不安に関わる心身の揺らぎを
「巡りの調和」という視点で見つめる
日常的な不安感や動悸といった反応は、性格の問題だけではなく、お身体の「気」の巡りの滞りや、蓄えられたエネルギーの消耗が関わっている場合があります。
鍼灸では、無理に感情をコントロールしようとするのではなく、「緊張を解き、深く休息できる土台」を整えることを目指します。
西洋医学的なアプローチと歩調を合わせ、お身体の過敏な反応が穏やかに落ち着いていくよう、静かに支えてまいります。

本ページの内容(目次):不安に関連する心身の揺らぎと東洋医学的なアプローチ
日常的な不安感や緊張に対し、お身体の巡りや蓄えられたエネルギーを整えることで、過敏な反応が穏やかに落ち着いていくよう導く東洋医学の考え方を整理しました。

不安症の捉え方:心身に続く過度な緊張の背景
不安症(不安神経症)は、将来の出来事に対する過度な心配や、特定の状況への強い緊張により、お身体のバランスが揺らぎやすい状態を指します。
これは性格のみに起因するものではなく、自律神経の過敏な反応が身体症状として現れている側面があります。例えるなら、「お身体を守るための警報装置」が過敏に働き、休息が必要な時でも緊張が解けにくくなっている状態といえます。
代表的なお身体と心の反応
- 身体への影響: 強い緊張に伴い、動悸、息苦しさ、発汗、手の震え、吐き気といった自律神経の過敏な反応が生じる場合があります。
- 対人・空間への反応: 人の視線が気になったり、電車や人混みなどの閉鎖的な空間で強い圧迫感を覚え、それらを避ける傾向が出ることがあります。
- 思考の傾向: 未来の可能性に対して「悪く考えてしまう」ことが繰り返され、日常の安心感が得にくくなる場合があります。
お身体を整えるという視点
医療機関での精神療法や薬物療法は、心の安定を支える上で大切な役割を担います。
それらと並行して、東洋医学的な視点から「お身体の緊張を和らげ、消耗したエネルギーを補う」ことは、心身の過敏な反応を穏やかにし、負担を軽くするための一助となる場合があります。
【臨床家より】お身体を物理的に緩めることで、心の強張りが少しずつ解けていく。そんな補完的な関わりを大切にしています。

西洋医学的な視点:医療機関での診断と治療のあり方
西洋医学では、不安症に対し主に薬物療法や、考え方のバランスを整える精神療法が行われます。これらはお身体の反応を穏やかにするために非常に重要な選択肢です。
薬物療法の役割とお身体への影響
- 心身の鎮静: お薬は、突発的な強い不安や動悸を和らげ、日常生活を送るための安心感を支える役割を担います。
- 継続的な使用における変化: 服用が長くなる過程で、眠気や胃腸の違和感など、お身体の状態に変化が生じる場合があります。これらはお身体が薬に適応しようとする反応の一つです。
- 反応の調節: お薬は主に現在の辛い反応を和らげる働きをしますが、お身体が過敏に反応しやすくなっている「根本的な環境」については、生活習慣や体質の調整が補完的な役割を果たすことがあります。
- 全身のつながり: 不安症に伴う頭痛や消化器の不調などは、各科で個別に扱われることが多いですが、東洋医学ではこれらを自律神経の乱れという「一つのつながり」として捉えます。
東洋医学による調整は、医療機関での治療を妨げるものではありません。お身体全体の巡りを整えることで、心身の緊張が和らぎ、結果としてお薬との付き合い方が穏やかになる場合があると考えています。

