多汗症(手・全身)とお身体の巡り:
東洋医学による調和の視点
絶え間ない汗や不意に現れる湿りは、お身体を外気から守るバリアのような機能が、一時的に緩やかになっているサインかもしれません。
西洋医学的なアプローチを尊重しつつ、東洋医学では内側にこもった熱を穏やかに鎮め、お身体の表面を引き締める力の充実を図ります。
例えるなら、開きすぎた窓を丁度よい加減に閉め、心地よい風を通すような調整です。日々の暮らしの中でのご負担が、少しずつ軽くなる場合があります。

本ページの内容:お身体の巡りと汗の調節について
過剰に現れる汗の背景にあるお身体のバランスを見つめ、巡りを整えることで、日々の負担を和らげていくための道筋をご紹介します。

多汗症の現れ方とお身体の調節:
巡りと防衛機能の視点
多汗症は、体温を調整するために必要な範囲を超えて、予期せぬ場面で多くの汗が現れる状態を指します。西洋医学的な管理を大切にしながら、東洋医学ではこれを「お身体を巡るエネルギーを留めておく機能」の変化として捉えます。
お身体の表面を守るバリアの締まりが緩くなり、内側の潤いがこぼれ落ちてしまっているような状態と考えることもできます。
現れ方の違いとお身体の背景
- お身体全体に現れる汗: お身体の表面を守る力が弱まっていたり、内側に熱がこもりやすくなっていたりすることで、全身から汗が漏れやすくなる場合があります。
- 手のひらや足の裏などの汗: 精神的な緊張や自律神経の働きが、特定の部位に強く反映されるタイプです。内側の熱を逃がす力のバランスが、一時的に不安定になっていることが考えられます。
- 特定の時期やのぼせを伴う汗: 年齢に伴うお身体の変化や、潤いの不足によって、お身体が熱を帯びやすくなっている状態です。お身体を穏やかに鎮める力を補う視点が大切になります。
これらの現れ方は、お身体の状態を映し出す大切なサインです。一つひとつの反応を丁寧に見つめ、巡りを整えていくことで、日々の負担が軽くなる場合があります。

生活の中での影響度:
お身体の状態と日常生活の重なりの目安
汗の現れ方による不自由さは、お身体が本来持っている「調整する力」がどの程度揺らいでいるかを知る一つの指標となります。ご自身の日常と照らし合わせながら、現在の状況を静かに見つめてみてください。
例えるなら、お身体という器から潤いがこぼれやすくなっており、その分だけ活動の支えが心もとなくなっているような状態 と言えるかもしれません。
| 目安 | 日常生活におけるお感じ方 |
|---|---|
| 段階 1 | 汗を意識することはあっても、日常の活動が妨げられることはほとんどありません。 |
| 段階 2 | 時折、汗による不自由さを感じることがありますが、工夫をすれば過ごせる範囲内です。 |
| 段階 3 | しばしば汗が気になり、仕事や人との関わりの中で強い不自由さを感じることが増えています。 |
| 段階 4 | 常に汗のことが気がかりになり、日常生活や社会生活において非常に大きな負担を感じている状態です。 |
段階が上がるにつれて、お身体の消耗や緊張が積み重なっていることが考えられます。こうした場合には、東洋医学的な視点から巡りを整えることで、日々の負担が和らぐ場合があります。

汗の現れ方に関わる要因:
西洋医学と東洋医学のそれぞれの視点
汗が止まらなくなる背景には、お身体の調整機能の乱れが関わっていると考えられています。西洋医学と東洋医学では、その原因を捉える「窓口」が異なりますが、どちらもお身体の安定を目指す点では共通しています。
西洋医学的な捉え方
- 自律神経の働きや、甲状腺をはじめとするホルモンバランスの変動が関わっていると考えられています。
- 検査では明らかな異常が見つからない、いわゆる原因特定が難しいケースも少なくありません。
- 主な対応は、お薬や局所への処置など、今出ている反応を和らげることを目的としています。
東洋医学的な考え方
- お身体の表面を守り、毛穴の開閉を調節する機能が、一時的に緩やかになっている状態を見つめます。
- 内側の潤いを留めておく力が不足することで、本来は必要のない場面でも汗が漏れ出してしまうと考えます。
- お身体全体のバランスを整えることで、汗の出方が自然な範囲に収まるよう働きかけます。
例えるなら、お身体を「潤いを蓄える器」と捉え、その器に生じた小さな緩みを丁寧に整えていくような視点でお話を伺っていきます。どちらの医学が正しいということではなく、多角的に見つめることで、負担が軽くなる場合があるからです。

