後頭神経痛を体質から根本的に整える
ビリッと走る電気痛は、首肩の過緊張と「風寒の邪気」による気血の滞りが原因です。
首肩まわりの緊張と、神経の通り道(経絡)を鍼灸でほどき、再発を遠ざける。
やさしい経絡治療で、痛みを誘発しにくい体質の土台を内側から作り直します。
本ページの内容(目次)
後頭神経痛の「ビリッとした激痛」を、東洋医学の視点から**「首の詰まり」と「冷え」という根本原因で捉え、再発を遠ざける道筋です。
後頭神経痛の概要と症状:「風寒の邪気」による気の流れの閉塞
後頭神経痛は、首の付け根から後頭部にかけて走る神経が刺激を受け、鋭い痛みが起こる状態です。東洋医学では、首の後ろは「風邪(ふうじゃ:冷たい風や寒さ)」が侵入しやすい場所とされ、首肩のこわばり(気血の滞り)によって神経の通り道が圧迫され、痛みが生じると捉えます。まるで、冷たい風が当たり、川の水の流れが凍り付いたように、気血の巡りが遮断されることで激しい痛みが走るのです。
主な症状:気の滞りと過敏な反応
- 後頭部・側頭部・首周りにズキズキ/電撃様の痛み:神経が過敏になり、気血が詰まった状態で、鋭く瞬間的な痛み(電撃痛)や拍動性の痛み(ズキズキ)として現れます。
- 数秒〜数分の短い痛み発作を反復:「不通即痛」による気の詰まりが断続的に起こっている状態を示します。
- 頭皮の違和感・しびれ、耳の後ろの痛み:神経の圧迫や炎症が、感覚の異常や、神経の走行に沿った経絡の詰まりとして現れます。ひどい場合は、自律神経の乱れから吐き気を伴うこともあります。
- 早期の対処の重要性:多くは自然に軽快することもありますが、長引く場合は体質的な冷えや気の滞りが背景にあるサインです。早めの鍼灸治療で気の巡りを回復させることが肝要です。
原因とメカニズム:東洋医学から見た「首の詰まり」と「気の滞り」
後頭神経痛は、後頭部を走行する神経が、首や頭部の筋肉の過緊張によって締め付けられることで起こります。東洋医学では、これらの神経の走行は「太陽経(たいようけい)」や「少陽経(しょうようけい)」といった経絡と深く連動し、気血の巡りが滞る(不通即痛)ことが本質的な原因と考えます。
関与する神経と経絡の連動
痛みが現れる部位は、以下の神経の走行に沿っており、それは経絡の流れとも一致します。
- 大後頭神経:頭頂〜後頭部の痛み。(主に足の太陽膀胱経と連動)
- 小後頭神経:後頭部側面〜耳後部。(主に足の少陽胆経と連動)
- 大耳介神経:両耳の付け根周辺。(主に手足の少陽経と連動)
圧迫因子の例:気血の停滞を招く習慣
以下の要因は、首肩の気血の巡りを悪化させ、神経の通り道を狭くする「物理的な滞り」や「気の滞り」を生み出します。
- 姿勢の悪化・慢性のこり:猫背、ストレートネック、同姿勢の継続は、首肩の筋肉(筋)をさせ、神経を締め付けます。これは気血の運行を妨げる「瘀血(おけつ)」の原因です。
- 環境・生活習慣:枕の不適合、筋の炎症、加齢変化に加え、ストレスは「肝の気」を滞らせ、筋肉を無意識に硬くします。
- 気象変化:雨の前日など気象の変化は、体内の「水(すい)」の巡りを乱し、頭部の水圧(水毒)を高めたり、「風寒の邪気」が侵入するきっかけとなったりします。
西洋医学的アプローチと限界:痛みを「遮断」する対症療法
西洋医学は、後頭神経痛の激しい痛みに対して、迅速に神経の興奮を鎮めるという非常に重要な役割を果たします。しかし、そのアプローチは主に「痛みの信号を一時的に遮断する」対症療法が中心となります。
- 痛みを一時緩和:鎮痛薬、神経の異常な興奮を抑える神経調整薬、局所の炎症と興奮を抑える神経ブロックなどを用いて、痛みの発作を一時的に鎮めます。
