脱毛症(薄毛・抜け毛)の体質改善
「髪は血の余り」という東洋医学の原則に基づき、血の生成と貯蔵を司る五臓を強化します。
陰陽の偏りと「腎」のはたらきを整え、毛根に血の栄養が届くよう頭皮の巡りを高める。
やさしい経絡治療と養生で、髪が育つ強靭な土壌を作り直します。
本ページの内容(目次)
「髪は血の余り」という原則に基づき、脱毛症を「腎の消耗」と「陰陽の偏り」という観点から根本的に見直す道筋です。
脱毛症の概要:東洋医学から見た「髪の栄養不足」
脱毛症は、頭髪が異常に抜け落ちる状態の総称です。東洋医学では、「髪は血(けつ)の余り(腎の精が化けたもの)」と捉え、脱毛は「血の不足(血虚)」や「腎(じん:生命力・ホルモン)の消耗」、あるいは「毛根への栄養供給路の滞り」が原因で起こると考えます。
見た目以外にも負担が大きい悩み:心の消耗
- 原因不明のことも多く、心理的ストレスが増えやすい:病院で原因がはっきりしないと、不安が「肝(かん)」を強く緊張させ、気の滞り(気滞)となって、さらに血流を悪化させる悪循環に陥りやすいです。
- 進行の仕方は人それぞれ:単発(円形)から多発、全体的な薄毛(壮年性)など、その進行の仕方は体質の偏り(肝・腎・脾の消耗)によって異なります。
東洋医学が重視する「髪が抜ける」要因
以下の要因は、「血」を消耗させたり、「肝」を緊張させたりして、毛根への栄養供給を妨げます。
- 食の偏り:甘味・生もの(脾胃を冷やす)、油っこいものの過多は、消化器(脾胃)に大きな負担をかけ、「血」を生成する力を弱めます。
- ストレス・睡眠リズムの乱れ:過度なストレスは肝(気の巡り)を停滞させ、深夜の睡眠不足は血の貯蔵(肝)を妨げ、毛根に必要な栄養(血)を届けられなくなります。
- 薬の飲み過ぎによる肝の負担:薬物やアルコールの過剰摂取は、解毒を担う「肝」に負担をかけ、「血」を消耗させます。
東洋医学の捉え方:脱毛は「腎の精」の消耗と「陰陽」の偏り
脱毛症の改善には、髪の根本的なエネルギー源である「腎(じん:生命力・成長を司る臓腑)」の精を補うことと、体全体の「陰陽(バランス)」の偏りを是正することが重要です。
陰陽の偏りを整える:頭部の「冷え」と「熱」
食べ物の性質が、頭部の血流や気の流れに影響し、脱毛の部位や進行具合と関連します。
- 陰性が過多:甘味・果物・生野菜など体を冷やすもの。頭部に冷え(気の停滞)を招きやすく、前頭部(陽明経)からの脱毛に関連しやすい。
- 陽性が過多:肉・油物・刺激物など体を温めすぎるもの。頭部に熱(胃熱、肝火)を生じさせやすく、後頭部からの脱毛に関連しやすい。
- 食養生の基本:在宅時間が長いなど活動量が減る時期や、秋口などは陽性食材(根菜、温かい調理)で脾胃(消化器)を労り、バランスを調整することが大切です。
髪と「腎」の関係:生命力のバロメーター
髪の豊かさは、「腎の精(せい)」が充実しているかどうかのバロメーターです。
- 髪は「腎」と関わりが深い:「腎は精を蔵し、その華は髪にあり」とされます。髪の成長、白髪、抜け毛は、腎が司る成長・老化・ホルモンバランスと密接にリンクしています。
- 「腎」の弱りのサイン:腎の精が消耗すると、髪への栄養供給が滞るだけでなく、のぼせ・めまい・疲れやすさ、耳鳴りなど、全身の不定愁訴(ふていしゅうそ)も出やすくなります。
肝への負担にも注意:解毒機能と「血」の消耗
- 薬の飲み過ぎ:薬やアルコールは、解毒を担う「肝(かん)」に大きな負担をかけます。肝が疲弊すると、「血(けつ)」を消耗し、頭部への栄養供給がさらに滞り、体調全体にも影響を及ぼします。
自宅ケア:ショウガ油の作り方と「温経活血」の力
東洋医学的な狙い:ショウガは「温中散寒(おんちゅうさんかん)」「解表(げひょう)」の作用があり、頭皮の血流(気血の巡り)を促し、毛根への栄養供給を助けるサポートとして活用されます。
- ショウガをすりおろし、ショウガ汁を作る(頭皮の冷えや詰まりを温めて散らす)
- ショウガ汁と同量のごま油(またはホホバ油など)を混ぜる(油は血を補い、頭皮を潤す)
- 脱脂綿に浸し、頭皮に塗ってやさしくマッサージ(温熱の力で毛根を活性化)
ショウガ油は、冷えて固まった頭皮という「土壌」に、温かい「血の栄養」を届けるための特急便のようなものです。頭部の血の滞り(瘀血)を改善し、髪が育ちやすい環境を作ります。
※肌質には個人差があり、刺激に弱い方もいます。炎症が強い場合は避け、パッチテストや少量からの開始をおすすめします。
鍼灸の進め方(経絡治療):髪の「根源」である腎の精を補う
脱毛症の根本改善には、髪の成長と老化を司る「腎(じん:生命力)」の働きを強化し、毛根に「血の栄養」を届け続ける体質づくりが必要です。当院の鍼灸治療は、この「腎」の機能を軸に全身のバランスを調整します。
- 四診法で体質や生活因子を丁寧に把握:脈・舌・腹部などを通して、腎の精の消耗度合いや、血を消耗している生活習慣(ストレス、睡眠不足)を詳細に特定します。
- 経絡治療で「腎」を中心に五臓のバランス調整:「腎」の経絡を中心に、血を生成する脾胃、血を貯蔵する肝、皮膚・毛髪を司る肺など、全身の関連する五臓のバランスを整えます。髪の成長に必要なエネルギーを生成・供給するルートを回復させるイメージです。
- 温熱(灸)で表面の力と循環を補う:特に腎や脾胃の経絡に心地よいお灸を施すことで、冷えを取り、体表の気の力(衛気)や血流を底上げします。
- 食事指導:陰陽の偏りを整え、巡りを助ける献立へ:鍼灸治療と並行して、腎を補う食材(黒いもの、豆類など)の摂取や、陰陽の偏り(冷やしすぎ、温めすぎ)を避ける献立の調整をアドバイスします。
料金について
初回:5,500円(税込)
2回目以降:5,000円(税込)
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
