繰り返す更年期障害を、札幌の鍼灸で根本から。
のぼせ、冷え、イライラ、眠れない夜。ばらばらに見える不調には、一つの根があります。
「年齢のせいだから仕方ない」と我慢しながら、毎日をやり過ごしていませんか。更年期障害の症状は驚くほど多様で、つらさの出方も人によってまったく違います。
けれど、東洋医学から見ると、散らばって見える症状の奥には共通した土台があります。当院はその土台に、鍼灸でアプローチします。
のぼせと汗、足の冷え、頭痛、動悸、寝つきの悪さ、理由のわからない涙——更年期の不調は、体のあちこちに同時に現れます。婦人科では「更年期障害ですね」と言われ、薬を渡されて終わり。マッサージに行けばその日は軽くなるけれど、数日で元に戻る。そんな繰り返しのなかにいる方が、当院にはよくいらっしゃいます。
東洋医学では、その土台を「腎(じん)」と呼びます。成長・老化・生殖といった生命の根幹を支える臓腑で、ここが年齢とともに衰えると、症状は全身に枝分かれして現れます。当院が向き合うのは、噴き出した症状ではなく、噴き出させている側です。
このページでは、更年期障害を東洋医学がどう見るのか、タイプごとに何が違うのか、どのツボを使うのか、そして雪と寒さの長い札幌で何が起きているのかを、順を追ってお話しします。

こんなお悩みはありませんか
- 突然カーッと顔や上半身がほてり、汗が噴き出す(ホットフラッシュ)
- 上半身は暑いのに、足やふくらはぎだけが冷たい
- 理由もなくイライラして、家族にあたってしまう。急に涙が出る
- 寝つきが悪い。寝汗をかいて夜中に着替える。途中で目が覚める
- 頑固な頭痛や肩こりが続き、痛み止めやマッサージが手放せない
- 喉に何かがつかえたような違和感、動悸、理由のわからない不安感がある
- 朝から体が重く、意欲がわかない。むくみやすく、夜間にトイレで目が覚める
- 婦人科で「更年期障害ですね」と言われ、薬をもらったが落ち着かない
ひとつでも当てはまるなら、それは気のせいでも、気力が足りないせいでもありません。更年期障害は、体の土台が大きく揺らいでいるときに起こる、はっきりとした体の変化です。
そして、これほどばらばらに見える症状が同じ時期に一斉に噴き出すことには、理由があります。次の章から、その理由を順にお話しします。

更年期障害とはどんな状態か
更年期とは、閉経を挟んだおよそ10年間を指します。平均するとおよそ45〜55歳。この時期に、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に落ちていきます。
ただし、ここで起きているのは「ホルモンが減った」という一点の変化ではありません。卵巣はもう応えられないのに、脳は「もっと出しなさい」と指令を送り続けます。応えられない状態が続くと脳は混乱し、その混乱が自律神経へ波及していく。体温調節、睡眠、情緒、消化、血流——命を支える土台の機能が、一斉に揺らぎはじめます。
のぼせも、冷えも、不眠も、イライラも、動悸も、頭痛も、すべてこの「土台の揺らぎ」から枝分かれして出てきています。症状が全身に散らばり、人によってまったく違う形で現れるのは、そのためです。
さらにこの年代は、親の介護、子どもの自立、職場での立場の変化といった生活上の転機と重なりやすい時期でもあります。我慢と気疲れが積み重なれば、体の揺らぎはいっそう大きくなります。「同じ年齢なのに、あの人は平気そうなのに」——その差が生まれるのは、体の土台の強さと、抱えているものの重さが人それぞれ違うからです。
裏を返せば、土台さえ底上げできれば、揺れ幅は小さくしていけるということでもあります。
更年期は50代だけではありません——年代ごとの現れ方
