喘息・咳喘息に伴うお身体の負担を
巡りの調整によって和らげる
息苦しさや長引く咳は、お身体が外からの刺激に対し、敏感に反応しているサインかもしれません。
西洋医学による適切な処置を大切にしながら、東洋医学の視点で「内側の充実」と「巡りの調和」を見つめ直します。
季節や環境の変化に左右されにくい、穏やかな呼吸を取り戻す一助となれば幸いです。

目次
息苦しさや長引く咳と共に歩まれている方へ。東洋医学の視点からお身体のバランスを見つめ直し、平穏な呼吸へと繋がる道筋をご案内します。

喘息・咳喘息のあらまし:
呼吸の通り道に起きていること
喘息は、呼吸の通り道(気道)が敏感な状態になり、温度の変化や埃などのわずかな刺激に対して、通り道が一時的に狭くなることで起こる反応と考えられています。
例えるなら、「空気を運ぶホースの内側が敏感になり、何かの拍子にギュッと締まって通りにくくなっている」ような状態と言えます。
主なサインと状態について
通り道の変化により、呼吸の際にお身体が以下のような反応を示すことがあります。
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呼吸の際の音(喘鳴):
息を吐くときに聞こえる「ゼーゼー」といった音は、通り道が狭くなっている一つの目印となります。 -
息苦しさや咳の重なり:
夜間や早朝、あるいは急に寒い場所へ移動した際などに、お身体の反応が強く出やすい傾向があります。 -
お身体の負担:
反応が長引くと、お身体全体に疲れが溜まりやすくなり、呼吸に多くの力を必要とするようになります。
時期や状況による傾向
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大人になってからの場合:
環境の変化や日々の重なりが影響していることが多く、西洋医学の助けを借りながら、同時にお身体全体の巡りを見つめ直すことが大切です。 -
お子様の場合:
成長と共にお身体がしっかりしてくることで、次第に落ち着いていくケースも多いですが、その間の負担をできるだけ軽くしてあげることが望まれます。 -
咳のみが続く場合(咳喘息):
音を伴わない咳が長く続く状態です。この段階でお身体を休め、調子を整えておくことで、その後の呼吸の平穏に繋がる場合があります。

お身体の背景:
呼吸の敏感さを高める要因について
呼吸の通り道が敏感になっているところに、さまざまな刺激(きっかけ)が加わることで、お身体が過剰に反応してしまうことがあります。
これらには、身の回りの環境によるものと、お身体の内側の状態によるものとがございます。
1. 外からの刺激(環境の影響)
お身体の外側にあり、呼吸の通り道へ直接的な影響を与えるきっかけです。
- 環境の中にあるもの: 住まいの中の埃やちり、季節の花粉、動物とのふれあい、カビなどが、反応の引き金となる場合があります。
- 空気の状態: 煙草の煙や、空気中に含まれるさまざまな微粒子、強いにおいなどが刺激となることがあります。
- 自然の変化: 急な気温の変化(寒暖差)や空気の乾燥、あるいは運動によって息が上がることも、きっかけの一つです。
- 体調の波: 風邪などの一時的な体調の変化も、呼吸の通り道を敏感にしやすくします。
2. 内からの影響(お身体の状態)
お身体の内側のバランスが変化することで、敏感さが増してしまう要因です。
- 日々の重なりと休息: 強い緊張や、休息が十分でない状態が続くと、お身体を守る働きと休ませる働きの均衡が崩れ、通り道が狭まりやすくなる場合があります。
- 巡りの変化: お身体の周期的なリズムや、内側のバランスの変化が、呼吸の状態に影響を及ぼすことも知られています。
- 反応の重なり: これらのきっかけが重なり合うことで、通り道が敏感な状態が続き、日常的な呼吸に負担を感じるようになる場合があります。

東洋医学の視点:
内側の充実と守る力の揺らぎ
東洋医学では、喘息や咳喘息を単なる呼吸器の問題としてではなく、お身体全体を調整する力の不足として捉えることがあります。
例えるなら、お身体を取り巻く「目に見えない防壁」が薄くなっており、季節の変化や寒暖差といったわずかな「風」の影響を受けやすくなっている状態です。
お身体の内側で起きていること
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守る力の揺らぎ:
東洋医学では、皮膚や粘膜の強さ、お身体の外側を守る働きは一つの系統として繋がっていると考えます。この力が弱まると、呼吸の通り道が刺激に対して敏感に反応しやすくなります。 -
時期や時間との重なり:
特定の季節や、一日のうちでも朝方の冷え込みが厳しい時間帯にお身体の力が不足しやすくなる場合があります。この時間帯に呼吸が乱れやすいのは、お身体の内側からの静かなサインかもしれません。 -
お腹の状態との繋がり:
呼吸の状態と、お腹(消化器)の巡りは密接に関わり合っていると考えられています。便秘や下痢といったお腹の揺らぎが、呼吸の安定に影響を及ぼすこともあります。 -
巡りの滞り:
内側の力が不足すると、全身の巡りが滞りやすくなります。これが、疲れやすさや、寒暖の変化への対応のしにくさに繋がることがあります。
同時に現れやすいお身体のサイン
東洋医学的な視点では、以下のような一見関係のなさそうな変化も、同じ一つのバランスの揺らぎとして捉えることがあります。
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表面の敏感さ:
風邪をひきやすい、お肌の乾燥やゆらぎ、鼻のむずむず感など。 -
お腹と冷え:
お腹の張りや不調、手足の先が冷えやすい、トイレが近くなるといった変化。 -
心の揺らぎや眠り:
なんとなく気持ちが沈みやすい、眠りが浅いと感じる、朝起きたときの重だるさ。 -
身体のこわばり:
首や肩まわりが突っ張る感じがしたり、動き出しにお身体の重さを感じたりすること。

