脊柱管狭窄症に伴う
歩行のつらさと足のしびれへの向き合い方
加齢などにより組織が硬くなり、巡りが滞ることで、足腰に不快感が生じやすくなると考えられています。
東洋医学では、お身体の深部の巡りを整えることで、滞っていた流れを穏やかに促していきます。
休みながらでなければ難しかった歩行が、少しずつ負担の少ないものへと変化が出るよう、調整を進めてまいります。

目次
脊柱管狭窄症に伴う歩行のつらさに対し、お身体の内側の巡りを整え、負担を和らげていくための道筋を各項目に沿ってお話しいたします。

脊柱管狭窄症の概要と、
歩行時に現れる身体の反応について
脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道が、加齢による組織の変化などによって狭くなる状態を指します。通り道が狭まることで、中を通る神経や血管が圧迫されやすくなり、腰や足に特有の不快感が現れることがございます。
お身体の状態を例えるなら、「経年変化によって少しずつ狭くなった通り道を、大切な配線が通っている」ような状況です。この通り道のゆとりが少なくなると、活動時にお身体の巡りが妨げられ、一時的な休息が必要になる場合があります。
脊柱管狭窄症でよく見られるお身体の反応
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足腰に現れるしびれや強張り:
腰からお尻、あるいは足の先にかけて、ジンジンとするようなしびれや、筋肉が強く張るような感覚を覚えることがございます。 -
歩行時の休息が必要な状態:
しばらく歩くと足に痛みやしびれが出て歩きにくくなりますが、座ったり前かがみになったりして休むと、また少し歩けるようになる反応が特徴的です。※前かがみの姿勢をとることで通り道にわずかなゆとりができ、神経への圧迫が一時的に和らぐためと考えられています。 -
その他の変化:
経過によっては、足の感覚が鈍くなったり、日常の排泄に関わるリズムに変化が生じたりする場合もございます。こうした変化に早めに気づき、お身体を整えていくことが大切です。

お身体の変化と症状の仕組み:
姿勢による不快感の変化について
背骨の中心にある神経の通り道は、周囲の骨や靭帯、椎間板によって守られています。加齢などによるお身体の変化に伴い、これらの組織が厚みを増したり形を変えたりすることで、通り道のゆとりが少なくなっていくことがございます。
通り道のゆとりに影響を与える要因
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組織の変化:
椎間板の弾力が変化したり、背骨を支える靭帯が厚くなったりすることで、神経の通り道が徐々に狭まることがございます。 -
日常の負荷の蓄積:
長年の姿勢の傾向や動作の繰り返しが、背骨の特定の部位に負担をかけ、組織の変化を促す一因となる場合がございます。
姿勢としびれ・痛みの関係
通り道のゆとりが少なくなると、神経や周囲の血流が一時的に妨げられやすくなります。特に「姿勢」によって、そのゆとりは大きく変化いたします。
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ゆとりが少なくなる姿勢:
直立したり腰を反らせたりする姿勢では、構造的に通り道が最も狭まるため、神経への刺激が強まり、しびれや痛みが出やすくなることがございます。 -
ゆとりが生まれる姿勢:
椅子に座ったり、前かがみになったりすると、通り道のスペースが一時的に広がるため、刺激が緩和され、症状が和らぐ傾向にあります。
「姿勢を変えることは、神経の通り道の広さを調整すること」とイメージしていただくと、日々の動作の中での変化が理解しやすくなるかもしれません。

整形外科での治療と、
お身体の回復を支える取り組みについて
脊柱管狭窄症の治療は、神経への刺激を和らげ、周囲の炎症を抑えることを目的として行われます。まずは保存的な方法から検討され、お身体の経過を見守りながら、必要に応じて専門的な処置が選択されます。
主な治療の選択肢
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保存療法:
炎症や痛みを抑えるお薬、血行を促す処置、コルセットによるサポート、あるいは神経の近くへの注射(ブロック注射)や、理学療法士によるリハビリテーションなどが行われます。 -
外科的な検討:
保存的な方法では歩行の困難が強まったり、日常生活に著しい不自由を感じたりする場合に、神経の通り道を整えるための手術が検討されることがございます。
多くの場合、数ヶ月単位で経過を観察し、主治医の先生とお身体の状態を相談しながら、次のステップを判断していくことになります。
特性と補完的な視点
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変化の現れ方:
構造的な圧迫が緩和された後も、足のしびれや違和感が残ることがございます。これは、長期間の刺激を受けていた神経や、周囲の巡りが整うまでに時間を要するためと考えられています。 -
画像と体感の違い:
MRIなどの画像検査では強い変化が見られても症状が穏やかな方がいれば、その逆の方もいらっしゃいます。画像は静止した状態を示すものであり、実際の歩行時やお身体の冷えなど、動的な条件までは反映しきれない面がございます。 -
巡りを整える意義:
東洋医学では、お身体の「土台となる巡り」に着目します。構造面への直接的なアプローチは西洋医学の領分ですが、そこへ至るまで、あるいはその後の「神経を養うための巡り」を整えることは、鍼灸などの得意とする分野です。
東洋医学は、西洋医学による適切な処置を土台としながら、お身体が本来持っている回復力を引き出し、巡りを整えることで、日々の負担を和らげるお手伝いをいたします。