東洋医学の役割:心身をひとつのつながりとして整える
心とからだは表裏一体
東洋医学には「心身一元論」という考え方があります。不安や緊張という心の状態は、お身体のエネルギーの巡りや内臓の疲れと密接に連動していると捉えます。
- アプローチ: 感情を直接コントロールしようとするのではなく、全身を巡るエネルギー(気)や栄養(血)のバランスを整え、内臓機能の安定を図ります。
- 目指す状態: お身体の物理的な強張りや滞りが和らぐことで、それに呼応するように、心の張りつめた感覚が穏やかにほどけていく変化を促します。
- 例え: 「高ぶりすぎた熱」に対し「潤い」を補うことで、お身体の興奮を鎮めていくような調整を行います。
併発しやすい不調を一体的にケア
自律神経に関わる巡りの乱れは、お身体の各所に様々なサインとして現れることがあります。東洋医学では、これらを個別の不調としてではなく、一つの共通した根っこから生じているものと捉えます。
- 循環や緊張のサイン: 頭痛、肩こり、動悸、手足の冷えなど。
- 消化器系のサイン: お腹の張り、胃の違和感、便通の揺らぎなど。
- その他のサイン: 眠りの浅さ、お肌の乾燥、月経周期に伴う不調など。
一見無関係に思えるこれらの症状を、お身体全体のバランスとして横断的に整えることが、鍼灸における調整の特徴です。

当院の鍼灸による調整:巡りを促し深い休息を支える
当院の鍼灸では、お身体の状態を東洋医学独自の視点で詳しく観察し、緊張が続いている要因や、エネルギーの不足している部分を見立てていきます。
お身体の状態を把握する:東洋医学の観察法
検査数値には現れにくいお身体の細かなサインを、以下の方法で総合的に見つめます。
- 視覚的な観察: 顔色や姿勢、舌の状態などを通じて、お身体の熱の偏りや栄養の充実度を確認します。
- 聴覚・嗅覚による把握: 声の響きや呼吸のリズムから、現在のエネルギーの余力や緊張の度合いを察します。
- 対話による聞き取り: 睡眠や食事、日々の生活の中での揺らぎを伺い、体質の傾向を整理します。
- 触覚による確認: 脈やお腹の弾力、手足の温度などに触れ、全身の巡りの状況を判断します。
施術のねらい:過敏な反応を穏やかに
- 緊張を和らげる: 巡りに関わる経路を調整することで、お身体が備えている自己調整力を引き出し、高ぶりすぎた緊張を鎮めるよう働きかけます。
- 土台の安定: 呼吸や消化といった生命活動の基礎となる機能を整え、不安の波に影響されにくい、落ち着いた状態へと導きます。
- 刺激への配慮: 髪の毛ほどの細い鍼や、心地よい温かさのお灸を用います。お身体への負担を抑えた、穏やかな刺激による調整を心がけています。
お身体全体の調和が整ってくると、不安を感じる頻度が変化したり、動悸や強張りといった身体的な負担が軽くなる場合があります。それに伴い、眠りの質や胃腸の状態といった日々の心地よさも、同時に上向くことが期待されます。
鍼灸は、過敏になったお身体の反応に対し、本来の穏やかなリズムを取り戻すための環境づくりをお手伝いするものです。

専門施術の料金と、お身体を整えるための通院ペース
当院の調整は、自由診療(保険外)となります。お身体の巡りを整え、過度な緊張が和らいだ状態を維持していくことを目的としています。
初回(カウンセリング・施術)
お身体の状態を詳しく伺い、緊張の度合いやエネルギーの消耗状況を観察します。現在の揺らぎに合わせた最適な調整方針を組み立てます。
2回目以降(通常施術)
継続的な調整により、巡りの滞りを和らげます。動悸や緊張といった身体的な負担が、少しずつ穏やかになるよう働きかけます。
通院ペースの目安(お身体を安定させていくために)
お身体の変化には個人差がありますが、一般的に以下のような段階を経て調整を進めることが多いです。
- 初期(緊張や動悸が目立つ時期): 週に1〜2回程度。まずは頻繁に調整を行うことで、高ぶりすぎたお身体を休ませ、過敏な反応を鎮めていくことを目指します。
- 安定期(少しずつ落ち着きが見えてきた時期): 週に1回程度。お身体の土台となる機能を整え、不安の波が訪れても大きく崩れにくい状態へと促します。
- 維持期(健やかな状態を保つ時期): 2〜4週間に1回程度。お身体全体のバランスを点検し、日々の疲れやストレスが蓄積しにくいようメンテナンスを行います。
不安に関連するお身体の反応は、長年の習慣や環境が関わっていることもあります。例えるなら、「強張った糸を、一本ずつ丁寧に解きほぐしていく」ような、静かで継続的な歩みが、結果として安定した日常につながる一助となる場合があります。

院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
