動眼神経麻痺による負担に対し、
お身体の「蓄え」と「巡り」から支える
麻痺の影響で思うように目が動かない時期は、お身体が非常に疲れやすい状態にあります。
東洋医学では、目に栄養を運ぶ力を補い、強張った周辺の巡りを整えることで、本来備わっている回復力を後ろから支えていきます。
日々の不自由さが少しずつ和らぎ、穏やかな日常に戻るためのお手伝いをいたします。

お話しする内容
物が二重に見えることや、まぶたの重みが続く際のお身体の状態について。東洋医学がどのようにお身体の巡りを整え、回復の土台を支えていくのか、その目安をまとめました。

動眼神経麻痺の状態:
目とまぶたの働きの滞り
現れやすい主な変化
動眼神経は、目を動かす筋肉やまぶたの引き上げ、瞳の調整などを担っています。この働きの巡りが滞ることで、お身体には以下のような変化が現れる場合があります。
- まぶたの重み: まぶたを引き上げる力が十分に行き届かなくなることで、目が開けづらく感じられることがあります。
- 景色の重なり(二重に見える): 左右の目の向きを合わせる働きが緩慢になり、物が二重に見える、あるいは焦点が合いづらいといった状況が起こりやすくなります。
- 瞳の働きの変化: 光の入り方を調整する力が弱まり、まぶしさを強く感じたり、黒目の大きさが左右で異なって見えたりすることがあります。
- 例えるなら「目へと続く細い道が塞がってしまい、指令がうまく伝わらなくなっている状態」に近いかもしれません。
大切な確認事項
動眼神経の変化には、背景に早急な医療的処置を必要とする状態が隠れている場合もあります。そのため、以下の点に注意深く向き合うことが大切です。
- 早急な受診が必要な場合: 急激な頭痛、目の奥の強い痛み、手足のしびれ、言葉の出にくさなどを伴う場合は、まずは速やかに専門の医療機関(脳神経内科など)で検査を受けてください。
- 鍼灸がお役に立てる場面: 病院での検査を終え、経過を見守る時期に入った際、お身体全体のバランスを整えることで、自然な回復を後ろから支えるお手伝いをいたします。

日常生活のご不便と
状態が揺れ動く背景
目が思うように動かなかったり、まぶたが下がったりすることは、視界が遮られるだけでなく、全身のバランスを保とうとする無意識の力みを引き起こす場合があります。
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見る作業への負担:
文字が重なって見えたり、まぶたによって視野が狭まったりすることで、読書やお仕事、細かな作業において通常よりも早くお疲れを感じやすくなります。 -
距離感の揺らぎ:
左右の視線のズレは、階段の昇り降りや段差、足元の感覚に影響を与えることがあります。これまで意識せずに行えていた動作に慎重さが求められ、精神的な緊張が続く一因となります。 -
状態の揺れ動き:
夕方の疲れ、急な冷え、あるいは心理的な負担が重なった際に、まぶたや見え方の状態が一時的に変化することがあります。
これは、「お身体全体の余力が少なくなったときに、その影響が特に敏感な部分に現れやすくなっている」というサインかもしれません。
東洋医学では、このように気候や疲労によって変動する部分に着目します。全身のバランスを整え、外からの刺激に左右されにくい土台を作ることで、お身体への負担を少しずつ和らげていくことを目指します。

西洋医学の役割と、その後の丁寧な見守り
動眼神経の変化に対し、西洋医学が担う最も大切な役割は、精密な検査によって現在の状況を詳しく把握し、必要な処置を迅速に行うことです。
まずは専門の病院での方針を大切にしながら、その後の経過を穏やかに見守っていくことが重要になります。
一般的な対応と経過の捉え方
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詳細な確認:
MRIなどの画像による確認を行い、神経に影響を与えている原因がないかを慎重に調べます。状態に応じて、巡りを助けるようなお薬が処方されることもあります。 -
負担を和らげる工夫:
物が重なって見える不便さに対しては、プリズム眼鏡などを用いて視覚的な負担を軽減する工夫がなされる場合があります。 -
回復までの時間:
神経の変化には、相応の時間を要することが少なくありません。病院での治療を続けながら「待つ」時期に入った際、ご自身のお身体が持つ力をどのように整えていくかが、次の段階となります。

