遠ざける東洋医学的アプローチ
II型糖尿病の
インスリン抵抗性を改善
膵臓を休ませる体質根本治療
血液が「砂糖水」のように血管を蝕む状態から脱却し、合併症を予防します。
五臓の「肝・脾・腎」のはたらきを底上げし、インスリンの効きやすさを取り戻す。
薬に頼り切らない体質づくりを、優しい経絡治療と徹底した食養生で始めましょう。

目次
「血管を蝕む高血糖」という糖尿病の本質と、
インスリン抵抗性を改善し膵臓を回復させる
東洋医学の根本的なアプローチについて解説します。

糖尿病の概要と日本の深刻な現状:
血管を蝕む「高血糖」の正体
糖尿病(Diabetes Mellitus, DM)は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が慢性的に続き、全身の血管や神経に障害を及ぼす病気です。
例えるなら、血液が「砂糖水」のようにドロドロになり、血管という「水道管」の内部をサビつかせ、詰まらせていくような状態です。
その現状は極めて深刻で、現在、成人の約10人に1人が糖尿病を発症しており、さらに予備軍(発症リスクが高い状態)まで含めると、成人の約5人に1人が影響を受けていると言われています。
特に、II型糖尿病(非インスリン依存型)は、過食や運動不足、ストレスといった生活習慣が大きく影響して発症し、糖尿病全体の約90%を占めます。これは、現代社会の食生活と密接に関わった、最も一般的なタイプの糖尿病です。

糖尿病の主な原因とメカニズム:
インスリン抵抗性と生活習慣の密接な関係
II型糖尿病(最も多いタイプ)の発症には、主に「インスリンの効きにくさ」と「膵臓の疲弊」という2つの要素が関わっています。その根本には、現代的な生活習慣の乱れが深く影響しています。
インスリン抵抗性の正体
(鍵の不具合)
インスリンは、血液中のブドウ糖(エネルギー源)を細胞内に取り込むための「鍵」となるホルモンです。
インスリン抵抗性とは、鍵であるインスリンは十分あるのに、細胞側の「鍵穴(受容体)」の働きが鈍くなり、開かなくなってしまう状態を指します。
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メカニズム:
過食や肥満、加齢などにより細胞がインスリンに対して鈍感になると、鍵穴が錆びついて回らないように働きが低下します。 -
結果:
ブドウ糖が細胞に取り込まれず、血中に溢れ出して慢性的な高血糖状態となります。
過剰な負担と膵臓の疲弊
(工場のオーバーワーク)
インスリン抵抗性が生じると、血糖値を下げようとして膵臓がさらにインスリンを大量に追加分泌しなければならなくなります。
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生活習慣の影響(過剰な要求):
- 食べ過ぎ・高脂肪食:
血糖値の急上昇が頻繁に起こり、膵臓に絶えずインスリンの大量分泌を要求します。 - 肥満(内臓脂肪):
脂肪細胞からインスリンの働きを妨げる物質が分泌され、抵抗性をさらに高めます。 - ストレス・睡眠不足:
ホルモンバランスが乱れ、血糖値を上げるホルモンが優位になり、治療効果を妨げます。
- 食べ過ぎ・高脂肪食:
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最終的な疲弊:
この過剰な要求が続くと、膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が徐々に疲弊し、機能が低下。やがてインスリンそのものが出なくなり、病状が進行します。