「更年期」と聞くと50代の女性を思い浮かべる方が多いのですが、不調が現れはじめる時期には、もっと幅があります。年代によって出方が違うので、代表的な現れ方を並べてみます。
プレ更年期(30代後半〜40代前半)
閉経はまだ先なのに、疲れが抜けない、わけもなくイライラする、生理周期が乱れる、手足が冷える——そんな不調がぽつぽつ出はじめる時期です。「若年性更年期」と呼ばれることもあり、年齢的にまだ更年期とは思わないため、本人も周囲も気づきにくいのが特徴です。ホルモンが大きく動きだす前の、いわば揺らぎの入り口にあたります。
40代
女性ホルモンが本格的に揺らぎはじめ、ホットフラッシュ、動悸、気分の落ち込みなどが出やすくなります。仕事の責任が増し、子育てや親の介護と重なりやすい年代でもあり、心身ともに消耗しがちです。「疲れているだけ」と見過ごしているうちに、不調が積み重なっていくことも少なくありません。
50代(閉経前後)
症状がもっとも強く出やすい時期です。のぼせ・発汗といったホットフラッシュに加え、不眠、関節のこわばりや痛み、気分の波などが重なって現れます。閉経という大きな変化に体がついていこうとしている、いわば揺れ幅が最大になる局面です。
男性更年期
更年期は女性だけのものではありません。男性にもテストステロンの低下による更年期があり、おおむね50〜60歳ごろに、だるさ、意欲の低下、ほてり、寝つきの悪さといった形でじわじわ現れます。女性ほど急激でないぶん気づかれにくく、「歳のせい」で片づけられがちです。当院では男性のご相談もお受けしていますので、思い当たる方はご遠慮なくお声がけください。
東洋医学では、こうした年代ごとの不調を、いずれも「腎(じん)」の力の衰えと「気血(きけつ)」の巡りの乱れとしてとらえます。腎は成長・老化・生殖を支える生命の土台で、年齢とともに少しずつ目減りしていきます。腎が細ってくると気血の巡りも滞りやすくなり、のぼせや冷え、気分の揺れといった不調が、年代を問わず表に出てきます。だからこそ当院は、噴き出している症状を一つずつ追いかけるのではなく、体の土台そのものを整えることを軸に、はり治療を組み立てます。
同じ「腎を補い、気血を巡らせる」という方針でも、年代によって重心は変わります。プレ更年期や40代では、忙しさや気疲れで滞った気の巡りを流し、揺らぎはじめた土台を早めに支えることに重きを置きます。50代の閉経前後は、消耗した潤い(陰)を補いながら、上に偏った熱を下ろし、揺れ幅を穏やかにしていきます。男性の場合も、腎を補うという土台は変わりません。年代が違っても、体の状態を確認しながらその方に合わせて整えていけるのが、東洋医学の鍼灸の強みです。

なぜ、薬でもマッサージでも繰り返すのか
更年期障害が病院でも薬でもマッサージでも繰り返すのは、それぞれが「結果」に手を当てていて、「なぜその結果になったか」に届いていないからです。ここを取り違えたままだと、通う先を変えても同じことが起こります。
ホルモン補充療法(HRT)で落ち着かない方がいる理由
婦人科で行われるホルモン補充療法は、減ってしまったエストロゲンを外から足す方法です。血液検査のホルモン値という一点は、確かに動きます。
けれど前章で見たとおり、更年期の不調はホルモン値が下がったこと「だけ」で起きているのではありません。揺らいでいるのは、自律神経に支えられた体の土台そのものです。ホルモンという一点を外から補っても、その土台が立て直るわけではない。だから「薬は使っているのに落ち着かない」という状態が起こります。
