めまい(メニエール・浮遊感)の 再発を防ぐ内耳と自律神経の体質改善
めまいは平衡感覚の「羅針盤」の乱れであり、その原因は腎(生命力)や肝(自律神経)の偏り。
症状だけを追わず、全身の巡りと水分代謝のバランスにアプローチ。
西洋医学と併用しつつ、経絡治療と養生で再発しにくい強固な土台づくりを目指します。

本ページの内容(目次):めまいの再発を防ぐ内耳と自律神経の体質改善アプローチ
繰り返す「ふわふわ・ぐるぐる」に悩むめまいに対し、腎(生命力)と肝(自律神経)のバランスを整え、平衡感覚の土台を安定させる東洋医学の道筋を解説します。

めまいの概要と種類:平衡感覚の「羅針盤」の乱れと緊急性の判断
めまいは、体のバランスを保つ平衡感覚の「羅針盤(心臓、耳、目、脳の連携システム)」が乱れることで生じる、自分自身や周囲が動いているような感覚です。その症状は回転性(ぐるぐる)、浮遊感(ふわふわ)、立ちくらみなど多彩で、頭痛・吐き気・耳鳴りを伴うこともあります。
日常生活に大きな影響があり、重度では立てない・嘔吐に至る場合もあります。
末梢性のめまい(東洋医学が注力する領域)
原因の多くは、平衡感覚を司る耳(内耳、三半規管、前庭)の不調が関与するタイプです。
- 症状のタイプ: 回転性(内耳のリンパ液の異常など)が多い。
- 原因の例: メニエール病、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、突発性難聴に伴うものなど。
- 東洋医学の役割: 内耳の血流改善、水分の滞り(水滞)、自律神経の乱れの調整に焦点を当てます。
中枢性のめまい(最も緊急性の高いタイプ)
脳の病気(小脳、脳幹など)が背景にあるタイプで、命に関わる可能性があるため、厳重な注意と早期受診が必要です。
- 症状のタイプ: 激しい回転性または浮遊感。
- 警戒すべき症状: 手足のしびれ、麻痺、激しい頭痛、ろれつが回らないといった脳神経症状を伴う場合。
- 対応: 命に関わる「緊急事態」です。これらの症状を伴う場合は、速やかに神経内科や救急病院を受診してください。

西洋医学の見解と限界:多因子が関与するめまいの根本治療の課題
めまいの診断において、西洋医学は中枢性のリスク除外や平衡器官(内耳)の機能評価に重要な役割を果たします。しかし、原因の特定と体質からの根本治療には限界があります。
主な治療と課題
- 原因特定が難しいケースが多い: めまいは、平衡器官(耳)の障害、自律神経の乱れ、ストレス、血流の悪化など、多因子が複雑に関与して起こります。そのため、特定の原因を断定できないケースが多いです。
- 薬物による対症療法が中心: 多くの場合、内耳の血流を改善する薬、めまいを抑える薬、自律神経を整える薬などが処方されます。これは、平衡感覚の「羅針盤」の揺れを薬で一時的に押さえつける対症療法が中心です。
- 再発を繰り返す課題: 薬で急性期の症状は軽快しても、めまいを引き起こした体質の偏り(東洋医学の「水滞」や「気滞」)が改善されていないため、再発を繰り返す例が少なくありません。

東洋医学の原因:めまいの二大タイプを「腎」と「肝」の不調から分類
東洋医学では、めまいを「平衡感覚を司る臓腑の連携不全」と捉え、特に生命力を司る腎(じん)と自律神経を司る肝(かん)の機能低下に注目します。めまいの症状の違いは、この二つの臓腑のどちらがより深く関わっているかを示しています。
タイプ1:ふわふわ・浮遊感は「腎の不調(エネルギー不足)」
腎は生命力の根源であり、体の上部(頭部)に十分なエネルギーと血流を上げる力を司ります。腎が弱ると、全身に力がなくなり、ふわふわとした不安定なめまいが生じます。
- 関連症状: 加齢や体力低下によるもの、低血圧(血を押し上げる力不足)、下半身の冷え、腰の重だるさ、骨の弱り、耳鳴り、頻尿など。
- 例え: 建物全体の「土台(基礎体力)」が弱く、地震でなくても常に揺れているような状態です。
タイプ2:ぐるぐる・回転性は「肝の不調(気の過剰な高ぶり)」
肝は気の巡りと自律神経を司り、ストレスによって気の流れが滞ると、そのエネルギーが頭部に突き上げられ、激しいめまいが生じます。
- 関連症状: ストレス・緊張、イライラ、婦人科トラブル(月経痛、PMS)、末端冷え、アレルギー、高血圧など、「詰まり」と「高ぶり」**が混在します。
- 例え: 体内の「蒸気圧」が上がりすぎて、安全弁が壊れ、激しく吹き出しているような状態です。
東洋医学では、めまいをこれらの体質タイプに分類し、「気・血・水」の巡りと五臓(肝・心・肺・脾・腎)のバランスを整えることで、めまいを再発させない体を根本から構築することを目指します。

