嗅覚の揺らぎを見つめる:
巡りを調え、感覚の土台を支える
東洋医学では、鼻の状態をお身体全体の巡りの一部として捉えます。
感覚を受け取る場所が健やかであるためには、十分な巡りとお身体の内側からの充実が大切です。
鼻の周辺、そして全身のバランスを調えることで、本来の感覚が働きやすい環境を静かに後押しします。

目次
嗅覚の働きが鈍いと感じられるとき、お身体の内側ではどのような変化が起きているのでしょうか。巡りを調え、感覚の土台を支えるための東洋医学の考え方を整理しました。

嗅覚の状態について:
感覚の揺らぎとお身体の繋がり
嗅覚の働きが鈍くなると、においを感じにくくなるだけでなく、日々の食事の楽しみや生活の安心感にも影響が及ぶことがあります。
お身体が発しているサインを整理し、その背景を一緒に確認していきましょう。
現れやすい感覚の変化
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においが遠く感じられる:
鼻の粘膜の腫れなどにより、においの元が届きにくくなっている状態です。 -
風味の感じ方の変化:
「におい」と「味」は密接に関わっています。風味を感じにくくなることで、食事の満足度が変わってしまうことがあります。 -
本来とは異なる感じ方:
いつものにおいが以前と違って感じられたり、本来ないはずのにおいを感じたりするなど、感覚の揺らぎが生じる場合があります。 -
安全への影響:
焦げたにおいやガスのにおいなど、危険を知らせるサインに気づきにくくなるため、日常生活での配慮が必要になることがあります。
東洋医学の視点と、大切な確認
東洋医学では、鼻を単体として見るのではなく、全身の巡りやお身体の土台となる力の状態を反映する場所として捉えます。
【鍼灸の役割】
全身のバランスを調え、特に鼻周りの巡りを助けることで、お身体が本来持っている感覚の働きが戻りやすい環境を整えていきます。これにより、少しずつ負担が軽くなる場合があります。

原因と分類:
においが届くまでの過程と、その妨げ
においを感じる仕組みには、入り口から脳へ至るまでの「道筋」があります。どこで反応が滞っているかによって、お身体の状態は大きく三つに分けられます。
① 道筋の滞り
(通り道の塞がり)
においの元となる微細な粒子が、鼻の奥にある受け取り場所まで物理的に届きにくい状態です。
- 主な背景: 鼻の粘膜の腫れ、鼻づまりを伴う慢性的な不調、アレルギーによる反応など。
- 状態: 鼻の通りの変化に伴い、においの感じ方に変化が現れることが期待されます。
- 比喩: 細い道がふさがっており、においの粒子が「目的地にたどり着けない」ような状態です。
② 受け取り場所の揺らぎ
(感覚組織の疲弊)
においの粒子を受け取る組織そのものが、強い刺激や疲弊によって本来の働きを休めている状態です。
- 主な背景: 風邪の後や、特定のウイルスによる影響、心身の過度な負担など。
- 状態: 周囲の巡りを穏やかに調えることで、組織が本来の働きを取り戻しやすい環境を作っていきます。
- 鍼灸の視点: お身体の内側から巡りを助け、感覚を司る場所へ必要な養分が届きやすくなるよう働きかけます。
③ お身体の深部の反応
(中枢の関わり)
受け取った情報を処理する、お身体のより深い部分に何らかの重い負担がかかっている状態です。
- 主な背景: 頭部への強い衝撃や、お身体の深部に関わる長期的な変化など。
- 大切なこと: この場合は、まず専門の医療機関による詳細な画像確認や診断を優先していただくことが、何よりの安心に繋がります。
これら以外にも、はっきりとした理由が見当たらない場合もあります。東洋医学ではどのような分類であっても、お身体全体の巡りを整えることで、感覚の不自由さが少しずつ和らいでいく過程を支えていきたいと考えています。

東洋医学の捉え方:
全身の巡りと鼻の働きを調和させる
嗅覚の変化は、鼻の周囲だけでなく、お身体全体のバランスが揺らいでいるサインとして現れることがあります。
例えるなら、根から吸い上げる栄養が十分であってこそ、枝先の花が香りを発するように、感覚の働きはお身体の内側からの充実と繋がっています。
お身体の土台への働きかけ
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呼吸を司る働きの調整:
東洋医学では鼻を呼吸機能と深く関連するものと考えます。呼吸を整え、粘膜の働きを穏やかに保つことで、感覚を妨げる要因を和らげていきます。 -
巡りの滞りを和らげる:
栄養を運び、不要なものを流す巡りの力を整えます。特に鼻の周辺の巡りをスムーズに保つことで、感覚を受け取る場所が健やかでいられるよう働きかけます。 -
回復を支える力を養う:
消化吸収や生命力を司る働きのバランスを整えます。お身体が本来持っている、負担を跳ね返す力を内側から支えることで、感覚の安定しやすい体質を育んでいきます。 -
全体を見つめる:
部分的な変化にのみとらわれず、全身の調和を目指します。これにより、嗅覚の不自由さが少しずつ軽くなるだけでなく、お身体の重だるさや疲れやすさが変化する場合もあります。