加えて、不正出血・胸の張りや痛み・胃のむかつきといった副作用が出て続けられない方もいらっしゃいます。更年期はおよそ10年続く時期ですから、その全期間を薬で押さえ込み続けることへの不安も、当然のことだと思います。抗うつ剤や睡眠薬も同じ構造で、症状の出口を細くするだけで、噴き出している源は手つかずのまま残ります。
マッサージで数日しか持たない理由
更年期の肩こりや頭痛は、筋肉が疲れて硬くなったから起きているのではありません。上半身に熱と気が偏り、下半身が冷えて巡りが滞った結果として、肩や頭に現れています。硬い場所をほぐせばその場は軽くなりますが、偏りを生んでいる体の内側は何も変わっていないので、数日で元に戻ります。「揉んでもらった直後はいいのに、また戻る」というあの感覚には、こういう理由があります。
東洋医学は土台のほうを見る
東洋医学は、噴き出した症状ではなく、噴き出させている土台のほうを見ます。更年期障害の場合、その土台にあるのが「腎(じん)」の衰えです。腎という一つの根が弱り、そこに何が重なるかで症状の顔つきが変わる。症状が全身に散らばって見えるのは、根が一つで、枝が多いからです。
ですから、枝を一本ずつ切り落とすのではなく、根である腎を補い、気・血・水の巡りを整える。そうして土台が底上げされてはじめて、多岐にわたる症状がまとめて静かになっていきます。繰り返す理由は「効く薬に出会えていないから」ではなく、「根に手が届いていないから」なのです。

東洋医学から見た更年期障害の根本
東洋医学では、更年期障害の根本には「腎(じん)」の働きの衰えがあると考えます。腎は現代医学でいう腎臓とは違い、生命エネルギーの貯蔵庫にあたる臓腑です。成長・老化・生殖といった、人の一生を通じた根本の営みを支えています。
古典では、女性の体は7の倍数で節目を迎えるとされます。7歳で歯が生え変わり、14歳で月経がはじまり、28歳で体が最も充実し、35歳を過ぎると衰えが顔に出はじめ、そして49歳前後で腎のエネルギー(腎精)が大きく落ちて閉経へ向かう。この腎のエネルギー不足を「腎虚(じんきょ)」といい、更年期障害の多くはここから生じます。
腎虚は、さらに二つの方向に分かれます。
ひとつは腎陰虚(じんいんきょ)。体を潤し、冷ます側の力である「陰」が足りなくなった状態です。潤いという蓋を失った熱が上へ昇り、のぼせ・ほてり・寝汗・喉の渇きとして噴き出します。
もうひとつは腎陽虚(じんようきょ)。体を温める側の力である「陽」が足りなくなった状態です。腰から足が芯から冷え、むくみ、倦怠感、意欲の低下が前に出ます。
この二つは正反対の状態であり、補うべきものも、選ぶツボも、まったく変わります。「更年期だから、更年期に効くツボを打つ」という考え方が通用しないのはそのためです。どちらに傾いているのかを見極めることが、鍼灸のすべての出発点になります。
さらに実際の体では、この腎虚という土台の上に、気の滞り(肝気鬱結)や血の澱み(瘀血)が重なってきます。イライラや喉のつかえ、頑固な頭痛や肩こりは、そこから出てきます。次の章で、あなたがどのタイプに近いかを一緒に見ていきましょう。
東洋医学は、更年期障害を「体の節目に生じる腎の衰え」ととらえます。腎を補い、気・血・水の巡りを整えることで、ひとつの症状だけでなく体全体の機能が底上げされていきます。ばらばらの症状を、ばらばらのまま追いかけない——これが根本からのアプローチの考え方です。

東洋医学から見たタイプ別|あなたはどれに近いですか
同じ「更年期障害」でも、体の中で起きていることは人によって違います。ここでは代表的な4つのタイプを挙げます。当てはまる項目が多いものが、いまのあなたに近い状態です。複数にまたがることも珍しくありません。
① 腎陰虚タイプ|のぼせ・ほてりが中心
- 突然カーッと顔や上半身がほてり、汗が噴き出す(ホットフラッシュ)
- 上半身は暑いのに、足やふくらはぎは冷たい