鍼灸による改善と施術特徴:平衡感覚の「羅針盤」を体質から安定させる
鍼灸治療は、めまいの原因となる内耳の血流障害や自律神経の乱れに対し、全身の体質を根本から調整することでアプローチします。目標は、薬で抑えるだけでなく、めまいを再発しにくい体を作ることです。
鍼灸がめまいに効く理由(全身を診る総合アプローチ)
- 総合アプローチによる根本改善: めまいの原因である体質、生活、心身ストレスまで含めて調整し、平衡感覚の乱れの根源を断ちます。
- 自然治癒力の賦活: 全身の気・血・水の巡りを整え、内耳のリンパ液の滞りや神経の炎症を自己の回復力で押し流すことを後押しします。
- 個別最適化された治療: めまいが「ふわふわ(腎虚)」タイプか「ぐるぐる(肝の偏り)」タイプかを見極め、患者様の症状と体質に応じた最適なツボ選定を行います。
- 副作用が少ない安全なケア: 薬に頼りすぎないケアであり、めまい止めなどに伴う眠気や胃腸の不調といった副作用の懸念が少なく、安心して継続できます。
治療のねらいは、バランス感覚の「羅針盤」が、環境の変化でグラグラしないよう、土台(体質)を固めることです。
施術の進め方と体質別調整の要点
- 東洋医学の評価 四診(望・聞・問・切)を使い、西洋医学では数値化できない全身のバランスの偏りを評価します。
- 本治法の重視: 症状の緩和だけでなく、めまいの背景にある原因(腎虚、肝の熱など)を是正する本治法を重視し、再発を防ぎます。
- 腎/肝を中心とした調整: ふわふわめまいには腎を、回転性めまいには肝を中心に、脾(水液代謝)など、必要に応じて他臓腑も同時に調整し、全身の調和を図ります。
- 安心・安全な施術: 痛みの少ない極細鍼・温かくやさしいお灸を使用します。急性期のめまいは強い刺激を避けるべきため、穏やかな刺激にこだわります。

自宅でできるセルフケア:めまいの再発を防ぐ生活と運動のヒント
鍼灸治療の効果を定着させるためには、日常生活で自律神経の安定と内耳への血流改善を促すセルフケアが非常に重要です。
体質別セルフケア 3つの柱
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血流と自律神経を調える運動・ストレッチ:
心臓から頭部への血流をスムーズにし、過緊張(肝の乱れ)を解きます。
- 首肩の体操・ストレッチ: ゆっくりと首を回す、肩甲骨を回す、うなずき運動などで、脳と耳へ向かう血管の周囲の緊張を解き、血流を改善します。
- 平衡訓練(リハビリ): 医師の指導のもと、眼球運動や立位での軽い運動を行い、脳のバランス感覚を再教育します。
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東洋医学の視点からの食事の見直し:
内耳の水分代謝(水滞)を整え、生命力(腎)を補う食材を積極的に摂ります。
- 巡りを助ける食材: ゴマ・ナッツ(抗酸化、血流改善)、イワシ・サバ(EPA/DHA、血をサラサラ)、黒豆・海藻**(腎を補強)。
- 避けるべきもの: 体内の水分を滞らせる冷たい飲食や甘いもの、濃い味付けを控えめにします。
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ツボと睡眠による休息(補助):
めまいの発作時に役立つツボや、疲労回復を促す習慣を取り入れます。
- 耳ツボ・お灸(補助): 神門(自律神経のツボ)などの耳ツボ押し。足三里など全身のツボにお灸は、火傷に注意し専門家の指導下で行うと効果的です。
- 良質な睡眠: 夜更かしを避けることが、疲労を司る腎(じん)の回復に最も重要です。
セルフケアはあくまで治療の補助輪です。改善が乏しい・不安がある場合は、重度の合併症や進行性の病態の可能性もあるため、早めに専門家にご相談ください。

めまい(回転性・浮遊感)専門施術の料金と再発を防ぐ通院ペース
当院のめまいに対する経絡治療は、内耳の血流と水分代謝、そして自律神経の過緊張を整えることに焦点を当てています。症状のタイプ(回転性/浮遊感)に合わせたオーダーメイドの体質改善が目標です。自由診療(保険外)となります。
初回カウンセリング+施術
詳細な問診と東洋医学的診断(四診法)に基づき、**めまいのタイプ**(腎虚・肝の偏り・水滞など)を特定し、治療計画を立案します。
2回目以降(通常施術)
その日の症状に合わせ、平衡感覚の羅針盤を安定させること、および再発を防ぐ体質強化を目的とした経絡治療を行います。
効果を最大化する通院ペースの目安(再発予防の戦略)
- 急性期(回転性が強い時期): 週に2~3回の集中治療が必要です。内耳の炎症・むくみ、および自律神経の過緊張を早期に鎮静させることに焦点を当てます。
- 安定化期(症状が落ち着いてきた時期): 週に1回のペースで、腎(生命力)と肝(自律神経)の機能を根本から立て直し、めまいを起こさない体質を構築します。
- 維持期(症状が安定した時期): 症状が安定したら、2〜3週間に1回、あるいは月に1回のペースで、再発予防と全身の疲労回復を目的としたメンテナンスを行います。
めまいの体質改善は船のバランス調整に似ています。嵐の中(急性期)は集中して姿勢を制御し、波が穏やかになったら(安定期)船の重心(体質)を根本から安定させることで、次に波が来ても大きく揺らがないようになります。まずは集中的に通院し、早期に平衡感覚を取り戻しましょう。


院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
