顔面痙攣(がんめんけいれん)を体質から安定へ
まぶた・頬・口まわりのピクつきは、ストレス(肝)による「内なる風(肝風)」が原因です。
全身の気の巡りと血の不足を整え、神経の過剰な興奮を鎮静化。
再発しにくい穏やかな体質へと導く、やさしい経絡治療で根本からアプローチします。
顔面痙攣(片側顔面痙攣)の概要と主な症状:「体内の風」による異常な動き
顔面痙攣(がんめんけいれん)は、顔の表情筋が自分の意図とは関係なくピクついたり、引きつったりする状態です。東洋医学では、これを「風(ふう)」の病と関連づけ、体内の「風」が顔面の経絡を乱し、筋肉に異常な動きを生じさせていると捉えます。まるで、強風(体内の風)によって木の枝(筋肉)が激しく揺さぶられているような状態です。まぶたや頬、口まわりに出やすく、症状が続くと日常動作や対人場面に大きな心理的・物理的負担になります。
よくある自覚:気の異常な亢進
- まぶたが頻繁にピクピクする、片側の顔が痙攣する:初期は目の周りから始まり、次第に症状の範囲や頻度が増すことが多いです。特に疲労やストレスで増悪します。
- 頬や口まわりまで範囲が広がってきた:痙攣が顔面全体を支配する経絡(けいらく)の気の巡りの乱れが深刻化しているサインです。
- 人前での緊張:意図せず顔が動くことへの不安から、対人場面や写真・メイクなど、社会生活において強いストレスとなります。このストレスがさらに「肝(かん)」を緊張させ、痙攣を悪化させる悪循環を生みます。
- 目の疲れ・頭痛・顔のこわばり感:顔の筋肉が異常に緊張し続けることで、目の周囲や頭部、頸部にも気血の滞りが広がり、これらの随伴症状を伴うことが多くあります。
西洋医学の見解と一般的な対応:神経の過活動を鎮める処置
顔面痙攣の西洋医学的な治療は、主に「異常に高まった神経や筋肉の活動(過活動)を抑える」ことに主眼が置かれます。東洋医学でいう「体内の風」や「肝の亢進」による異常な動きを、外部から直接的に鎮静化させるアプローチです。
一般的な治療方針と東洋医学の役割
- 神経・筋の過活動に対する処置:痙攣している筋肉に直接作用するボツリヌス毒素(ボトックス)などの注射や、神経の興奮を抑えるための内服薬が提案されることがあります。これは「異常に暴れている枝を一時的に固定する」ための対症的処置です。
- 外科的処置:痙攣の原因が脳血管による顔面神経への圧迫と推定される場合、経過や重症度により、その圧迫を解除するための外科的処置(微小血管減圧術など)が検討される場合もあります。
- 生活指導・ストレスケアとの併用:病院でも、ストレスが症状を悪化させることを認識し、生活指導やリハビリが案内されることがあります。しかし、体質の根本的な「気の乱れ」は残るため、ここで東洋医学の鍼灸による全身調整が、再発を防ぐ鍵となります。
※具体的な医療方針は必ず専門の医療機関でご確認ください。当院では、病院での治療を尊重し、東洋医学的アプローチで回復力を底上げします。
東洋医学の考え方:顔面痙攣は「肝風内動」のサイン
顔面痙攣は、単なる筋肉の問題ではなく、体内で異常な「風」(肝風内動)が起こり、神経と筋肉に過剰な刺激を与えている状態と捉えます。この「内なる風」を鎮め、再発を防ぐには、全身の体質を根本から見直す必要があります。
全身を整える視点:「木(症状)だけ」を見ない
顔面痙攣は、肝(かん:自律神経、血の貯蔵)のバランスが崩れた結果、症状として現れるため、局所の処置だけでは根本解決に至りません。
- 「森を見て木を治す」:顔面の痙攣(木)だけでなく、全身の気の巡り・自律神経・体力(森)を整えることで、体内で風が発生しない穏やかな土壌を作ります。
- 個別体質への対応:歴史的知見(古典)と四診法(舌・脈・腹)を用い、痙攣の原因が「血の不足」「肝の熱」「冷えによる気滞」のどれに起因するかを判別し、個々の体質に合わせた施術計画を立てます。
- 再発しにくい土台づくり:睡眠、消化、体温(保温)といった「正気(体力)」を生み出す機能を強化し、体質の根本的な底上げを重視します。
全身の関連のめぐり:痙攣の背景にある負担
顔面痙攣を抱える方は、気の滞りが原因で、顔や首の周囲に様々な不調が連鎖しやすい傾向があります。
- 顔面神経の通り道のこわばり:首・肩・側頭部の筋肉が凝り固まっていると、顔面を巡る経絡(気血の通り道)が圧迫され、表情筋の異常な動きに影響を与えます。
- 上部の症状との連動:鼻・喉・目のコンディションは、顔面を巡る陽明経といった経絡と密接に関係しており、痙攣と同時にこれらの症状も連動しやすいです。
- 冷え・ストレス・疲労の蓄積:これらの要因が「肝」の機能を乱し、体内の異常な風を発生させる直接的な引き金となります。
