脱毛症とお身体の状態:
東洋医学における「巡り」の視点から
東洋医学では、髪は全身を巡る血(けつ)の影響を強く受けると考えられ、古くから「髪は血の余り」という言葉が伝えられてきました。これは、お身体の栄養状態や巡りが整い、十分な蓄えができて初めて、髪にその変化が届くという考え方です。
髪の変化は、単なる表面的な事象ではなく、全身のバランスを司る「五臓」の状態を映し出している場合がございます。鍼灸による調整を重ねることで、お身体の内側の巡りを整え、健やかな状態を維持しやすい環境へと整えていくお手伝いをいたします。

髪の悩みとお身体の調和:
本ページで検討する東洋医学の要点
伝統的な知恵に基づき、お身体の状態が髪にどのような影響を及ぼし得るのか、その仕組みと整え方について順を追って記載しております。

お身体の状態と髪の関係:
東洋医学的な視点による背景の整理
脱毛という現象は、お身体のバランスが一時的に崩れていることを知らせる一つの兆候と考えられます。東洋医学では、髪は全身を巡る栄養の「余り」によって養われるという考え方があり、お身体の内側の蓄えや巡りの状態が髪の健やかさに深く関わっていると見ています。
お身体と心の関わりについて
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心理的な緊張と巡りの関係:
不安や緊張が続くと、お身体の「巡り」を司る機能が滞りやすくなることがございます。巡りが滞ることで、髪に必要な栄養が届きにくい状態を招く一つの要因となる場合があります。 -
お身体の個性に合わせた変化:
髪の変化の現れ方は一様ではなく、お一人おひとりの体質や、その時々のお身体の消耗の度合いによって異なる経過を辿ることがございます。
日常生活で考慮すべき要因
以下のような要素が重なることで、お身体の蓄えが消耗され、巡りに影響を及ぼすことが考えられます。
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食事によるお身体への負担:
特定の味覚への偏りや、消化に負担のかかる食生活が続くと、お身体の中で栄養を作り出す力が低下し、蓄えが不足する傾向にあります。 -
休息の質とリズム:
不規則な生活や休息の不足は、お身体の回復機能を妨げる要因となります。夜間にしっかりと休むことは、巡りを整えるための土台となります。 -
お身体全体の負荷:
嗜好品や、長期間の無理な活動などは、全身のバランスを整える役割を持つ機能に負担をかけ、間接的に髪の状態に影響を与えることがございます。

お身体の根源的な力と髪の関係:
東洋医学におけるバランスの捉え方
髪の状態を整えていくためには、お身体のエネルギーの源である「腎(じん)」の働きを補うことと、全身の「バランス」の偏りを緩やかに調整していくことが大切であると考えています。
お身体のバランスと頭部の状態
日々の習慣やお身体の性質によって、頭部の巡りの状態には個人差が現れることがございます。
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お身体が冷えやすい傾向:
特定の食材の取り過ぎなどにより、頭部への巡りが滞りやすくなることがございます。前頭部を中心とした変化に関連する場合があると考えられています。 -
熱がこもりやすい傾向:
お身体を温めすぎる習慣などが続くことで、頭部に過剰な負荷がかかることがございます。後頭部などの変化に関わることがあると見ています。 -
日々の整え:
季節や活動量に合わせ、お身体を内側から労るような過ごし方を心がけることが、巡りを整える一助となる場合がございます。
生命力と髪の関わり
東洋医学では、髪の状態をお身体の「蓄え」が十分であるかを知る指標の一つとして大切にしています。
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蓄えの現れとしての髪:
お身体の成長や維持を司る機能が充実しているとき、その余力が髪に反映されると考えられています。髪の変化は、全身のバランスを映し出す鏡のような側面があります。 -
お身体全体への波及:
蓄えが少なくなっているときには、髪だけでなく、疲れやすさや足腰の頼りなさなど、全身に様々なお身体のサインが現れることがございます。
お身体への負荷を考慮する
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内面への負担:
生活習慣の中で特定の負荷が重なることは、お身体の巡りを維持する機能に影響を及ぼすことがございます。巡りが健やかであることは、髪への栄養供給を維持するために重要な要素となります。