東洋医学の捉え方:
全身を整え、お身体の回復力を支える
動眼神経に関わる変化の背景には、巡りの滞りやお身体の蓄えが少なくなっている状態が見受けられることがあります。
東洋医学では、目に直接関わる部分だけでなく、お身体の基礎となる働きを整えることで、自然な変化を促すための土台を作っていきます。
目の働きを支えるお身体の連携
- 「肝(かん)」の働き: 目と密接な関わりがあり、筋肉のしなやかさを保つ役割を担っています。目を動かす力のバランスを整えるための要となります。
- 「脾(ひ)」の働き: お食事から栄養を取り込み、全身へ届ける力を司ります。ここを調えることで、目の周辺へ必要な栄養が行き渡るよう助けます。
- 「腎(じん)」の働き: お身体の根源的な体力を司ります。長期的な経過を見守る時期において、疲れにくく、回復に向かうための体力を後ろから支えます。
- 例えるなら「根をしっかりと育てることで、枝葉である目に栄養を届きやすくする」という考え方で向き合っていきます。
こうした全身の働きの調和を図ることで、まぶたの重みや物の見え方、そしてお身体全体の疲労感が、少しずつ穏やかになっていくことを目指します。

鍼灸による調整:
全身の調和と健やかな巡り
施術の進め方
目の不自由さを和らげるためには、部分的な刺激に頼るのではなく、お身体が本来持っている「整える力」を呼び起こすことが大切です。
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お身体の要を調える:
目や筋肉の働きと関わりの深い場所を中心に、全身の巡りを調整します。これにより、目の周囲に無理なく力が届くような環境を作っていきます。 -
蓄えと体力を補う:
日々の消耗をケアし、お身体の土台となる力を底上げします。変化を受け入れるための「余力」を蓄えることを目指します。 -
心地よい刺激の選択:
非常に細い鍼や、温かさを感じる程度のお灸を用います。緊張を解きほぐし、深いリラックス状態へ導くことで、巡りを妨げる要因を和らげていきます。
例えるなら「滞っていた川の掃除を行い、再び必要な場所へ水が行き渡るよう整える」イメージでお手伝いいたします。
現れることのある変化
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見え方の揺らぎの緩和:
景色が重なって見える際の負担が軽くなったり、まぶたの重みが少しずつ和らいだりする場合があります。 -
随伴する不調のケア:
目から来る頭痛、肩こり、あるいは気分の落ち着かなさといった全身の緊張状態が、穏やかになることが期待されます。 -
日々の過ごしやすさ:
お身体全体の巡りが整うことで、眠りの質が落ち着いたり、日中の倦怠感が軽減されるなどの変化が見られることがあります。

お身体全体に現れやすいサイン
目の不自由さが続く際、お身体の他の場所にも変化が生じていることがあります。
これらは、お身体がバランスを保とうとして出しているサインかもしれません。
休息や巡りに関するサイン
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頭部や肩のこわばり:
見え方の変化に合わせようとして、首や肩が無意識に緊張し、巡りが滞りやすくなる場合があります。 -
休息の質の変化:
夜間に目が冴えてしまったり、眠りが浅くなったりと、お身体が十分な休息を求めているサインが現れることがあります。 -
足もとの冷えや重み:
全身の巡りのバランスにより、上半身に熱がこもりやすく、足もとが冷えやすくなる傾向が見受けられます。
日々のリズムに関するゆらぎ
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季節や気候への敏感さ:
鼻のムズムズ感や皮膚の乾燥など、季節の変わり目に不調を感じやすくなることがあります。 -
お腹の調子や代謝:
胃腸の重だるさや、水分の巡りが滞ることで生じる重だるさを併せ持つ場合があります。 -
女性特有の周期的な変化:
生理に伴うお腹の痛みや不調など、巡りの滞りが周期的なゆらぎとして現れることも少なくありません。
東洋医学では、これら一つひとつのサインをお身体全体がつながったものとして受け止めます。
目の負担を和らげることと同時に、こうした背景にあるお身体のゆらぎを穏やかに整えていくことで、健やかな状態への歩みを支えていきます。
「目という窓だけでなく、家全体(からだ)の風通しを良くして、自然と心地よい環境を整える」ような視点でお手伝いをさせていただきます。