糖尿病の初期サインと知っておくべき三大合併症の深刻なリスク
糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しいため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。しかし、進行すると重篤な合併症を引き起こし、生活の質(QOL)を著しく低下させます。
見逃しやすい初期サイン(自覚症状)
血糖値がかなり高くなるまで症状が出ないことが多いですが、以下の症状は体からの警告です。これらは高血糖により体内の水分バランスが乱れているサインです。
- 多飲・多尿: 血液中の糖を尿で排出しようとするため、水分が大量に失われ、のどが異常に渇き(多飲)、尿の回数・量が増えます(多尿)。
- 倦怠感・疲労感: ブドウ糖がエネルギー源として細胞に取り込まれないため、常にエネルギー不足の状態となり、「だるい」「疲れやすい」といった症状が続きます。
- 体重減少: エネルギー源が使えないため、体は代わりに脂肪や筋肉を分解して利用し、食事量は変わらないのに体重が減少することがあります。
- その他:皮膚のかゆみ、足のしびれ(末梢神経障害の初期)など。
三大合併症(細小血管障害)の脅威
高血糖が続くことで、特に細い血管(毛細血管)が集まる場所が障害され、失明・透析といった不可逆的な事態を招きます。
- 糖尿病性網膜症: 目の奥の網膜の血管が損傷し、視力低下から失明に至る日本における成人失明の主要原因の一つです。
- 糖尿病性腎症: 腎臓の糸球体の血管が障害され、腎臓の濾過機能が低下します。最終的に腎不全となり、週に数回の人工透析が必要となる最大の原因です。
- 糖尿病性神経障害: 末梢神経が傷つき、手足のしびれや痛み、感覚の麻痺が起こります。進行すると傷に気づかず足の壊疽(えそ)に至り、最悪の場合足の切断が必要となります。
これらに加え、太い血管も傷つくことで動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞(脳卒中)のリスクも大幅に高まります。

糖尿病の西洋医学的治療法と、薬物療法が抱える根本治療の課題
西洋医学における糖尿病治療の主目的は、血糖値を基準範囲内に維持し、合併症の進行を防ぐことにあります。治療の基本は生活習慣の改善ですが、それが難しい場合や血糖コントロールが不十分な場合に薬物療法が導入されます。
基本的な治療法(血糖コントロールのためのアプローチ)
- 生活習慣の是正(治療の土台): 食事制限(カロリー・糖質管理)、運動療法、そして適切な体重管理は、インスリン抵抗性を改善するための治療の根幹となります。
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経口血糖降下薬: 薬の力で血糖値を下げる治療です。その作用機序は多岐にわたり、主に以下の3つの役割があります。
- インスリン分泌促進: 膵臓に働きかけ、インスリンの放出を強める。
- インスリン抵抗性の改善: 細胞の「鍵穴」の感受性を高め、インスリンの効きを良くする。
- 糖の吸収・排泄調節: 腸からの糖の吸収を抑えたり、尿中への排泄を促したりする。
- インスリン療法: 膵臓の疲弊が進み、インスリン分泌能力が著しく低下した場合に、外部からインスリン製剤を注射し、血糖値を直接的にコントロールします。
薬物療法が抱える根本治療における課題
薬物療法は血糖値を迅速に下げる効果がありますが、「過剰な負担で疲弊した膵臓」や「インスリン抵抗性という体質」そのものを回復させることには限界があります。
- 対症療法中心のジレンマ: 血糖降下薬は、血糖値という「温度計の目盛り」を下げることに特化しており、病気の根本原因である体質の偏りや膵臓の疲弊を元から治すことは難しいのが現状です。
- 副作用のリスク: 薬の種類によっては、低血糖(血糖値が下がりすぎることによるめまいや意識障害)、体重増加、消化器症状、頻尿などの副作用を伴うことがあります。
- 膵臓への負担が持続する可能性: 特にインスリン分泌を促進するタイプの薬は、残された膵臓の機能にさらに鞭を打つ形となり、長期的に見ると膵臓の疲弊を早めるリスクも指摘されています。
— 血糖値のコントロールと並行して、体質を根本から立て直すためのアプローチが、糖尿病克服の鍵となります。 —

