顔面神経麻痺

顔面神経麻痺の定義と症状

顔の動きを司る顔面神経の伝達が弱まり、片側の表情筋が思うように動かしづらくなる状態です。食べる・話す・瞬きなど日常動作に影響しやすく、乾燥感や感覚の違和感が伴うこともあります。

主な症状

  • 片側の目・口が動かしにくい、左右差が出る
  • 目を閉じにくい/乾燥しやすい、口角の下がり
  • 味覚の変化、聴覚過敏、涙・唾液の変化
  • 見た目の変化による心理的ストレス

主な種類(ベル麻痺/症候性)

特発性(ベル麻痺):明確な原因が特定されない末梢性の顔面神経麻痺。ある日突然、片側に生じるのが一般的です。

症候性:中耳の炎症、ウイルス、外傷など原因が推定されるもの。まれに中枢性(脳疾患など)に伴う顔面筋の障害もあります。

西洋医学の見解と一般的な対応

  • 末梢性(特にベル麻痺)では、発症早期に薬物療法(例:ステロイド・抗ウイルス薬など)が選択されることがある
  • 経過に応じてリハビリテーションを併用
  • 重症/難治例では外科的処置が検討される場合もある

※症状や経過には個人差があるため、医療機関での評価と方針確認を推奨します。

東洋医学の見立て(体質と外的要因)

体質の背景

  • 体力・免疫の低下、冷え、全身のこり
  • 気血のめぐりが弱く、筋・皮膚の潤い不足
  • 睡眠・消化の乱れ、自律神経のアンバランス

外的要因(外邪)の影響

  • 季節の変わり目・強風・急な寒暖差・湿気
  • 体表の防衛が落ちると、顔周囲の循環が乱れやすい

鍼灸で用いる代表的なツボ

ツボ要点
合谷(ごうこく)手の要穴。顔面の巡りを助け、こわばりをゆるめる。
曲池(きょくち)手のだるさ・肩こり背景のある緊張を軽減。
風池(ふうち)首肩〜後頭部のこわばりをゆるめ、顔の動きの土台を整える。
肩髃(けんぐう)・扶突(ふとつ)肩〜頸部の循環を促し、顔面神経の通り道の環境を整える。
足三里(あしさんり)体力・消化機能の底上げ。全身の回復力を支える。

※症状や体質により選穴は都度調整します。顔への直接刺激にこだわらず、全身から整える方針です。

施術アプローチ(四診法〜経絡治療)

四診法で体質を掘り下げる

  • 望診・聞診・問診・切診を通じて、からだ全体の状態を把握
  • 睡眠・消化・冷え・皮膚・鼻や喉の調子まで総合的に評価

経絡治療 × 生活養生

  • 気血のめぐりと体表の防衛を高め、回復の土台づくり
  • 温かい食事・適度な保温・睡眠リズムなどの養生を併行
  • 無理のない刺激設計で、初めての方でも安心

日常でできるセルフケア

  • 保温と休養:首周り・頬の冷え対策、睡眠リズムを整える
  • やさしい咀嚼:片側ばかりで噛まない・歯の食いしばりを避ける
  • リラックス習慣:深呼吸・軽いストレッチ・入浴でめぐりを促す
  • 食の見直し:温かい和食を中心に、冷たい飲食や糖分は控えめに

料金について

初回:5,500円(税込)

2回目以降:5,000円(税込)

院長プロフィール

東洋中村はり灸院 院長 中村麻人の写真

中村 麻人(なかむら あさと)

札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。

「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。