白髪(若白髪・加齢性)の東洋医学的ケア
白髪の原因は、「腎の精(生命力)」の消耗と、血(栄養)の不足による色素細胞の機能低下です。
「腎」を中心に、血を生成する脾、血を貯蔵する肝の五臓の連携を整える。
経絡治療と食養生で、髪の生命力と栄養供給路を内側から強化します。
本ページの内容(目次)
白髪の進行を緩やかにするため、髪の源流「腎の精」を養う東洋医学の診断と治療のすべてを解説します。
白髪のメカニズムと東洋医学の課題:「腎の精」の消耗と「血」の不足
白髪は、毛根にあるメラノサイト(色素細胞)がつくるメラニンが、髪の毛に供給されなくなることで生じます。西洋医学では細胞レベルの機能停止として捉えますが、東洋医学ではその背景に、「髪の根源的なエネルギー(腎の精)」の消耗と、「髪を潤す血(けつ)」の不足があると捉えます。
【東洋医学的な視点】 「髪は血の余り(腎の精が化けたもの)」です。細胞の働きが止まるのは、川の源流(腎)が枯渇し、髪という末端の畑に栄養(血)が届かなくなったサインです。
- 主因として:加齢(腎の精の自然な消耗)/遺伝的要因に加え、ストレス(肝の気の消耗)/睡眠不足/過労といった生活習慣による気血の急激な消耗が、若年性の白髪の大きな要因となります。
- 西洋医学の見解:一般に加齢性白髪は「不可逆(元に戻せない)」と扱われ、根本改善は難しいとの見解が主流です。治療法も色素を一時的に戻す対症的なものに限定されやすいのが課題です。
東洋医学では、「精」の消耗をゆるやかにし、「血」を補うことで、白髪の進行を遅らせ、体質から髪の生命力を取り戻すことを目指します。
東洋医学の捉え方:白髪は「腎・肝・脾」の連携不全
白髪は、加齢だけでなく、髪に必要なエネルギー(精)と栄養(血)を供給する五臓の連携が乱れることで加速します。特に以下の三つの臓腑のバランスが重要です。
① 腎の作用低下:髪の「源流」が枯渇
- 役割:生命力・成長発育・生殖を支える要。髪のハリ、ツヤ、色を司る根本のエネルギー(精)を蓄えます。
- 症状:冷えのぼせ(水火不済)、夜間頻尿、耳鳴り、更年期症状、不眠など、加齢や疲労による腎の精の消耗を示す症状が伴いやすいです。
② 肝の作用低下:栄養の「巡り」の停滞
- 役割:気・血を全身にスムーズに巡らせる役目と、血(けつ)の貯蔵を担います。
- 症状:ストレスや過労で気の巡りが滞る(気滞)と、頭皮に瘀血(おけつ:血の滞り)が生じ、栄養が届かなくなります。頭皮の硬さ、こむら返り、末端冷え、生理痛・頭痛などが現れやすいです。
③ 脾の作用低下:エネルギーの「工場」機能不全
- 役割:飲食物を消化吸収し、血と気(エネルギー)を生む「エネルギー工場」です。
- 症状:脾の力(脾気)が弱ると、血の生成が滞り、髪に必要な栄養が作られません。胃もたれ、浮腫(水毒)、抜け毛、食欲低下、食後のだるさなどが伴いやすいです。
髪にまつわる東洋医学の言葉
- 「腎の華は髪にあり」:髪の艶やハリ、色は、腎の精の充実度という根本の生命力を映し出しています。
- 「髪は血の余り」:「血」の巡りが良く、十分な量が全身に行き渡ってなお「余り」が出たものが髪になります。そのため、血虚(血不足)の状態では、髪に色が付けられず、白髪・薄毛が進みやすいのです。
セルフケア:髪の源流「腎の精」を養い、五臓を整える
鍼灸治療の効果を持続させ、白髪の進行を緩やかにするためには、「腎」と「肝」を労わる養生が必須です。生活の細部まで見直すことが、髪の生命力を取り戻します。
漢方(体質により選択):腎を補う
髪の成長の源である「腎の精」を補うための漢方薬の考え方です。
- 六味地黄丸:腎の陰(うるおい)を補う基本処方。冷えが目立たない、のぼせがある方向けです。
- 八味地黄丸:六味地黄丸に体を温める生薬を追加。腎の陰を補いつつ、下半身の冷えがある方向けです。
【注意】 漢方薬は体質に合わないと逆効果になることがあります。専門家へご相談ください。
食事(弱っている臓に合わせて):色と味で補う
五臓の乱れ(腎・肝)を、その臓器が喜ぶ色や味の食材で補います。
- 腎タイプ:「黒い食材」は腎の働きを助けます。黒ごま、海藻類、黒豆、ひじき、ナッツ類などを積極的に摂りましょう。
- 肝タイプ:「酸味」や青緑の食材**は、気の巡りを促し、肝を労わります。酢の物、青魚、ニラ、小松菜、レバーなどをバランス良く摂りましょう。
運動・呼吸:気の巡りと腎の強化
- 垂直方向の運動:階段の上り下りやスクワットなど、上下運動は腎に程よい刺激を与え、「精」の働きを底上げします。
- 腹式呼吸:深くゆっくりとした呼吸で下腹(丹田)を使い、全身の気の巡りを改善します。
- 唾液分泌:梅干しやガムなどで唾液分泌を促すことは、腎の精を消耗から守り、消化を助けます。
睡眠の質を上げる:肝の休息を確保
「肝」が髪の修復と血の貯蔵に専念できるよう、睡眠の質を最優先しましょう。
- 日付が変わる前の就寝:深夜1時〜3時(肝の時間)に熟睡できているかどうかが鍵です。これを目標に就寝時間を調整し、自律神経を整えましょう。
- 刺激を控える:就寝2時間前は、強い光(スマホなど)、カフェインやアルコールなどの刺激物、熱すぎる長風呂を控え、体を休息モードへと誘いましょう。
鍼灸施術について:五臓の連携で髪の生命力を引き出す
白髪の進行を緩やかにし、黒髪の復活をサポートするには、細胞を動かす「腎の精(生命力)」と「血の栄養」を全身から増やす必要があります。鍼灸治療は、体質の根本にアプローチし、髪が育ちやすい環境を内側から築きます。
- 四診法で体質と生活因子を丁寧に把握:脈・舌・腹部などを通し、腎の消耗(冷え、虚弱)や肝の滞り(ストレス)など、白髪の背景にある五臓の連携不全を特定します。
- 経絡治療で「腎」を中軸に全身調整:髪の根源である「腎」の経絡を中心に、血を生成する脾、血を貯蔵する肝も含め、全身のエネルギーの流れを調整します。これは「髪という末端の葉に、源流(腎)から栄養(血)を送り込む」作業です。
- 安心・衛生的な施術:使い捨ての極めて細い鍼と、温和な国産もぐさで、刺激はやさしく衛生的です。身体に負担をかけず、リラックスした状態で自然治癒力を引き出します。
- 養生指導と並走:施術効果を最大化するため、食養生、漢方(専門家と連携)、呼吸法といった日常生活の改善も指導し、再発しにくい体質づくりを二人三脚で目指します。
料金について
初回:5,500円(税込)
2回目以降:5,000円(税込)
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり・腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、病院で原因不明・治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