お身体を支える二つの視点:
今の負担を和らげることと、土台を調えること
呼吸の状態を安定させるためには、西洋医学による迅速な対応と、東洋医学によるお身体の土台作り、その両方がそれぞれの役割を担っています。
お身体の状況に合わせて、これらを補完し合うように活用していくことが望ましいと考えられます。
病院での対応
(今の辛さを抑える)
- 主な目的: 激しい咳や呼吸の苦しさを速やかに和らげ、通り道の反応を落ち着かせることを得意とします。
- 例えるなら: お身体に起きた「急な火の勢いを止める消火活動」のような役割です。
- 活用のしかた: 吸入や内服のお薬によって、日常生活に支障が出ないよう、今の状態をコントロールするために用いられます。
- 考えておきたいこと: お薬による支えを受けながらも、並行してお身体そのものが持っている「過敏さ」の背景にも目を向けていくことが、長期的な安定に繋がる場合があります。
東洋医学(鍼灸など)
(お身体の土台を調える)
- 主な目的: お身体本来の「守る力」を補い、巡りを調えることで、外部の刺激に揺らぎにくい状態を目指します。
- 例えるなら: お身体という「建物の土台から、熱や風に強い構造へ見直していく」ような働きかけです。
- 活用のしかた: 鍼灸や日々の養生を通じて、全身のバランスを調整します。これにより、呼吸の通り道の過敏さが少しずつ和らぎ、お身体の負担が軽くなる場合があります。
- 長期的な視点: お身体の内側の力が充実してくることで、お薬の使用頻度が変わったり、季節の変化への対応力が備わってきたりすることが期待されます。

当院の取り組み:
巡りを調える施術と、日々の養生
当院では、呼吸の通り道の敏感さを和らげるため、お身体の内側にある「守る力」の充実を目指した施術を行っています。
お身体のバランスを調える
施術の視点
その日の体調やお身体のサインを丁寧に確認し、全身の巡りを調整していきます。
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お一人おひとりに合わせた調整:
お身体の状態は日々変化します。その時の巡りの偏りを見極め、必要な場所に穏やかな刺激を加えることで、全体の調和を図ります。 -
呼吸とお腹の巡りを助ける:
呼吸に関わる通り道と、お腹(消化器)に関わる通り道は、お互いに支え合っています。この両方の流れを調えることで、呼吸の負担が軽くなる場合があります。 -
刺激の少ない優しい施術:
お身体への負担を考慮し、細い鍼(はり)や心地よい温かさのお灸を用います。緊張を解きほぐすことで、お身体が本来の休息をとれるよう促します。 -
休ませる働きのサポート:
特に夜間や早朝に現れやすい揺らぎに対し、お身体をリラックスさせる働きを助け、通り道が狭まる反応を和らげることを目指します。
健やかさを保つための
日々の過ごし方
施術で整えたバランスを維持し、お身体を健やかに保つためには、日常生活での配慮も大切です。
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お身体を温め、休める:
湯船にゆっくり浸かることや、首元や足を冷やさない工夫は、内側の力を守る助けとなります。また、決まった時間に休むことは、巡りの安定に繋がります。 -
お腹に優しい食事:
冷たいものや、お腹に負担のかかる食事を控え、温かいものを中心に摂ることで、内側からの充実を支えることができます。 -
環境との調和:
住まいの中を整え、刺激となるものをできるだけ避けることは、呼吸の通り道を休ませるために有効な方法の一つです。

施術料と、お身体を調えるための
期間の目安
当院の施術は、お身体の内側にある「守る力」を充実させ、刺激に対して揺らぎにくい土台を作ることを目的としています。
自由診療(保険外)となりますが、長期的な視点でお身体の負担を軽くしていくための取り組みです。
現在の呼吸の状態や、お腹の巡り、お身体全体のバランスを詳しく確認します。その上で、今後どのような方針でお身体を支えていくか、計画をご提案します。
その時々のお身体の揺らぎに合わせ、巡りを調える施術を重ねます。併せて、ご自宅で無理なく続けられる養生法についても、お身体の変化に合わせてお話しします。
お身体を調えていく過程の目安
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初期(変化のきっかけを作る時期):
週に1回、あるいはお身体の状態によっては2回ほど、集中的に巡りを調えることが望ましい場合があります。まずは敏感になっている反応を穏やかにすることを目指します。 -
中期(安定感を養う時期):
お身体の反応が落ち着いてきたら、週に1回程度のペースで、土台となる力を蓄えていきます。寒暖差などへの対応力が少しずつ備わってくる時期です。 -
維持期(健やかさを保つ時期):
状態が安定した後は、2〜4週間に1回程度のメンテナンスに移行します。季節の変わり目など、お身体が揺らぎやすい時期の備えとして活用していただけます。
お身体の状態を調えることは、長い年月をかけて少しずつ積み上げていく作業に似ています。
最初は細かな積み重ねが必要になりますが、内側の力が充実してくれば、外からの刺激に対しても過敏に反応しすぎない、穏やかな状態が保たれやすくなります。

ご予約・ご相談
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、病院で原因不明・治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