- 根治薬の限界:これらの薬は、痛みの「結果」には作用しますが、「痛みを起こしやすい体質(気血の滞りや冷え)」を改善する根治薬ではありません。そのため、薬の効果が切れると再燃しやすいという限界があります。
- 長期的な負担:特に神経調整薬などの長期内服は、眠気やふらつき、胃腸の不調(東洋医学の「脾胃の弱り」)などの副作用が懸念されやすく、患者様にとって大きな負担となりやすいです。
東洋医学の鍼灸治療は、西洋医学がカバーしきれない「再発の土台」にアプローチし、薬に依存しない安定した状態を目指します。
東洋医学(鍼灸)による改善法:神経の通り道の「詰まり」を解消する
後頭神経痛は、首肩の「気血の滞り」が神経を圧迫し、痛みを引き起こします。鍼灸治療の目的は、この経絡の詰まりを解消し、「不通即痛」の状態を終わらせることです。
考え方と進め方:川の流れをスムーズに
痛みの局所だけでなく、全身のバランスを見て、痛みが起こる土台を改善します。
- 四診法で体質を見立てる:脈や舌、お腹の状態から、首肩の緊張や姿勢バランスの根本原因(冷え、ストレス、血の滞りなど)を特定し、治療方針を決定します。
- 経絡治療で循環を整える:鍼灸で筋のこわばり(瘀血・気滞)をゆるめ、後頭神経周囲の気・血・水の循環を改善します。詰まりを取り除き、神経への圧迫を解放するイメージです。
- 生活養生も併用:治療効果を持続させるため、再発を遠ざける姿勢(猫背の改善)や、睡眠リズム、枕の選び方など、日常生活のアドバイスも併せて行います。
代表ツボの一例:後頭部と全身の緊張を緩める
痛みの部位(太陽経、少陽経など)と体質を考慮し、最も効果的なツボを選びます。
| 目的 | 例 | 東洋医学的なねらい |
|---|---|---|
| 後頭部の緊張緩和 | 天柱・風池 | 「風邪」の侵入を防ぐツボでもあり、後頸部〜頭基部の過緊張を緩め、血流を改善します。 |
| 首肩のこわばり | 肩井・肩髃 | 首から肩にかけての筋肉(筋)の気血の滞りを解消し、神経への遠隔的な圧迫を解除します。 |
| 自律神経の整え | 孔最・内関 | 呼吸(肺)と心(精神・循環)に働きかけ、ストレスによる交感神経の過剰な興奮を鎮めます。 |
※痛みの部位、誘因、そして冷えや水毒といった体質によって選穴は都度調整します。
自宅でできるセルフケア:冷えと緊張から神経を守る養生
鍼灸治療と並行し、「気血の滞り(不通)」を防ぎ、神経の過敏性を和らげる日々の養生が大切です。特に冷えと姿勢に注意しましょう。
- 冷やしすぎない:全身の巡り(気血)の改善:首元だけでなく、足湯などで足元を温めることで、全身の血流を促します。「頭寒足熱」を心がけ、首元の保温を徹底して「風邪(ふうじゃ)」の侵入を防ぎましょう。
- ストレッチで「圧迫」を解放:長時間のうつむき姿勢は、神経の通り道を圧迫し、痛みを誘発します。画面を見る時間を減らし、首をゆっくり、やさしく可動させるストレッチを習慣にしましょう。
- 枕調整:睡眠時の負担軽減:枕が高すぎたり低すぎたりすると、後頭部の経絡が圧迫され続けます。後頭部が沈み込みすぎず、頸椎のカーブを保てる、ご自身に合った適切な高さに調整することが重要です。
- ポイントケア:痛点は強押ししすぎず:痛む箇所(阿是穴)は敏感になっています。強く押すと興奮が増すため、温かい指で軽く触れる程度にし、深い呼吸に合わせてゆっくりと圧を入れ、緊張を緩めましょう。
- 食養生:神経の栄養補給:東洋医学でいう「気血」、西洋医学でいう神経機能の維持に必要なビタミンB12を含む食材(レバー、貝類、青魚、卵など)を意識して摂取し、神経の回復を内側からサポートしましょう。
料金について
初回:5,500円(税込)
2回目以降:5,000円(税込)
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