- 寝汗をかいて夜中に着替える。寝つきが浅く途中で目が覚める
- 手のひら・足の裏がほてる。口や喉が乾く
- 耳鳴り・めまい・腰のだるさが一緒にある
なぜそうなるか。腎虚のうち、体を潤し冷ます「陰」が足りなくなった状態です。潤いという蓋を失った熱が上へ昇り、のぼせ・ほてり・寝汗として噴き出します。夜に汗をかくのは、こもった熱を体が逃がそうとしているためで、東洋医学ではこれを「盗汗(とうかん)」と呼びます。さらに腎の陰が肝を養えなくなると、肝の陽気が過剰に昂る「肝陽上亢(かんようじょうこう)」を招きやすく、のぼせに加えてめまい・耳鳴り・頭に血が昇るようなイライラが重なります。
どうアプローチするか。熱を無理に散らすのではなく、足りない潤いを補うことが先です。腎経の太渓(たいけい)を軸に陰を補い、三陰交(さんいんこう)で脾・肝・腎を同時に養います。上に偏った熱は太衝(たいしょう)で鎮め、湧泉(ゆうせん)で足元へ引き下ろす。腰の腎兪(じんゆ)・志室(ししつ)に現れた反応も確認しながら整えていきます。潤いが戻るにつれ、のぼせの回数と勢いが少しずつ落ちてきます。
② 腎陽虚タイプ|冷え・だるさが中心
- 下半身、とくに腰から足にかけて芯から冷える
- 朝から体が重く、意欲がわかない。気力が続かない
- 顔や足がむくみやすい
- 夜間にトイレで目が覚める。トイレが近い
- 冷たいものでお腹をこわしやすい。もともと胃腸が弱い
なぜそうなるか。同じ腎虚でも、体を温める「陽」が足りなくなった状態です。腎の温める働きが落ちると、まず胃腸が冷え、そこから下半身の冷えへと広がります。腎は水分代謝も担うため、陽が不足すると水がさばけず、むくみや頻尿として現れます。熱の症状が目立たないので「更年期らしくない」と見過ごされがちですが、倦怠感・意欲の低下・冷えという形で出る更年期障害は決して少なくありません。腎は寒さに弱い臓腑とされ、冷えは腎の大敵です。
どうアプローチするか。陽を温め、巡りを促す方向で組み立てます。腎兪・志室にお灸で腰の芯から温め、三陰交・復溜(ふくりゅう)で下半身の巡りと水はけを助けます。関元(かんげん/へその下)で体の中心の温もりを立て直すこともあります。腎陰虚とは正反対の方針になるため、どちらのタイプかを四診法で正確に見極めることが出発点です。ご自宅では、足首から下を冷やさない、腰を温めるといったことを続けていただきます。
③ 肝気鬱結タイプ|イライラ・情緒の波が中心
- 理由もなくイライラし、家族にあたってしまう
- 気分の落ち込みと高ぶりの波が激しく、急に涙が出る
- 喉に何かつかえたような違和感がある
- ため息が多い。胸やわき腹が張って苦しい
- 寝つきが悪い。動悸や不安感がある
なぜそうなるか。気の巡りを司るのは「肝」です。更年期はちょうど、親の介護、子どもの自立、職場での立場の変化といった転機と重なりやすく、我慢や気疲れが続くと肝の気が滞ります。これを肝気鬱結(かんきうっけつ)といい、肝が全身に気血を行き渡らせる働き(疎泄作用)が低下した状態です。喉に梅の種がつかえたような感覚——東洋医学でいう「梅核気(ばいかくき)」は、更年期の女性にとくに多く見られる代表的なサインです。土台の腎虚にこの気の滞りが重なると、身体症状の上に情緒の激しい揺れが上乗せされます。
どうアプローチするか。肝の疎泄作用を高め、滞った気を流します。肝経の太衝を要に、精神的な症状には百会(ひゃくえ/頭頂)や内関(ないかん/前腕)を組み合わせます。喉のつかえには胸の膻中(だんちゅう)が有効です。そのうえで、土台である腎を補わなければ元に戻るため、腎への補法(ほほう)——足りない力を補う施術——と併せて組み立てます。「肩こりも冷えも不眠も別々の不調」ではなく、一つの滞りから枝分かれしたものとして、まとめて整えていきます。