鍼灸によるお身体の調整:
巡りを整え、発汗のバランスを健やかに保つアプローチ
多汗の現れは、お身体の表面を守る機能が一時的に緩やかになっているサインと考えられます。鍼灸では、この「表面の締まり」を整え、過剰な反応を鎮めることで、お身体の内側から安定を図ります。
お身体を見極め、土台を整える
- お身体の声を聴く: 汗の出る部位や時間帯、お身体の疲れ具合などを詳しく伺います。脈やお腹の張り、舌の状態から、巡りが滞っている場所を丁寧に見極めます。
- 防衛機能の調律: お身体を外気から守る機能を整えることで、本来必要のない場面で汗が漏れ出してしまう状態を和らげていきます。
- 全体の底上げ: 例えるなら、開きっぱなしになっていた窓の建て付けを直し、心地よい風が通るように調整するような施術を行います。これにより、お身体全体の余力が蓄えられ、日々の負担が軽くなる場合があります。
調整に用いるツボの視点
お一人おひとりの体質や、その時々のお身体の状態に合わせて、刺激の量や場所を選んでいきます。
| 目的 | 東洋医学的なねらい |
|---|---|
| お身体の表面を整える | 外の刺激に対するお身体の反応を安定させ、汗の出口の開閉を健やかに保ちます。 |
| 緊張を穏やかに鎮める | 精神的な高ぶりや、自律神経の過剰な働きを抑え、気持ちの落ち着きを支えます。 |
| 水の巡りを助ける | 体内の余分な水分が滞らないよう、排出と循環のバランスを整えます。 |
| 蓄える力を補う | 消化吸収を助け、お身体の基礎となる力を養うことで、疲れにくい体質作りを支えます。 |
※刺激は極めて穏やかに行います。強い刺激がお身体の負担にならないよう、慎重に設計いたします。

お身体に現れやすいサイン:
発汗の背景にあるバランスの重なり
汗の現れ方は、お身体の内側の状態を映し出す鏡のようなものです。東洋医学では、汗そのものだけでなく、日常的に感じている小さなお身体の変化を併せて見つめることで、巡りの偏りを確認していきます。
- 呼吸器や皮膚の繊細さ: 鼻炎や花粉症、あるいは風邪をひきやすいといった傾向がある場合、お身体の表面を守るバリアの働きが一時的に緩やかになり、汗の出口の開閉が不安定になっている場合があります。
- 眠りの質や疲れの残り方: 眠りが浅い、あるいは朝からお身体が重く感じるといった状況は、休息を司る機能の消耗を示唆していることがあります。精神的な緊張が重なることで、より発汗を促しやすい状態になる場合があります。
- 季節や気温の変化への適応: 寒暖差でお身体を崩しやすい方は、外の環境変化に合わせてお身体を整える力が揺らぎやすく、それが汗の調節の難しさとして現れることがあります。
- 腰や足まわりの違和感: 東洋医学において、水分代謝の調節は腰まわりの状態とも深く関わっていると考えられます。過去にぎっくり腰を経験されているなど、腰に負担を感じやすい方は、お身体全体の水の巡りのバランスが影響している場合があります。
- 嗜好品や過去の状況: 刺激の強い食事を好む傾向や、一時的な抜け毛の経験などは、お身体の内側に熱がこもりやすくなっているサインとして捉えることがあります。
例えるなら、これらはすべて「お身体という一本の木」の根や枝葉に現れた反応と言えます。一つひとつのサインを丁寧につなぎ合わせることで、なぜ今、汗のご負担が増えているのかを紐解いていくことができます。

日常の養生:
お身体の巡りを整え、穏やかな状態を保つための工夫
施術の効果を支え、お身体の調整機能を健やかに保つためには、日々の過ごし方が大切になります。ご自身のペースで取り入れられることから、少しずつ始めてみてください。
- お身体を冷えから守る: 首元や足元を冷やさないように心がけることで、巡りがスムーズになる場合があります。冷たい飲食物はお身体の内側の力を消耗させやすいため、なるべく温かいものを選ぶようにしましょう。
- 呼吸を穏やかに整える: 浅い呼吸は緊張を高める要因となることがあります。ゆっくりと息を吐き出す時間を意識することで、自律神経の働きが和らぎ、発汗の反応が落ち着く場合があります。
- 入浴で芯から温まる: シャワーだけでなく、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、全身の緊張が解けていきます。これはお身体の表面のバリア機能を健やかに保つ助けとなることがあります。
- お食事への配慮: 例えるなら、お身体という「器」に余計な熱を溜め込まないようにすることが大切です。刺激の強いものや甘いものを控え、和食を中心としたお食事を心がけることで、巡りの滞りが和らぐ場合があります。
- 心地よい刺激でツボを労わる: 手の甲や足首にあるツボを、優しく指圧したり温めたりする習慣を持ちましょう。お身体のバランスを内側から整え、日々の緊張を和らげる手助けとなります。

料金について
初回:5,500円(税込)
2回目以降:5,000円(税込)
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