ご自宅での養生:
巡りを促すショウガ油とその役割について
東洋医学では、特定の食材が持つ性質を活かしてお身体の巡りを整える知恵がございます。ショウガはお身体を内側から温め、滞りを緩やかに解きほぐす働きがあると考えられており、頭皮の環境を整えるための補助として用いられることがございます。
- ショウガをすりおろし、汁を絞る (お身体を温め、巡りを促す性質を活かします)
- ショウガ汁と同量のごま油(またはホホバ油など)を混ぜる (油分はお肌に潤いを与え、保護する役割を担います)
- 清潔な綿などに浸し、頭皮に優しく馴染ませる (強い力は避け、穏やかな刺激で巡りを助けます)
ショウガ油によるお手入れは、冷えて強張った頭皮を穏やかに温めることで、お身体の「蓄え」が髪へと届きやすい環境を整える一助となります。巡りが緩やかになることで、髪に必要な栄養が運ばれやすい状態へと導くことが期待されます。

お身体の調整方針:
全身の調和と巡りを整える鍼灸のアプローチ
髪の状態を穏やかに見守るためには、お身体の根源的な維持力を整え、巡りを健やかに保つための土壌を育むことが大切であると考えます。鍼灸による調整は、その時々のお身体の状態に寄り添い、全体の調和を目的として進めてまいります。
- お身体の状態を多角的に把握する 脈の状態やお腹の張り、言葉には現れにくいお身体のサインを丁寧に観察します。これにより、今どこに負荷がかかり、巡りが滞っているのかを慎重に見極めます。
- 全身のバランスを司る「五臓」の調整 生命の蓄えを担う機能を中心に、栄養を作り出す働きや、巡りを管理する働きなど、互いに関連し合うお身体の各機能を整えます。お身体全体の調和を取り戻すことで、巡りがスムーズになるよう働きかけます。
- 穏やかな温熱による巡りの補助 必要に応じて、心地よいと感じる程度の温熱を特定の場所に施します。お身体が冷えを感じている場合など、優しく温めることで巡りの負担が軽くなることがございます。
- 日々の生活に寄り添う養生のアドバイス 鍼灸の調整と並行して、お身体の蓄えを補う食事の工夫や、休息の取り方などについてもお話しいたします。日々の積み重ねがお身体の変化を支える一助となります。

施術に要する費用と、
お身体を整えるための期間の目安について
お身体の内側の蓄えを補い、巡りを緩やかに整えていく過程には、ある程度の時間を要することが一般的です。当院では、短期的な変化のみを追うのではなく、将来を見据えたお身体の土台づくりを目的とした調整を行っております。
今のお身体がどのような状態にあるかを詳しく伺い、東洋医学的な視点からバランスの偏りを確認します。その上で、今後の方針を立て、初回のお身体の調整を行います。
前回からの変化やお身体の反応を見ながら、巡りを妨げている要因を和らげ、蓄えを補うための調整を重ねてまいります。
お身体を整えていくための時間的な目安
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土台を整える時期:
最初の2〜3ヶ月程度は、お身体の巡りの土台を築くために、2週間に1回程度の頻度で調整を行うことが一般的です。まずは日々の負担を和らげることを優先します。 -
巡りを維持する時期:
お身体の状態が安定し始めたら、月に1回程度の頻度で調整を継続することがございます。お身体の自然なリズムに合わせて、無理のない範囲で蓄えを維持していきます。 -
健やかな状態を保つ:
良いバランスを長く保つために、定期的な点検として継続される方もいらっしゃいます。お身体全体の調和を維持することは、将来的な負担を軽くすることに繋がる場合があります。
お身体の調整は、ゆっくりと時間をかけて土地を耕していくような作業に似ています。焦らずに、お身体の声に耳を傾けながら、一歩ずつ進めてまいりましょう。

ご予約・ご相談
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり・腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、病院では原因不明とされる慢性疾患や、治療法が確立されていない症状を中心にはり治療を行っています。
