気とは、東洋医学が考える「目に見えないエネルギー」
疲れやすい、やる気が出ない、なんとなく調子が悪い——その感覚を、東洋医学は「気」という言葉で説明します。
気は、生命活動を支える働きそのものと考えられています。呼吸をする力、体を温める力、血や水を巡らせる力——これらすべてに気が関わっています。目には見えませんが、体調の波として、誰もが日常のなかで感じているものです。
「気のせい」「元気」「気力」——気という言葉は、実は日本語のなかにもたくさん残っています。東洋医学では、この気の状態を脈やお腹から確認し、鍼灸で整えていきます。ここでは、気とはどういうものか、気が乱れるとどうなるのかを、順を追ってご紹介します。

気は「生命活動を支える働き」
東洋医学では、体は「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素で成り立っていると考えます。血と水は、栄養や潤いを運ぶ実体のあるものですが、気だけは形を持たず、体を動かしている「働き」そのものを指します。
たとえるなら、血や水が水道管を流れる水だとすれば、気はその水を押し出しているポンプの力です。ポンプの力が十分でなければ、水道管そのものに問題がなくても、水はうまく流れません。同じように、気が満ち足りて巡っていれば、多少の無理をしても回復しますが、気が不足したり滞ったりすると、体のあちこちに不調が現れやすくなります。
気の主な働き
- 推動(すいどう) 血や水を全身に巡らせる、体を動かす力
- 温煦(おんく) 体を内側から温める力
- 防御(ぼうぎょ) 外からの寒さや邪気から体を守る力
- 固摂(こせつ) 汗や血、内臓を正しい位置・状態に保つ力
- 気化(きか) 食べたものをエネルギーや血・水に変換する力
気は、生まれ持って腎に蓄えられているもの(先天の気)と、呼吸や食事によって日々つくられるもの(後天の気)の2つから成り立つとされています。だからこそ、しっかり眠り、きちんと食べ、深く呼吸することが、気を保つうえで欠かせません。

気が乱れると起こること
気の乱れは、大きく「不足している状態」と「滞っている状態」の2つに分けて考えます。どちらも日常の中でよくみられるサインです。
気虚(ききょ)——気が不足している状態
気そのものが足りていない状態です。過労やストレスによる消耗、胃腸の働きの低下(食べたものからうまく気をつくれない)などが背景にあります。
- 疲れやすく、元気が出ない
- 朝から体がだるい、眠気が抜けない
- 風邪をひきやすい
- 食後に胃がもたれやすい
- 声に力がなく、息切れしやすい
気滞(きたい)——気が巡らず滞っている状態
気の量は足りていても、うまく巡らずに詰まってしまっている状態です。ストレスや考えすぎ、運動不足などが背景にあることが多く、季節の変わり目に強く出やすいとされています。
- イライラしやすい、怒りっぽくなる
- ため息が増える
- 喉や胸につかえた感じがある
- お腹が張る、ガスが溜まりやすい
- 気分の浮き沈みが大きい

気と、血・水とのつながり
気・血・水は、それぞれが別々に働いているわけではありません。気が血と水をつくり、押し進め、体の外へ漏れないように保っている——これが三者の基本的な関係です。気の不調が、めぐりめぐって血や水の不調として現れるのは、このためです。
気と血
気は血を生み出す力となり、血は気の働く土台となります。脾(消化器系)が食べたものからつくった栄養に、肺が取り込んだ気が結びついて血になるとされ、気が足りなければ、血も十分にはつくられません。
逆に、血が不足すると気の落ち着く場所が失われ、疲れやすさや動悸として現れることがあります。気虚と血虚が重なって起こりやすいのは、この支え合いがあるためです。
気と水
水を全身に巡らせているのは、気の推動(すいどう)の働きです。気が不足したり滞ったりすると、水も同じ場所で足踏みします。疲れがたまるとむくみやすくなる、気を張る時期に体が重だるくなるというのは、この関係で説明されます。
また、余分な水を汗や尿として外に出すのは、気の気化(きか)の働きです。気が弱ると、汗をかきにくい、あるいは逆に汗が止まらないといった偏りが出ることもあります。
滞りは、連鎖する
気の滞りは、そこで止まりません。気が巡らなければ血も滞って瘀血(おけつ)となり、水も滞って水滞(すいたい)となります。ストレスの多い時期が続いたあとに、肩こりが抜けなくなったり、体が重だるくなったりするのは、この連鎖が起きているとみます。
だからこそ当院では、症状の出ている場所だけでなく、気・血・水のどこが起点になっているかを脈やお腹から確かめたうえで、はりとお灸を組み立てていきます。

鍼灸で気を整えるということ
気を補ったり巡らせたりする力は、五臓六腑のはたらきと深く結びついていると考えます。たとえば、呼吸によって外の気を取り込むのは肺の役割、食べたものから気をつくり出すのは脾(消化器系)の役割、そして生まれ持った気を蓄えているのが腎です。
当院の経絡治療では、脈やお腹から今どの臓腑の働きが弱っているかを確認し、関係するツボに髪の毛ほどの細さの鍼や、じんわりとしたお灸で刺激を加えていきます。気が不足している方には補うように、気が滞っている方には巡らせるように——その方の状態に合わせて組み立てるのが特徴です。
ご自宅でできること
気を整えるうえでは、日々の積み重ねも大切です。深い呼吸を意識する、湯船にゆっくり浸かる、食事の時間を規則正しくする——どれも地味に思えますが、気をつくり、巡らせる力を支えてくれます。季節ごとの養生については「養生のこよみ」でも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ご自身の気の状態が気になる方、疲れやすさやイライラが続いている方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

気になる不調があれば、まずご相談ください
「気」の状態は、脈やお腹から実際に確認するとより分かりやすくなります。東洋中村はり灸院は、国家資格を持つ鍼灸師が東洋医学一筋で施術を行う、札幌の鍼灸専門院です。疲れやすさ・イライラ・気分の落ち込みなど、些細なことでもお気軽にご相談ください。
初回はカウンセリングに時間をかけ、お体の状態をしっかり把握したうえで施術を行います。LINEからいつでもご相談・ご予約いただけます。

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院長プロフィール

中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長。鍼灸師・医薬品登録販売者(国家資格)。
脈・腹などから全身の状態を見立てる伝統的な手法を軸に、その方に合ったはり・お灸を組み立てています。大切にしているのは、コリや痛みを引き算のように取り除くのではなく、足りない力を補って立て直すという視点です。肩こり・腰痛はもちろん、生理痛や自律神経の乱れ、原因がはっきりしない慢性的な不調まで、体質そのものから整えることを目指してはり治療を行っています。