④ 瘀血タイプ|頑固な頭痛・肩こりが中心
- いつも同じ場所に痛みが出る。頑固な頭痛や肩こりがある
- 顔色や唇がどす黒く、目の下のクマが目立つ
- 肌のシミ・くすみが増えた。あざができやすい
- 舌や歯ぐきが紫っぽい
- 冷えを伴う痛みがある。感情の起伏が激しい
なぜそうなるか。気の滞りや冷えが長く続くと、血そのものが澱んで流れなくなります。この状態を「瘀血(おけつ)」といいます。東洋医学には「不通即痛(ふつうそくつう)——通じざれば即ち痛む」という原則があり、気血が滞った場所に痛みが生じると考えます。更年期に入って頭痛や肩こりが急に頑固になり、マッサージや痛み止めでその場は軽くなってもすぐ戻る。その正体がこの瘀血であることは少なくありません。腎虚で巡らせる力が落ち、そこに冷え・ストレス・睡眠不足が重なって血が澱む——これが「揉んでも数日で戻る」痛みの中身です。
どうアプローチするか。痛む場所だけを狙う対症的な手当て(標治法)ではなく、血が澱む原因そのものに向かう本治法を優先します。三陰交で血を巡らせ体を温め、太衝で肝の働きを助けて血の流れを回復させ、足三里(あしさんり)で代謝を上げていきます。滞りが動きはじめると、痛みだけでなく、顔色やくすみといった見た目の変化として実感される方もいらっしゃいます。
どのタイプでも、土台にあるのは腎虚です。ですから当院は、目立つ症状を追いかける前に、まず腎という根を補うことから組み立てます。そのうえで、あなたに重なっている滞りや偏りをほどいていきます。

更年期障害に用いる主なツボ
更年期障害に対して当院がよりどころにする代表的な経穴(ツボ)をご紹介します。実際の施術では、その日の脈やお腹の状態を確認しながら組み立てますので、ここに挙げたものをすべて使うわけではありません。ご自宅で触れる場合は、強く押さないこと。指の腹でそっと触れる、手のひらで温める、その程度で十分です。痛いほど押すのは、かえって体を消耗させます。
三陰交(さんいんこう)
場所:足の内くるぶしの一番高いところから指4本分上、すねの骨(脛骨)の後ろ際にあるくぼみ。押すと鈍い響きがあることが多い場所です。
なぜここか:脾・肝・腎という3つの陰の経絡が交わる要所で、婦人科系の不調に幅広く用いられる代表的なツボです。更年期障害の根本にある腎を補いながら、血の巡りと体を温める力を同時に立て直せるため、のぼせ型・冷え型のどちらのタイプでも軸になります。迷ったらまずここ、と言えるツボです。
太渓(たいけい)
場所:足の内くるぶしの頂点とアキレス腱の間の、指がすっと沈むくぼみ。脈が触れるあたりです。
なぜここか:腎の経絡(足少陰腎経)の原穴で、腎のエネルギーが最も集まるツボとされます。更年期障害の土台である腎虚——とくに潤いが減って熱がこもる腎陰虚に対して、体の陰(潤い)を補い、上に昇った熱を鎮める方向に働きます。ほてり・寝汗・耳鳴り・腰のだるさが同時にある方に向きます。
湧泉(ゆうせん)
場所:足の裏。足の指をぐっと曲げたときに、土踏まずの少し上にできるへこみの中心。
なぜここか:腎経の出発点で、体に活力を与え、冷えやむくみを動かすツボとされます。更年期に多い「上半身はのぼせるのに足だけ冷たい」という上下のちぐはぐさに対し、上に偏った気を足元へ引き下ろす目的で使います。ご自宅では強く押さず、手のひらでさすったり温めたりする程度で十分です。
腎兪(じんゆ)
場所:腰。ウエストのいちばんくびれた高さで、背骨の中心から左右に指2本分外側。すぐ外側の志室(ししつ)とあわせて使うこともあります。