東洋医学の見解:糖尿病を「消渇」として捉え、肝・脾・腎の機能を立て直す
西洋医学が血糖値という「数値」に注目するのに対し、東洋医学では糖尿病を「消渇(しょうかつ)」という範疇で捉え、その背後にある「体質的な偏り」を根本原因と考えます。
古典における原因の捉え方:「消渇」と体内の火災
糖尿病は古くは「消渇」と呼ばれ、激しい口渇(多飲)、多尿、体重減少といった症状から名付けられました。これは、体内の「熱(炎症や代謝の過熱)」によって津液(水分)が消耗し、五臓(肝・脾・腎)の機能が低下している状態です。
- 病態の例え: まるで体内に乾燥した熱がこもり、必要な水分(津液)を蒸発させ続けているような状態です。この「渇き」を鎮め、消耗した体を潤すことが治療の第一歩です。
- 根本治療の焦点: 局所の薬物治療ではなく、五臓の働きを根本から立て直すことこそが、体が持つ本来の血糖のコントロール力を取り戻す唯一の近道だと考えます。
体質改善の鍵となる「肝・脾・腎」の役割
糖尿病(消渇)の治療において、以下の三つの臓腑(機能システム)のバランスと働きを回復させることが最も重要視されます。
- 腎(じん): 生命力の源である「精」を蓄え、代謝(特に水液代謝)と内分泌(ホルモン)を統括する要。西洋医学でいうインスリン抵抗性や合併症は、この「腎」の精の消耗と深く関わります。
- 脾(ひ): 飲食物を消化吸収し、全身のエネルギー(気・血)に変換する「動力源」。西洋医学でいうインスリン分泌や血糖の処理は、この「脾」の消化吸収機能が中枢を担います。
- 肝(かん): 全身の気の流れと血流をスムーズに「めぐらせる」統括者。ストレスやイライラで「肝」が滞ると、気の巡りが乱れ、血糖値を上げる原因となります。

糖尿病の体質改善を目的とした専門施術の料金と効果的な通院ペース
当院の糖尿病治療は、血糖値のコントロールだけでなく、膵臓の疲弊回復やインスリン抵抗性の改善といった東洋医学的な体質改善を目的とした施術です。自由診療(保険外)となりますが、合併症の予防と薬に頼らない体を目指す長期的な視点での費用対効果を重視しています。
初回カウンセリング+施術
詳細な問診(生活習慣・食養生チェック)と東洋医学的な診断(脈診・舌診)に基づき、肝・脾・腎の機能回復に焦点を当てた治療計画を立案します。
2回目以降(通常施術)
その日の体調と血糖変動に合わせて施術を調整し、気の巡りと内臓機能の回復を促進。併せて具体的な食養生のアドバイスを行います。
効果を最大化する通院ペースの目安(体質改善の戦略)
- 導入期(血糖コントロールが不安定な時期): 週に1~2回の集中治療が必要です。膵臓の負担軽減とインスリン抵抗性の改善に集中的に働きかけます。
- 安定化期(血糖値が落ち着いてきた時期): 週に1回のペースで、疲弊した脾(消化)と腎(代謝)の機能を根本から立て直し、血糖を安定化させます。
- 維持期(体質が改善し安定した時期): 症状と数値が安定したら、2〜3週間に1回、あるいは月に1回のペースで、合併症の予防と体質の維持を目的としたメンテナンスを行います。
糖尿病の体質改善は重い荷物を背負った人を助けることに似ています。最初のうちは両側から強く支える(集中的な治療)必要がありますが、本人の筋力(内臓機能)が戻れば、少ないサポート(予防的通院)で自立できるようになります。まずは集中的に通院し、早期に合併症リスクを遠ざけることを目指しましょう。

