起立性調節障害の辛さに、
お身体の巡りを整えて自律神経の働きを支える鍼灸
朝、なかなか布団から出られない。立ち上がるとフラフラする。
それは車に例えるなら、エンジンの「アイドリング(循環)」が十分に温まっていない状態に近いと言えます。
西洋医学的な管理を大切にしながら、東洋医学で体内の巡りを静かに呼び覚ましていきます。
お身体の土台を整えることで、朝から健やかに動けるための変化が出ることがあると考えております。

目次:起立性調節障害を整え、健やかな朝を迎えるために
朝の辛い症状の背景、西洋医学と東洋医学それぞれの見解、そして体内の「巡り」を整えていくための歩みについて項目ごとに整理いたしました。

起立性調節障害の主な症状:
朝の不調と午後に向けての変化
起立性調節障害は、成長期における急激な身体の変化に、自律神経の調整機能が追いつかないことで生じる状態と考えられています。本人の意志に関わらず、お身体の機能として調整が難しくなっているのが現状です。
- 朝の覚醒の遅れ: 布団から起き上がるまでに相当な時間を要したり、どうしても動けなかったりする。
- 起立時の循環不全: 立ち上がった瞬間にフラつきや立ちくらみが起き、目の前が暗くなることがある。
- 身体の違和感: 動悸や息切れ、立っている時の倦怠感、あるいは日常的な頭痛や腹痛。
- 活動の波: 午前中に最も不調が強く現れ、夕方から夜にかけては比較的安定する。
これらの症状は、午後から夜にかけて負担が軽くなるという特徴を持っています。そのため、夜は元気に過ごせているように見えてしまい、周囲の理解が得られにくいという側面もあります。
東洋医学では、この「時間によるお身体の変化」に注目します。活動に向けて巡りを高める機能がスムーズに働かない原因を、全身のバランスや体質から丁寧に紐解いていきます。

西洋医学の視点:
自律神経の働きと生活環境の調整
現代医学において、起立性調節障害の主な背景は「自律神経の調整機能」の不安定さにあるとされています。成長期の身体的な発達に対し、神経系の制御が追い付かない状態と考えられています。
一般的な対応方針
病院での指導は、生活習慣の改善による環境調整が中心となります。
- 生活リズムの管理: 就寝・起床時間を一定に保つよう努める。
- 水分と塩分の補給: 血液量を維持し、立ち上がった際の血圧の変化を和らげる。
- 非薬物療法: 立ち上がり方や運動などの生活指導、経過の観察。
お身体への関わり方
西洋医学的な管理を行いながらも、以下のような点でお悩みになる方も少なくありません。
- 長期的な経過: 成長に伴い安定するのを待つ必要があり、学校生活への影響が懸念される。
- 個々の機能への介入: お身体が本来持っている「巡る力」の底上げについては、具体的な選択肢が限られる。
- 全身の多様な不調: 頭痛やお腹の不調など、併発する症状を個別に捉える必要がある。

東洋医学の捉え方:
体内の巡りを整え、健やかさを支えるアプローチ
東洋医学では、起立性調節障害を単なる神経系の乱れとしてだけではなく、お身体の「巡り(循環)の滞り」という視点からも捉えていきます。体内のエネルギーや栄養がスムーズに全身へ行き渡らないことが、朝の不調の一因となっている場合があると考えています。
西洋医学的な生活指導を基盤としながら、東洋医学ではお身体が本来持っている働きを支えることを目的としています。
お身体の巡りを丁寧に見直し、全体のバランスを整えていくことで、自律神経の働きが安定しやすくなるよう促します。こうした体質への関わりを重ねることで、朝の起き上がりや日中の活動における負担が軽くなることが期待されます。
鍼灸などを通じて、お身体が本来備えている「自らを整える力」を静かに呼び覚ましていく。それが、起立性調節障害という状態に対して私たちが提供できる一つの支えであると考えております。

巡りのたとえ:
お身体の機能を呼び覚ますためのアイドリング
起立性調節障害という状態を理解していただくために、私たちはよく「車」に例えてお話しすることがあります。
お子様のお身体は、決してどこかが故障して動かなくなっているわけではありません。イメージとしては、「朝一番、エンジンが冷え切っていてアイドリングが不安定な状態」に近いと考えられます。
朝はなかなか始動せず、無理に動かそうとしても負担がかかりすぎて止まってしまう。しかし、時間が経過してお身体が十分に温まってくれば、本来の機能を発揮してスムーズに動けるようになります。
東洋医学的な調整が目指すのは、この「アイドリング(巡り)」の質を高めることです。外側から無理に動かすのではなく、内側の循環を整えることで、朝から少しずつ滑らかにお身体を立ち上げられるような変化を促していきます。