なぜここか:腎の気が背中に注ぐツボで、腎虚の反応が出やすい場所です。更年期障害では、腰のだるさ・下半身の冷え・夜間のトイレの近さなどと一緒に、この付近の張りやへこみとして体に現れます。ここを整えることで、腎を土台から底上げしていきます。ご自宅では、腰にカイロを当てて温めるだけでも助けになります。
太衝(たいしょう)
場所:足の甲。親指と人差し指の骨をたどって、2本の骨が合わさる手前のくぼみ。
なぜここか:肝の経絡の原穴で、気の巡りを司る肝に直接働きかけます。更年期に強く出るイライラ・情緒の波・喉のつかえ感・頭に血が昇るような感覚は、肝の気が滞る肝気鬱結や、腎陰の不足から肝の陽気が昂る肝陽上亢と関係します。滞りを流し、上に昇った陽気を鎮める要のツボです。
ツボ押しはあくまで補助です。どのツボをどう使うか、補うのか鎮めるのかは、タイプによって正反対になります。腎陽虚の方にのぼせ向けのアプローチをすれば、かえって冷えが深まることもあります。ご自身の判断で強い刺激を加えるより、まずは体がどちらに傾いているかを確認するところから始めてください。

札幌の冬と更年期障害
札幌の更年期は、他の土地の更年期と同じではありません。ここには、この街でしか起きないことがあります。
更年期障害の土台とされる「腎」は、五臓のなかで唯一、冬と寒さに対応する臓腑であり、そして冷えにもっとも弱い臓腑です。腎は寒さで真っ先に消耗する。だからこそ、11月から4月まで半年近く冬が続く札幌では、更年期の土台そのものが毎年削られやすい環境にあります。「冷えは腎の大敵」という東洋医学の原則が、この街ではそのまま生活の現実になっています。
暖房と雪が生む「上熱下寒」
とくに問題になるのが「上熱下寒(じょうねつげかん)」——上半身はのぼせて暑いのに、足だけが氷のように冷たいという、更年期にもっとも多い状態です。
札幌の冬は、これを二重に悪化させます。屋内は暖房で暑いほど暖まり、汗をかいて上半身の熱がさらにこもる。一方で足元は床から冷え、外に一歩出れば氷点下の空気と雪が下半身から容赦なく冷やしていく。この上下の落差こそが上熱下寒そのものであり、ホットフラッシュの引き金にもなります。「家の中では汗が噴き出すのに、外に出ると足が痛いほど冷える」——札幌の患者さんからよく伺う言葉です。
乾燥が「陰」を奪う
暖房で乾き切った室内の空気は、体を潤す「陰」を静かに奪っていきます。腎陰虚タイプの方——のぼせ・ほてり・寝汗・喉の渇きが強い方にとって、冬の乾燥は症状を確実に押し上げる要因です。夏よりも冬にのぼせが強くなるという方は、この乾燥と暖房を疑ってみてください。
日照の短さと、雪かき
冬の日照の短さも見過ごせません。気の巡りを司る「肝」は、日の光と活動に呼応します。暗く長い冬に外出が減り、体を動かす機会が減れば、気は滞りやすくなる。もともと更年期は気が滞りやすい時期ですから、そこに札幌の冬が重なると、イライラや気分の落ち込みが強く出やすくなります。腎を守るには冬に太陽の光を浴びることが秘訣だと東洋医学は説きますが、それがいちばん難しいのがこの街の冬です。
加えて雪かきです。凍った雪を持ち上げ、腰を使って投げる——腰は腎の宿る場所です。更年期で腎の力が落ちているところに、氷点下の外気のなかで腰に負担をかけ続ければ、腰のだるさ・重さは深まっていきます。雪かきのあとに腰が重い、疲れが抜けないという感覚は、単なる筋肉痛ではなく腎の消耗のサインかもしれません。
だから札幌で更年期を過ごす方には、腎を温め、上に偏った熱を足元へ下ろすという方針が、なおのこと理にかなっています。長い冬を毎年やり過ごすのではなく、その冬に耐えられる土台をつくること。当院が目指しているのは、そこです。

当院の鍼灸アプローチ
四診法による丁寧なカウンセリング