鍼灸(経絡治療)のアプローチ:膵臓と内臓機能を回復させ、インスリン抵抗性を改善する
鍼灸治療は、薬による血糖降下とは異なるアプローチで、疲弊した膵臓の回復とインスリン抵抗性という体質の偏りに働きかけます。これは、血糖値を下げるための「手っ取り早い蛇口」を開けるのではなく、体という「貯水システムの機能」を根本から修復する作業に相当します。
治療のねらい(機能回復と体質改善)
- 肝・脾・腎の機能底上げ: 糖尿病治療の鍵となる肝(血流・ストレス)、脾(消化吸収・血糖処理)、腎(代謝・生命力)の機能を底上げし、血糖を自然に下げやすい体質へと導きます。
- 代謝・消化のリズム改善: 経絡の巡りを整えることで、消化吸収・水分代謝・排泄のリズムを改善し、インスリン抵抗性(鍵穴の不具合)の原因である体内の湿熱やドロドロした状態を解消します。
- 膵臓の回復支援: 疲弊した膵臓周辺の血流と神経機能を改善し、インスリン分泌細胞(β細胞)の回復を支援します。これにより、薬に頼り切らない体質へ段階的にシフトすることを目指します。
- 合併症の予防: 末梢の血流と神経機能の改善を促し、三大合併症(特に神経障害や網膜症)のリスクを遠ざけるための予防的ケアも行います。
具体的な治療方法(痛みの少ない優しい施術)
- 痛みの少ない極細鍼と温灸: 患者様の負担を考慮し、髪の毛より細い鍼や、心地よい温かさで内臓を温める国産最高級もぐさによるお灸を使用します。
- ツボの選定: 脾・肝・腎に関わる体幹部や四肢の要穴(本治法)に加え、血糖値の安定に関係する手足の末端のツボを併用し、全身と局所から同時に働きかけます。
- 生活指導との併走: 鍼灸治療の効果を最大限に引き出すため、東洋医学的視点に基づく食養生や運動習慣の指導と治療を併走し、再現性の高い改善を目指します。

鍼灸効果を最大化する食養生とセルフケア:糖尿病の体質を根本から変える鍵
糖尿病の体質改善は、鍼灸治療と並行して行う日々の養生があって初めて成立します。特に食事は、膵臓の負担を減らし、東洋医学でいう「脾(消化吸収)」や「腎(代謝)」の機能を回復させるための最も強力な薬となります。
東洋医学に基づいた食養生の基本
食養生の目標は、消化器官(脾)に過剰な負担をかけず、生命エネルギー(腎)を補うことです。これは、疲弊した膵臓を「過労死」させないための、最も重要な防御策となります。
- 食事の基本: 刺激物や冷たいものよりも、温かく調理された和食中心を心がけ、腹八分目を徹底します。これにより消化吸収を担う「脾の火」を守ります。
- 避けるべき食品: 血糖値を急上昇させる白砂糖、膵臓に負担をかける高脂肪食、化学物質を含む加工食品・清涼飲料・人工甘味料は極力控えめにします。
- 積極的に摂るべき食材: 季節の食材、豆類、小魚、種子、玄米、番茶など、自然界の”生命力ある食”を意識します。特に腎の機能を補う黒い食材や、脾を補う黄色い食材を意識して取り入れます。
- 例(薬膳的な視点): 鉄火みそ(造血と保温)、かぼちゃぜんざい(腎の働きをサポートし、甘みで脾を穏やかに補う)など、薬膳的な知恵を活用します。
日常生活でできるセルフケアと体質調整
鍼灸施術で整えた体質を維持し、合併症のリスクを防ぐために、日常的な「気の巡り」の調整が不可欠です。
- 全身の保温と血流促進: シャワーで済ませず、湯船で全身を温め、血流を促進します。特に、足元の冷え対策(靴下の重ね履きなど)は、神経障害の予防に直結します。
- 質の高い睡眠: 就寝は日付が変わる前(理想は午後11時前)を心がけます。睡眠中に腎(代謝)と肝(解毒)の機能が回復するため、質の良い睡眠は体質改善の土台です。
- 軽い運動の習慣化: 食後の軽い散歩など、無理のない範囲で運動を習慣化し、インスリンの効きやすさ(抵抗性)を改善します。
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自宅での温灸(セルフケア): 鍼灸師の指導のもと、以下のツボへ温かいお灸をすることで、自宅でも内臓機能をサポートできます。
- 孔最(こうさい): 巡りを良くし、乾燥を緩和。
- 地機(ちき): 消化器官(脾)の働きを強化。


院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など病院で原因不明、治療法がない慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
