潰瘍性大腸炎は「原因不明」ではない
東洋医学が示す根本改善への道
潰瘍性大腸炎は、現代医学(西洋医学)では原因不明の「指定難病」として説明されることが多く、治療は薬で炎症を抑えながら経過をみる形になりやすい傾向があります。状態によっては「長期の服薬」や「手術の可能性」が話題にのぼることもあります。
ただし東洋医学の視点では、潰瘍性大腸炎は「腸だけの病気」とは捉えません。腸に炎症が出る背景には体質(全身の傾き)と食事(毎日の負担)があり、それらが積み重なった結果として腸の反応が表に出ている――と考えます。

「木を見て森を見ない」西洋医学との違い
西洋医学では、症状が出ている大腸(局所=木)に注目し、炎症を抑えることを主目的に治療が組み立てられます。これは、急性期の出血や強い炎症をコントロールする上で重要な考え方です。
一方、東洋医学は「森を見て木を治す」という発想です。腸に炎症が出ているのは結果であり、原因は体全体のバランスの崩れにある――そう捉えて、全身の状態を包括的に観察します。
- 炎症・出血のコントロールを優先する
- 症状の強さに応じて治療を調整する
- 急性期・重症化の局面で特に力を発揮する
- 「なぜ腸が荒れやすいのか」を体質から見る
- 腸以外(鼻・皮膚・喉・冷え・睡眠)も含めて評価する
- 回復が働く条件を揃え、再燃しにくさを狙う
「腸の炎症を抑える」ことと「腸が荒れにくい体を作る」ことは役割が違います。東洋医学は後者――体質の立て直しに焦点を当てます。
東洋医学が特定する原因①:特徴的な「体質」
東洋医学では、潰瘍性大腸炎を「腸だけの炎症」とは見ません。体質としての弱り方があり、その延長線上に腸の症状(下痢・下血など)が出ている――と捉えます。
五行説の考え方では、肺・大腸・皮膚・鼻は互いに関係が深い領域です。たとえば呼吸器(肺)が弱りやすい体質だと、表裏の関係にある大腸にも影響が出やすい。そのため、潰瘍性大腸炎の方は「腸以外」にも共通のサインが見られやすくなります。
- 鼻 花粉症、鼻炎、鼻水、鼻づまり
- 皮膚 乾燥肌、敏感肌、かゆみ、荒れやすい
- 喉 風邪で喉が痛い、咳が残りやすい
- 呼吸 息が浅い、季節の変化に弱い
- 冷え性(手足が冷える、下半身の冷え)
- 睡眠が浅い、疲れが抜けにくい
- ストレスで悪化しやすい
- 生理痛・月経前の不調(女性)
東洋医学が特定する原因②:戦後の食生活の欧米化
東洋医学では、潰瘍性大腸炎の増加には「食の変化」が深く関わると考えます。体は食べたものでできています。日々の食事は、体質を作り、腸の反応にも影響します。
特に以下の4つは、腸に負担を積み重ねやすい要因として注意が必要です。
単発ではなく、以下のような形で習慣化すると負担が積み上がりやすくなります。
- 主食がパン・麺中心になっている
- 乳製品が”健康習慣”として毎日入っている
- 揚げ物やスナックが頻繁
- 甘い飲み物・お菓子が日課
鍼灸で整えても、負担が上回れば腸は落ち着きにくくなります。逆に、負担が減るほど回復は働きやすくなります。
鍼灸による具体的なアプローチ
東洋医学専門の鍼灸では、「経絡(けいらく)」という全身の通り道を利用して施術を行います。経絡は、体表と内臓をつなぐ”連絡線”のように捉えられ、体表のツボから内臓の働きに影響を与えることを狙います。
- 腸だけでなく全身の反応(鼻・皮膚・喉など)の波が小さくなる
- 冷えや睡眠の乱れなど、悪化の引き金が起きにくくなる
- 食事の負担を減らしたときに、腸が落ち着く実感が出やすくなる
目的は「症状を押し込む」ではなく、体が勝手に落ち着く方向へ戻れる状態を作ることです。
改善のための「食養生」
施術と並行して、食事を正すことが不可欠です。東洋医学では、食事は「腸を直接左右する」だけでなく、「体質そのもの」を作る土台だと考えます。
- 玄米(難しければ分づき米)/白米でもOK
- みそ汁(具だくさんが理想)
- 納豆
- のり・小魚・海藻
- 根菜類(大根、ごぼう、にんじん等)
- 大根・蓮根など(大腸の調子を整える助け)
- 冷たい飲み物を常用しない
- 生野菜は”摂りすぎない”(温かい調理を増やす)
- 辛味は強すぎない範囲で(生姜など穏やかな辛味)
完璧に禁止するより、「和食の割合」を上げる方が継続できます。まずは”腸が落ち着く日を増やす”ことが最優先です。
負担が強い4つ(小麦・乳製品・油・砂糖)は、ゼロよりも「毎日にならない形」へ調整するのが現実的です。
西洋医学と東洋医学の「併用」という選択
東洋医学は体質改善に強みがありますが、急激な出血や腸の破裂を伴う「急性劇症型」など、命を守る局面では西洋医学の緊急処置が必要です。
理想的なのは、西洋医学で急性期の危機を凌ぎつつ、鍼灸と食事療法で体質を改善し、状態を見ながら「再燃しにくい体」へ近づけていく併用スタイルです。体調が安定してくるほど、薬の負担を減らす方向(減薬・断薬)も検討しやすくなります。
潰瘍性大腸炎は、決して諦めるべき病気ではありません。東洋医学では、腸の症状を”結果”と捉え、背景にある体質と食事の負担を整理します。そして鍼灸で全身の働きを整え、食養生で負担を減らすことで、下血や下痢に悩まされにくい状態を目指します。
※症状が強い場合は医療機関を優先してください。
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院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛、顔面神経麻痺、潰瘍性大腸炎、耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