全身的な視点:
起立性調節障害と併発しやすいお身体の不調
起立性調節障害を抱えるお子様は、朝の辛さだけでなく、他にも様々なお悩みをお持ちであることが少なくありません。東洋医学では、これらを別々の問題ではなく、お身体の土台に共通の原因があると考えます。
例えば、食欲がわかない、お腹を壊しやすいといった消化器の弱さや、頻繁に繰り返す頭痛、気圧の変化で増す倦怠感などが挙げられます。これらはお身体が巡りを調整しようと努める中で、余分な負担がかかっているサインである場合があります。
西洋医学でお薬を処方されている場合も、それらを併用しながら東洋医学的に全身のバランスを静かに整えていきます。
局所的な症状だけを追うのではなく、睡眠の質やお腹の状態など、全身を一つのつながりとして捉えて調整を重ねることで、結果として本来の辛い症状の負担も軽くなる場合があると考えております。

これからの歩み:
負担の少ない体質作りを目指して
起立性調節障害という状態と向き合う際、私たちは単に「時間が経過するのを待つ」だけでなく、お身体の土台を整えることも一つの選択肢であると考えています。
自律神経の働きを安定させやすくするためには、その基盤となる「全身の機能」そのものに着目することが大切です。気血の巡りを整え、内臓の働きを支えることで、お身体が本来持っている力を引き出す。こうした体質の調整を重ねることが、状況を前進させる一助となる場合があります。
東洋医学的な視点で、鼻炎や胃腸の不調、冷えといった併発しやすい症状も含めて包括的に整えていくことで、お身体全体のバランスが少しずつ調和していきます。
「朝、自然にお身体が動き出そうとする」。
そのような状態に近づくために、お子様が本来備えている健やかさを静かに支えてまいります。日々の生活の中で不調に振り回される頻度が減り、無理のない日常を過ごせるよう、共にお身体を整えていきましょう。

根本的な視点:
巡りを整え、健やかなお身体の土台を築く
これまでの内容を振り返ると、起立性調節障害という状態に対して大切なのは、現れている症状への対応と並行して、お身体の「土台」を見つめ直すことであると考えています。
東洋医学的なアプローチは、お身体の「巡り(循環)」に働きかけるものです。例えば、植物が育つ土の環境を整えるように、お身体の巡りを滑らかにし、内臓の働きを助けることで、自律神経が安定しやすい環境を整えていきます。
起立性調節障害の症状は、お身体の調整機能が一時的に追い付いていないことを示すサインかもしれません。そのサインに丁寧に応え、全身を包括的に整えることで、お身体のバランスが少しずつ調和していく可能性があります。
「午後は動けるから」と無理を重ねるのではなく、朝からお身体がスムーズに立ち上がるための力を、今から少しずつ養っていきませんか。東洋医学の視点に基づき、お子様が本来持っている健やかさを取り戻すための一歩を、静かに、そして誠実に支えてまいります。

専門施術の費用と、
変化を支えるための通院の目安
起立性調節障害への対応は、お身体の巡りを整え、その安定した状態を少しずつ定着させていく過程です。成長期のお身体の状態を見守りながら、無理のない計画で進めてまいります。
今現れている不調だけでなく、これまでの経過や体質の傾向を詳しく伺います。その上でお子様一人ひとりに合わせた施術の方針を立てていきます。
巡りの滞りを和らげ、全身のバランスを整える施術を継続します。お身体の負担が軽くなるよう、段階的に働きかけていきます。
通院ペースの考え方
- 調整期(症状による負担が強い時期):
週に1〜2回程度。滞っている巡りを整え、自律神経の働きが安定しやすい土台を作っていきます。 - 安定期(少しずつ活動しやすくなる時期):
週に1回程度。整ってきた巡りの状態をお身体に馴染ませ、良い状態を維持しやすくします。 - 維持期(日常を健やかに過ごせる時期):
2週間〜1ヶ月に1回程度。お身体の調和を保ち、環境の変化などに左右されにくい状態を支えます。
お身体の変化には波があり、一進一退を繰り返しながら進んでいくことが一般的です。その時々の状況に合わせ、最適なペースをご提案いたします。

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院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、肩こり、腰痛をはじめ、生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