東洋医学の視点:
巡りを整え、お身体を支える力を養う
見立ての考え方
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巡りの滞りに着目する:
東洋医学では、画像には映りにくい「気・血」の巡りの滞りが、しびれや痛みを引き起こす一因になると考えます。この滞りを整えることで、不快感が和らぐ場合がございます。 -
全身の状態を観察する:
脈やお腹の張り、舌の状態などを拝見する「四診」を行い、腰だけでなく全身のバランスを確認します。これにより、お身体を支える根源的な力(腎の力)の状態を把握します。 -
自力での回復を支える:
構造的な変化がある場合でも、周囲の巡りを促すことで、神経へ必要な栄養を届けやすくし、お身体が本来持っている維持・回復の力を支えていきます。
「巡りの良い環境を整えることで、お身体の負担を軽減する」という、内側からのアプローチを大切にしています。
施術の内容と配慮
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穏やかな鍼灸刺激:
髪の毛ほどの細い鍼や、温度に配慮したやさしいお灸を使用します。お身体への負担が少ない穏やかな刺激を心がけております。 -
楽な姿勢での施術:
脊柱管狭窄症の方は特定の姿勢でしびれが出やすいことがございます。横向きや座った姿勢など、その時のお身体にとって最も負担の少ない体位を選んでいただけます。 -
専門知識を持つ国家資格者:
解剖学的な知識を備えた国家資格者が、お一人おひとりのお身体の状態に合わせて、無理のない範囲で丁寧に施術を行います。

日常生活での工夫:
お身体の負担を和らげ、歩行を支えるために
脊柱管狭窄症に伴う不快感を穏やかにし、お身体の巡りを維持するためには、日々の何気ない動作の中で神経への負担を減らす工夫が大切になります。
健やかな毎日のための過ごし方
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歩行と休息のバランス:
足に違和感やしびれを覚えた際は、無理をせず腰を下ろすか、少し前かがみの姿勢で小休止をとるようにしましょう。これにより、神経の通り道に一時的なゆとりが生まれ、負担が軽くなる場合がございます。 -
短距離を丁寧に歩く:
一度に長い距離を歩こうとするのではなく、途中で休憩を挟みながら「無理のない距離を数回に分けて歩く」ことで、お身体の巡りを妨げずに活動を維持しやすくなります。 -
温めと緊張の緩和:
腰周りやお腹を温めることは、冷えによる巡りの滞りを防ぐ助けとなります。また、ゆっくりと息を吐くことを意識すると、無意識のうちに入っている全身の力みが抜け、お身体が緩みやすくなります。 -
休息のリズムを整える:
規則正しい睡眠時間を確保することは、お身体の回復力を養うための土台となります。就寝前は目や頭を休め、静かな環境で深く休めるよう意識してみましょう。 -
動作の際の意識:
急に腰を反らせたり、重いものを片方の手だけで持ったりする動作は、背骨への偏った負担を招くことがございます。できるだけ左右均等に、そして穏やかな動きを心がけてみてください。

施術の費用と、
お身体の巡りを整えるための通院の考え方
当院では、お身体の巡りを整えることで、神経を養う力を高めていくことを目指しております。施術は自由診療となりますが、長期的なお身体の維持という視点を大切に、丁寧に進めてまいります。
現在のお身体の状態を詳しく伺い、東洋医学的な視点から、巡りを妨げている要因を丁寧に見極めていきます。
初回で見立てた方針に基づき、全身のバランスを整えながら、腰周りや足の巡りを促す調整を重ねていきます。
お身体の状態に合わせた通院の目安
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初期の段階:
しびれや痛みによって、歩ける距離が限られている時期などは、週に1〜2回ほどの調整を重ねることで、お身体の巡りが定着しやすくなる場合がございます。 -
安定への段階:
日常生活の中での不快感が和らいできた時期は、週に1回ほどのペースでお身体の「支える力」を養っていくことが、安定につながると考えています。 -
維持の段階:
活動範囲が維持できている時期は、2〜3週間に1回、あるいは月に1回ほどのメンテナンスを行うことで、再び巡りが滞ることを防ぐ助けとなります。
「お身体の調整は、枯れかけた植物に少しずつお水を与えるようなもの」かもしれません。一度にたくさん与えるよりも、適切な頻度で巡りを整えていくことが、健やかな状態を保つための近道となることがございます。
お一人おひとりの生活環境やご希望に合わせ、無理のない計画を一緒に考えてまいります。

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院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
