の習慣や体質的な気の偏りによって引き起こされます。西洋医学もストレスを重視しますが、東洋医学はさらに「気の流れ」という観点で具体的な原因を捉えます。

発生要因の例:自律神経と消化機能への負担

  • 体質傾向/口呼吸/うつむき姿勢:これらは「肺(呼吸)」と「脾胃(消化器)」の気の流れを妨げ、空気を飲み込みやすい姿勢や体質を招きます。口呼吸や姿勢の悪さは、気の滞りの温床となります。
  • 早食い・がぶ飲み・食べ過ぎ:消化器の処理能力(脾胃の火力)を超えた負担をかけ、未消化物(食積)や気の停滞を生み出す直接的な原因となります。
  • ストレス背景(食いしばりと関連しやすい):「肝(かん)」が司る気の巡りがストレスで滞ると、無意識の「食いしばり」や緊張(まるで腹部にずっと力が入っている状態)を引き起こし、唾液とともに空気を多く飲み込みやすくなります。

西洋医学での対応:対症的ケアの限界

西洋医学は、検査で異常が見つからない呑気症に対し、症状の緩和や行動の是正を中心にアプローチします。

  • 機能面の課題として扱われやすい:潰瘍や炎症がないため、「自律神経の乱れ」「習癖」といった機能面の課題として扱われやすいですが、これは東洋医学の「気の滞り」に相当します。
  • 対処的ケアが中心:ガスを抑える薬の投薬、噛みしめを防ぐマウスピース、食事指導、行動認知カウンセリングなど、個別の症状や習慣への対処が中心となります。
  • 東洋医学の役割:薬やマウスピースで症状が改善しない場合は、「肝(ストレス)と脾胃(消化力)の根本的な気の乱れ」が残っている可能性が高く、鍼灸治療による全身の機能調整が有効となります。

東洋医学の見立て:呑気症は「気の滞り」と「下へ送る力の弱り」

呑気症(空気嚥下症)は、気が正常なルートを辿らず、停滞したり逆流したりする病態です。東洋医学では、主に「気滞(きたい)」と「降濁(こうだく)の低下」という二つの側面から根本原因を捉えます。

気滞(気のめぐりの停滞):上へせり上がる異常な力

気の巡り、つまり自律神経の働きを司る「肝(かん)」がストレスで滞ると、その気のエネルギーが消化器系を異常に刺激します。

  • 緊張・気遣い・ストレス:これら精神的負荷は気の巡りを詰まらせ、本来下に流れるべき胃の気を上へ押し上げる「気逆」を引き起こします。これが頻繁なげっぷや喉の違和感となって現れます。
  • 全身の連動:気の停滞は全身に波及するため、肩こり・頭痛・婦人科の不調・睡眠の浅さなどが同時に現れやすいのも特徴です。

降濁の低下(下へ送る力の弱り):胃のポンプ機能不全

「脾胃(消化器)」は、飲食物を消化し、下に送る降濁作用を担っています。この力が弱ると、胃の内容物や空気が停滞します。

  • 胃腸の機能低下:胃腸の働き(脾胃の虚弱)が冷えや疲労で落ちると、飲み込んだ空気や内容物をスムーズに下へ送れず、上へせり上がりやすい状態(気逆)になります。
  • 治療方針:東洋医学では、温かいお灸や鍼で脾胃の冷えを取り、気の流れを動かすことで、下へ送る力(降濁作用)を取り戻すことを治療の主な方針とします。

鍼灸で整える代表的なツボ:気の滞りを解消し、降濁作用を促す

呑気症の治療では、気の異常な動き(気滞・気逆)を鎮め、胃が本来持つ下に送る力(降濁作用)を回復させるツボを選びます。患者様の体質や症状の現れ方に応じて、お灸も併用し、胃腸の冷えを取り除きます。

