補法と瀉法とは、東洋医学の
「足す」と「抜く」という考え方
当院が大切にしている「取り除くのではなく、補って立て直す」という視点は、この補瀉(ほしゃ)という考え方が土台になっています。
補法(ほほう)は足りないものを補う手技、瀉法(しゃほう)は余分なものを抜く手技です。東洋医学では、不調の多くを「過剰か、不足か」で捉え、その方の状態に合わせてどちらの手技を用いるかを見極めます。
ここでは、補法と瀉法とはどういう考え方か、そして当院がなぜ「補う」ことを大切にしているのかをご紹介します。
補法と瀉法——足すか、抜くか
東洋医学では、不調の背景を「五臓六腑のどこかが弱っている」か「五臓六腑のどこかに余分なもの(滞りや邪気)が溜まっている」かのどちらか(あるいは両方)として捉えます。この五臓六腑の状態を、経絡上のツボを通して整える2つの基本手技が、補法と瀉法です。気血水は、この五臓六腑の働きによってつくられ、巡らされるものなので、臓腑が整うことで結果的に気血水も整っていきます。
補法(ほほう)——弱っている臓腑に力を補う
働きが弱っている臓腑に対して、その働きを助け、力を満たしていく手技です。じんわりと優しい刺激で、体をゆっくり底上げしていくイメージです。
瀉法(しゃほう)——滞り・余分なものを追い出す
臓腑や経絡に滞りや余分なもの(外から入り込んだ邪気など)が溜まっている状態に対して、それを発散させ、追い出す手技です。強めの刺激で、詰まったものを流すイメージです。
同じ「肩こり」という症状でも、疲労で臓腑の力そのものが落ちているものには補法を、ストレスで経絡の巡りが滞っているものには瀉法を、というように、原因によって用いる手技が変わります。
現代人に多いのは「不足」のタイプ
忙しい毎日のなかで、睡眠不足や不規則な食事、慢性的な疲労を抱えている方は少なくありません。こうした背景では、臓腑に「余分なものが溜まっている」というより、「臓腑そのものの力が弱っている」状態であることが多いとされています。
それにもかかわらず、強く押す・強く揉むといった刺激は、瀉法、つまり「追い出す」方向の刺激です。すでに弱っている臓腑にさらに瀉法をかけてしまうと、その場は楽になったように感じても、かえって消耗を早めてしまうことがあります。マッサージを受けた直後は軽くなったのに、しばらくすると前よりだるく感じる——という経験がある方は、これに当てはまるかもしれません。
ご自身が「補うべきタイプ」なのか「抜くべきタイプ」なのかは、自己判断がむずかしいところでもあります。脈やお腹の状態を確認することで、判断の手がかりが得られます。
当院が「補う」ことを大切にする理由
当院が大切にしているのは、コリや痛みを引き算のように取り除くのではなく、足りない力を補って立て直すという視点です。これは、補法と瀉法のうち、特に「補う」ことを重視するという、当院の施術方針そのものでもあります。
もちろん、臓腑や経絡に滞り・余分なものが溜まっている場合には瀉法が必要な場面もあります。ただ、多くの慢性的な不調の背景には、いずれかの臓腑の力そのものの不足があると考えており、そこを見誤って瀉法ばかりを重ねてしまうと、かえって体力を消耗させてしまいかねません。当院では、脈やお腹の状態から今どの臓腑が弱っているかを確認しながら、補うべき臓腑は補い、滞りがあれば巡らせるというように、その方の状態に合わせて手技を組み立てています。
「もみほぐしても、その日だけしかもたない」「刺激を受けるとかえって疲れる」——そう感じている方は、補瀉のバランスが合っていない可能性があります。ご自身の体質について、ぜひ一度ご相談ください。
ご自身が「補うべきタイプ」か、確認してみませんか
補うべきか、巡らせるべきか——それは脈やお腹の状態を確認するとより分かりやすくなります。東洋中村はり灸院は、国家資格を持つ鍼灸師が東洋医学一筋で施術を行う、札幌の鍼灸専門院です。お気軽にご相談ください。
初回はカウンセリングに時間をかけ、お体の状態をしっかり把握したうえで施術を行います。LINEからいつでもご相談・ご予約いただけます。
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院長プロフィール

中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
脈・腹などから全身の状態を見立てる伝統的な手法を軸に、その方に合ったはり・お灸を組み立てています。コリや痛みを引き算のように取り除くのではなく、足りない力を補って立て直すという視点を大切に、肩こり・腰痛から原因がはっきりしない慢性的な不調まで、体質そのものから整えることを目指してはり治療を行っています。