施術の前に、東洋医学伝統の「四診法」を用いてお体の状態を確認します。顔色や舌を目で確認する「望診」、声や呼吸から状態を把握する「聞診」、症状や生活習慣をお聞きする「問診」、脈やお腹に触れて内側の状態を読み取る「切診」——この4つを組み合わせて、あなたがどのタイプに傾いているのかを見極めます。
ここを飛ばすことはできません。腎陰虚と腎陽虚では方針が正反対になるからです。のぼせが主訴でも、体の芯は冷え切っているという方は少なくありません。訴えだけで決めず、体そのものに確かめる。これが出発点です。
経絡治療による根本へのアプローチ
当院では「経絡治療(けいらくちりょう)」と呼ばれる、鍼灸のなかでも本格的な技法を用います。全身を流れる経絡(気・血・水の通り道)に働きかけ、腎をはじめとする五臓の機能を高めていく方法です。
腎陰虚タイプには太渓を軸に陰を補い、上に昇った熱を太衝や湧泉で下ろす。腎陽虚タイプには腎兪・志室をお灸で温め、三陰交・復溜で下半身の巡りと水はけを助ける。肝気鬱結が重なっていれば太衝・内関・膻中で気の滞りを流し、瘀血が背景にあれば三陰交・足三里で血を動かす。どの場合でも、まず腎という根を補うところから組み立てます。
刺激は最小限です。更年期の体は、揺らいでいるぶん敏感になっています。強い刺激で無理に動かそうとすれば、かえって消耗します。当院のはり治療は、体が自分で立て直そうとする力に、そっと手を添えることを大切にしています。
使う道具について
鍼は髪の毛ほどの細さで、体への刺激を最小限に抑えたものを使います。すべて滅菌済みの使い捨て(ディスポーザブル)です。ご希望や体の状態によっては、皮膚に触れるだけで刺さない鍼を用いることもあります。お灸のもぐさは不純物の少ない国産最高級品を使用し、心地よい温感の範囲で行いますので、熱さを我慢していただくことはありません。
「鍼は怖い」「お灸は熱そう」という不安があって当然です。施術中は、感じ方を遠慮なく言葉にしてください。あなたの体のことは、あなたがいちばん知っています。

改善の目安と通院ペース
更年期障害は症状が全身に広がるぶん、体の土台から立て直す時間が必要になります。週1回の通院を基本とし、6〜8回(約2か月)で改善の手応えを感じ始め、3〜4か月の継続で体質から変わってくるのが一般的な目安です。
症状が重い方や、長く続いている方は、最初の1か月だけ週2回のペースにしていただくと変化を感じやすくなります。体の反応を確認しながら、無理のないペースで進めていきます。
変化の現れ方には順番があります。多くの場合、まず眠りと足元の温かさが先に動きます。次に、のぼせの回数と勢いが落ちてくる。イライラや気分の波が穏やかになるのは、そのあとです。「まだのぼせは出るけれど、以前ほど引きずらなくなった」——そんな段階を通って、体は少しずつ変わっていきます。
鍼灸は、薬のように症状を押さえ込むものではありません。体質を底上げしていく積み重ねです。更年期という時期そのものは誰にでも訪れますが、その揺れ幅は小さくしていけます。急がず、確実に、一緒に進めていきましょう。

よくあるご質問
Q. 婦人科でホルモン補充療法(HRT)を受けています。鍼灸と併用できますか?
併用して問題ありません。実際、婦人科に通いながら鍼灸に来られる方は多くいらっしゃいます。鍼灸はホルモン量を薬のように操作するものではなく、体全体のバランスを整えて自分の力を底上げしていくものなので、薬の作用を打ち消すような性質のものではありません。服用中・使用中のお薬がある場合は、初回のカウンセリングで必ずお知らせください。薬をやめるかどうかは処方した医師の判断ですので、当院から中止をお勧めすることはありません。