顔面痙攣の体質タイプ別の見立て:あなたの「肝風」の元を知る
顔面痙攣の原因となる「体内の風(肝風)」は、人それぞれ異なる体質の偏り(土台)から発生します。東洋医学の診断では、あなたのタイプを見極め、風が起きない穏やかな体質へと導きます。
瘀血(おけつ:血流停滞)タイプ
「血(けつ)」の巡りが滞り、顔面や全身の筋肉に十分な栄養や潤いが届きにくくなっている状態です。痙攣の裏にある「筋の栄養不足」が核心です。
- 特徴:巡りが滞りやすく、筋のこわばりが抜けにくい。まるで、川の流れにゴミが溜まって澱んでいるようなものです。
- 併発症状:慢性的な肩こり、強い月経の乱れ(生理痛・血塊)、夜間のこむら返り、爪や皮膚の色のトラブルが出やすい傾向があります。
ストレスタイプ(肝気鬱結・交感神経優位)
「肝(かん)」の気がストレスや過緊張で滞り、その異常な緊張が体内の「風」を発生させている状態です。
- 特徴:緊張が持続し、血管・筋の収縮が強まりやすい。痙攣も緊張時に悪化します。自律神経のブレーキが利かず、常にアクセルを踏んでいるようなものです。
- 併発症状:イライラ、睡眠の浅さ(中途覚醒)、緊張性頭痛、食いしばりなどが背景にあり、これらが痙攣をさらに悪化させます。
腎虚(じんきょ:体力・潤いの低下)タイプ
「腎(じん)」が司る生命力や潤いが加齢や過労で不足し、体を支える力が弱っている状態です。
- 特徴:体力・潤いの低下で回復に時間がかかる。土台のエネルギーが不足しているため、少しのストレスで風が起こりやすくなります。
- 併発症状:耳鳴り、夜間頻尿、更年期症状、強い冷えや腰のだるさなどを伴いやすく、疲労が抜けない状態が続きます。
鍼灸で用いる代表的なツボ:「肝風」を鎮め、顔の緊張を解く
顔面痙攣の治療では、「肝の気の異常な亢進(肝風)」を鎮静化させると同時に、顔面周囲の経絡の詰まりを解消し、表情筋を栄養する気血の巡りを正常に戻すツボを選びます。
| ツボ | 東洋医学的な要点と効果 |
|---|---|
| 合谷(ごうこく) | 顔面を巡る経絡と連動し、顔面の気血の巡りを助け、痙攣によるこわばりをゆるめる重要なツボです。 |
| 風池(ふうち) | 首の後ろにあるツボで、頭部から顔面への血流や気の流れを改善します。首肩〜後頭部の緊張をゆるめ、痙攣の土台となるこわばりを整えます。 |
| 曲池(きょくち) | 体内の余分な熱を清算し、気の巡りを改善します。ストレスによる上肢の緊張や肩こりなど、背景にある全身の緊張緩和に役立ちます。 |
| 肩髃(けんぐう)・扶突(ふとつ) | 肩や頸部のツボで、顔面神経の通り道の環境を整える役割があります。頸肩部〜顔面へのスムーズな循環を促します。 |
| 足三里(あしさんり) | 胃腸の働きを底上げし、痙攣を繰り返さない体力(気血)を養います。全身の回復と安定の土台づくりに欠かせません。 |
※当院では四診法で体質(瘀血、ストレス、腎虚など)を特定し、痙攣の根本原因に応じたオーダーメイドの選穴を行います。
日常でできるセルフケア:「肝風」を鎮め、症状を安定させる
顔面痙攣を悪化させる最大の要因は、ストレスや疲労による「肝の亢進」と「血の不足」です。鍼灸治療の効果を持続させ、体内の「風」が起こらないよう、日々の養生を徹底しましょう。
- 保温と巡りの促進:首・側頭部を冷やすと、顔面への血流が滞り、痙攣が増悪しやすいです。冷えを避け、就寝前の湯船入浴で全身の気血の巡り(瘀血対策)を促し、リラックスしましょう。
- 食いしばり対策で緊張を解く:無意識の噛み締めは「肝の気の滞り」を強め、痙攣を悪化させます。昼間の噛み締めに気づき、就寝前にはリラックスルーティン(軽いストレッチなど)を取り入れ、顔周りの緊張を緩めましょう。
- 視覚負荷を減らす(肝のケア):東洋医学で「肝は目に開竅(かいきょう:開く)」とされ、長時間の目の酷使は「肝」を消耗させます。画面作業は適宜休憩をとり、遠くの緑を見るなどして目を休ませましょう。
- やさしい食事で「血」を養う:痙攣の原因の一つである「血の不足」を補うため、温かい和食中心の消化の良い食事を。胃腸(脾胃)を冷やし、肝に負担をかける冷たい飲食や糖分は控えめにしましょう。
- 呼吸で気の滞りを調整:浅い呼吸は全身の緊張を高めます。深くゆっくり、肩が上がらない腹式呼吸を意識することで、気の滞りを自然に解消し、自律神経のバランスを整えましょう。
料金について
初回:5,500円(税込)
2回目以降:5,000円(税込)
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