ツボ東洋医学的な要点と効果
中脘(ちゅうかん) 胃の気の集まる要所です。胃の緊張を解き、下に物を送る降濁作用を力強く助け、腹部の張りや頻繁なげっぷの緩和に直結します。
天枢(てんすう) 大腸の気の集まるツボです。胃腸全体の蠕動運動を整え、溜まった気や未消化物(食積)を流し、停滞感を軽くします。
足三里(あしさんり) 胃の経絡上のツボで、低下した胃腸の機能を底上げし、飲食物から十分なエネルギー(気・血)を生成できるよう、体力と消化の両面から支えます。
孔最(こうさい) 呼吸器系のツボですが、自律神経の緊張を緩める作用が強く、ストレスによる噛みしめや多呼吸を介した空気嚥下を間接的にやわらげます。
裏内庭(うらないてい) 足裏にあるツボで、胃のムカつきや喉の違和感といった、気が上へ逆流した際の不快感の緩和に用いられます。

東洋医学の施術アプローチ:「気の流れ」を正常に戻す

呑気症を根本から改善するには、「無意識に空気を飲み込む習慣」の背景にある「気の滞り(肝の負担)」と「消化機能(脾胃の弱り)」を同時に解消することが必要です。当院では、以下の二つの柱で体質を立て直します。

四診法で体質を見極める:根本原因の特定

呑気症はストレスや冷えなど、複合的な原因から生じます。西洋医学では見逃されがちな機能的な偏りを、伝統的な四診法で徹底的に探ります。

  • 望診・聞診・問診・切診で全身の状態を丁寧に評価:特に、舌(苔や色)、脈(強さや速さ)、腹部(張りや冷え)を詳細に触診することで、どこに「気滞」と「脾胃の冷え」が集中しているのかを見極めます。
  • 全身の連動性を総合的に把握:呑気症に付随しやすい喉・鼻・皮膚・睡眠・冷え・気分なども含めて総合評価します。これは、消化器(脾)と自律神経(肝)、呼吸器(肺)の気の流れの関連を踏まえた施術計画を立てるためです。

経絡治療+養生の両輪:機能回復への道筋

診断結果に基づき、鍼灸治療と日常生活の改善を組み合わせ、気の異常な動きを鎮めます。

  • 気の滞りをほどき、下へ送る力(降濁)を高める:気の巡りを司る「肝」の経絡を緩め、気の滞り(気滞)を解消します。同時に、胃の降濁作用を回復させるツボを選び、げっぷや腹部の張りを鎮めます。
  • やさしい刺激で初めての方でも安心:呑気症の患者様は神経が過敏で緊張しやすいため、痛みや熱さを伴わないやさしい刺激(経絡治療)を徹底します。体がリラックスし、副交感神経が優位になることで、無意識の空気嚥下が自然と減ることを目指します。
  • 食養生の徹底:治療効果を高めるため、脾胃を温める温かい和食中心、胃に負担をかける間食は控えめ、冷たい飲食や白砂糖は少なめにすることを指導します。

日常でできるセルフケア:無意識の空気嚥下を防ぐ

呑気症は、日々の無意識の習慣が大きく影響します。鍼灸治療で整えた「気の流れ」を維持し、腹部で空気が停滞しない体質を作るため、以下のセルフケアを継続しましょう。

  • 鼻呼吸を基本に:口呼吸は大量の空気が入りやすいだけでなく、東洋医学では「肺」の機能にも関わります。日頃から舌を上顎へ添えることを意識し、鼻呼吸を基本とすることで、空気の嚥下量を減らします。
  • よく噛む・腹八分目:早食いやがぶ飲みは、消化器の「降濁作用(下に送る力)」を急激に弱めます。時間をかけてよく噛み、腹八分目に抑えることで、胃の負担を減らし、空気嚥下を防ぎます。食事は温かい飲食を少量ずつ摂りましょう。
  • 食いしばり対策で「肝」の滞りを解消:ストレスによる無意識の「食いしばり」は、空気嚥下を誘発し、気の滞り(気滞)の原因となります。意識的に顔や肩の力みを抜く、軽い散歩で気の巡りを促す、就寝前にリラックス習慣を取り入れることが重要です。
  • ツボのセルフケアでお腹を温める:腹部の「冷え」は呑気症の大敵です。中脘(みぞおちとへその中間)を手のひらで時計回りに軽くマッサージしたり、温めたタオル(温罨法)を当てたりすることで、胃の働きを温め、気の停滞を優しく流します。

料金について

初回:5,500円(税込)

2回目以降:5,000円(税込)

院長プロフィール

東洋中村はり灸院 院長 中村麻人の写真

中村 麻人(なかむら あさと)

札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。

「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。