東洋医学の診察:お身体全体の様子を伺う
お身体の状態を整えるためには、西洋医学の検査結果に加え、ご自身が日々感じておられる細かな変化を伺うことが欠かせません。
東洋医学特有の視点から、今の巡りや蓄えの状態を把握するために、以下の四つの側面から拝見させていただきます。
診察で大切にしている視点
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目で見て伺う:
お顔の色や肌の様子、舌の状態などを拝見します。これらは、お身体の中の栄養や水分の巡り、熱のバランスを知るための大切な窓口となります。 -
声や様子から伺う:
お話しされる際の声の響きや呼吸の状態に耳を傾けます。お身体にどれくらいの体力が備わっているか、緊張がどこにあるかを感じ取ります。 -
お話を詳しく伺う:
現在の不自由さに加え、お食事、眠り、日々のリズムなどを丁寧に伺います。どのような経過でお身体のバランスが変化してきたのか、その経緯を共に辿ります。 -
お身体に触れて伺う:
手首の脈やお腹の様子を優しく確認します。表面の症状だけでなく、巡りの深さや滞りの場所を確かめるための重要な診察です。
一つひとつの手がかりを丁寧に繋ぎ合わせることで、お一人おひとりの状態に合った、無理のない調整方法を考えていきます。

お身体を整え始める時期について
目の不自由さが現れてから、お身体が落ち着こうとするまでの期間は、回復するための力が緩やかに動き続けています。
この時期に、全身の巡りを調えてお身体の余力を蓄えることは、後々の過ごしやすさにも関わってくることがあります。
早い段階からお身体に目を向ける理由
- お身体の土台を整える: 見え方の負担を感じている時期は、お身体全体のバランス(巡りや蓄え)にゆらぎが生じている場合が少なくありません。早い段階から全身を整えることで、その時々の変化に柔軟に対応できる状態を目指します。
- 回復を支える環境づくり: 鍼灸によって全身の巡りを促すことは、お身体が自ら整おうとする働きを後ろから支えることにつながります。無理な刺激を避け、穏やかに見守るための環境を整えていきます。
- 例えるなら「土壌(からだ)を豊かにしておくことで、そこに根ざす植物(目)に栄養が届きやすい環境を整える」という視点を大切にしています。
時間が経過している場合や、変化が緩やかになっている時期であっても、今のお身体に合わせた調整を行うことで、負担が軽くなる道筋を探ることは可能です。まずは現在のお身体の様子を、そのままお聞かせください。

施術料金と通院の目安について
目の不自由な状況に対し、当院ではお身体全体のバランスを整えることで、健やかな巡りを取り戻すお手伝いをいたします。
日々の生活の中でお身体が無理なく変化を受け入れられるよう、お一人おひとりに合わせた歩みを大切にしています。
今のお身体の状態やこれまでの経緯を詳しく伺い、お身体全体の巡りや蓄えの様子を拝見した上で、調整の組み立てを行います。
その時々のお身体の反応に合わせ、蓄えを補いながら巡りを整えます。目の周囲の緊張が和らぐよう、継続的に働きかけていきます。
通院の目安について
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お身体が変化を受け入れ始める時期:
まずは週に2回ほど、お身体の巡りを集中的に整える時間を設けることで、変化のきっかけを作っていきます。 -
落ち着きが見え始めた時期:
お身体の状態が安定してきたら、週に1回程度のペースで、整った状態が長く続くよう土台を固めていきます。 -
健やかさを保つ時期:
日々の生活が穏やかになれば、2〜4週間に1回など、お身体のメンテナンスとして間隔を空けていくことが可能です。
例えるなら「枯れかけた植物に少しずつお水を与えるように」、定期的にお身体を整えることで、自然な健明さを引き出すお手伝いをいたします。
通院の頻度や期間については、お仕事やご生活の状況に合わせて柔軟に相談させていただきます。無理なく続けていくための方法を、一緒に考えていきましょう。

ご予約・ご相談
院長プロフィール
中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。
「森を見て木を治す」視点で、見え方の負担と全身のゆらぎを同時に調整。巡り・自律・回復のちからを引き出します。