お身体の土台を整えることで
現れる可能性のある変化
お身体全体の巡りを穏やかに調えていく過程では、嗅覚の状態だけでなく、日頃から抱えていた他の不自由さにも良い変化が立ち上がることがあります。
これは、お身体が本来持っているバランスを保とうとする力が、多角的に働き始めている状態と言えます。
自律神経や巡りに関するサイン
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休息の質の変化:
夜ぐっすりと休めない、あるいは眠りが浅いといった状態が和らぎ、朝の目覚めが穏やかになる場合があります。 -
呼吸の通り:
鼻だけでなく、胸のあたりが広がるような深い呼吸がしやすくなり、お身体の重だるさが軽くなることがあります。 -
上半身の緊張感:
首や肩に長年感じていた強張りが和らぎ、指先の巡りが良くなったように感じられる場合があります。
季節やリズムに関するサイン
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粘膜の過敏さ:
季節の変わり目に感じやすい鼻の不快感や、繰り返すつまりが穏やかになり、お顔周りのすっきりとした感覚に繋がることがあります。 -
冷えや生理周期の影響:
手足の冷えが和らいだり、生理に伴うお身体の重い負担が少しずつ軽くなったりする場合もあります。
「池に投げた小石が波紋を広げる」ように、一つの巡りの滞りが和らぐことは、お身体全体の調和へと波及していく性質を持っています。
嗅覚の変化とともに、これらのお身体のサインを丁寧に観察していくことは、ご自身の体質がどのように調いつつあるのかを知る、大切な手がかりとなります。

当院の取り組み:
巡りを調える施術と、日々の養生
当院の施術では、嗅覚の状態に合わせてお身体全体の巡りを整え、感覚を受け取る場所が健やかに働ける環境づくりをサポートします。西洋医学の処置と並行して、お身体の内側からの変化を促していきます。
施術の視点
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通り道を穏やかに保つ:
呼吸に関わる巡りを整えることで、鼻の粘膜の強張りを和らげ、においの粒子が届きやすい環境を整えます。 -
感覚の土台を支える:
消化の働きや生命力の源を整え、感覚を司る場所へ必要な巡りが届きやすくなるよう働きかけます。 -
全身の調和を促す:
一部分に偏った緊張を解き、お身体全体の巡りをスムーズに保つことで、感覚組織が本来の力を発揮しやすくなるよう支えます。
「乾いた大地に水を染み渡らせる」ように、お身体の隅々まで巡りが行き渡ることで、感覚の働きにも穏やかな変化が現れる場合があります。
施術の内容と配慮
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負担の少ない刺激:
髪の毛ほどの細い鍼や、温かみを感じる程度のお灸を用います。お身体が繊細な状態にある方も多いため、その日の体調に合わせた優しい刺激を心がけています。 -
清潔な環境と器具:
一回ごとに使い捨てる鍼を使用し、衛生面への配慮を徹底しています。 -
現れることのある変化:
鼻の通りがすっきりする、呼吸が深く感じる、お食事の風味がふと感じられるようになる、といった変化のほか、お身体の疲れが和らぐ場合もあります。

施術料金と、お身体を調えていくための
通院の目安
当院の施術は、お身体の状態を丁寧に伺い、巡りの滞りを和らげていくことを目的としています。健康保険の適用外となりますが、お一人おひとりの体質に合わせた細やかな働きかけを大切にしています。
これまでの経緯やお身体全体の調子を伺い、東洋医学の視点からどのような巡りの滞りがあるかを確認し、施術を始めます。
前回の後の変化を伺いながら、その日の体調に合わせて調整を行います。
通院頻度に関する一つの目安
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お身体の変化を見極める時期:
変化のきっかけを掴みやすくするため、最初は週に1〜2回程度を目安にお越しいただく場合が多いです。 -
巡りが落ち着いてきた時期:
お身体の状態が安定してきたら、1〜2週間に1回など、少しずつ間隔を空けて様子を見ていきます。 -
良い状態を保つ時期:
負担が軽くなってきた後は、月に1回程度の調整を続けることで、お身体全体の調和を保ちやすくなります。
「冬の寒さで固まった土が、春の陽気で少しずつ緩んでいく」ように、お身体の巡りが変化するまでには、それなりの月日を要することが少なくありません。
焦らず、今の自分にとって無理のない歩調で続けていくことが、納得のいく変化へと繋がる道標になります。

ご予約・ご相談

院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、鼻・のど・呼吸器の不調を含む全身の体質づくりを支援。においを感じやすい環境を目指します。