Q. 更年期障害は結局「年齢のせい」で、鍼灸を受けても変わらないのでは?
更年期という時期そのものは、誰にも訪れる体の節目です。ただ、同じ年齢でもほとんど症状が出ない方と、寝込むほどつらい方がいます。この差が出るのは、閉経という変化に体がついていけるだけの土台があるかどうかの違いです。東洋医学では、この土台を「腎」の力と考えます。腎を補い、気・血・水の巡りを整えることで、変化に振り回されにくい体に近づいていく——鍼灸ができるのはそこです。年齢は戻せませんが、揺れ幅は小さくしていけます。
Q. ホットフラッシュ(のぼせ・発汗)だけが症状です。それでも鍼灸の対象になりますか?
なります。むしろ、のぼせとほてり、汗は東洋医学ではとらえやすい症状です。体を潤す「陰」が減って熱がこもり、その熱が上半身に昇っている状態(腎陰虚)として理解します。同時に足元は冷えていることが多く、「上半身は暑いのに足だけ冷たい」という方は典型です。熱を無理に散らすのではなく、足りない潤いを補い、上に偏った熱を下ろす方向でアプローチしていきます。
Q. 鍼は痛くありませんか。熱いお灸は苦手です。
当院の鍼は髪の毛ほどの細さで、注射針とはまったく別のものです。刺した感覚がほとんどないとおっしゃる方が多く、施術中にうとうとされる方もいらっしゃいます。すべて滅菌済みの使い捨て(ディスポーザブル)です。ご希望や体の状態によっては、皮膚に触れるだけで刺さない鍼を用いることもあります。お灸も心地よい温感の範囲で行いますので、我慢していただくことはありません。
Q. 何回くらい通えばよいですか?
週1回の通院を基本とし、6〜8回(約2か月)で改善の手応えを感じ始め、3〜4か月の継続で体質から変わってくるのが一般的な目安です。更年期障害は症状が全身に広がるぶん、体の土台から立て直す時間が必要になります。症状が重い方や長く続いている方は、最初の1か月だけ週2回のペースにしていただくと変化を感じやすくなります。
Q. 男性ですが、更年期の不調にも対応してもらえますか?
対応しています。男性の更年期はおおむね50〜60歳ごろで、女性ほど急激ではないぶん、倦怠感・気力の低下・不眠・イライラといった形でじわじわ現れることが多いです。東洋医学の見立ては共通していて、加齢による腎のエネルギー不足が土台にあります。腎を補うという方針は男女で変わりません。
Q. 喉に何かつかえた感じや、動悸・不安感もあります。更年期と関係がありますか?
関係していることが多いです。喉に梅の種がつかえたような違和感は東洋医学で「梅核気(ばいかくき)」と呼ばれ、気の巡りを司る「肝」が滞る肝気鬱結の状態から生じます。これは更年期の女性にとくに多く見られます。動悸・不安感・寝つきの悪さも同じ根から出てくることが多く、症状の一つひとつを別々に扱うのではなく、滞りそのものを流していくことで、まとめて落ち着いてくることが期待できます。
Q. 施術のあと、だるくなったり眠くなったりすることはありますか?
初めての方や、長く緊張が続いていた方では、施術後に強い眠気やだるさが出ることがあります。これは体が休息モードに切り替わったときに起こりやすい反応で、多くは1日ほどで落ち着きます。その日は予定を詰め込まず、いつもより早めに休んでいただくと、翌朝の体の軽さを実感しやすくなります。気になる変化があれば、次回のご来院時に遠慮なくお伝えください。

更年期のつらさ、一人で抱え込まないでください
「年のせいだから」と我慢するには、更年期障害はあまりにも長く、あまりにもつらいものです。札幌の東洋中村はり灸院では、東洋医学の視点からあなたの体質とお悩みに向き合い、鍼灸でできることを丁寧にお伝えします。
はじめての方も、他の鍼灸院で効果を感じられなかった方も、まずはLINEでお気軽にご相談ください。症状の詳細や通院ペースについてもお答えします。

初めての方へ
不安なことや現在の状態について、まずはお気軽にご相談ください。

院長プロフィール

中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
「森を見て木を治す」東洋医学の視点で、腰痛、肩こりをはじめ、坐骨神経痛・生理痛・顔面神経麻痺・潰瘍性大腸炎・耳管開放症など、原因不明・治療法が限られる慢性疾患を中心にはり治療を行っています。
