鍼とお灸だけで症状が改善するのはなぜ?体に備わる力を引き出すという考え方
薬に頼らず、鍼とお灸だけでなぜ体調が整っていくのか——不思議に思う方も多いのではないでしょうか。
東洋医学は、鍼灸そのものが症状を直接改善させているのではなく、気・血・水を巡らせ、五臓のバランスを整えることで、体が本来持っている自然治癒力を引き出すと考えます。ここでは、そのシンプルな仕組みについてご紹介します。
「陰陽」「虚実」「補瀉」——東洋医学には、体の状態を見極め、鍼灸で整えていくための独自の考え方があります。ここでは、鍼とお灸という限られた道具だけで、なぜさまざまな不調に対応できるのかを、順を追ってご紹介します。

鍼灸が引き出しているのは「自然治癒力」という力
鍼やお灸そのものが、症状を直接改善させているわけではありません。髪の毛ほどの細さの鍼で皮膚や筋肉にわずかな刺激を与えたり、お灸でじんわりと温めたりすることで働きかけているのは、もともと体に備わっている「自然治癒力」——バランスを保とうとする力です。
具体的には、乱れた自律神経を整えたり、血流を促してホルモンバランスに働きかけたりする力を引き出すことだと考えられています。東洋医学では、この働きを「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素の巡りとして捉え、経絡というツボの通り道を介して全身に届けていきます。
気・血・水を巡らせる、経絡という通り道
気は体を動かす働き、血は栄養や潤いを運ぶもの、水はそれ以外の体液を指します。この3つが過不足なく巡っている状態が、東洋医学の考える「整った体」です。鍼とお灸は、経絡上にあるツボを通じてこの巡りに働きかける、いわばスイッチのような役割を果たしています。
肩や腰など、痛むところに直接鍼を打つだけでも一時的に楽になることはありますが、当院ではそれだけでなく、気血水の巡りそのものを整えることで、体質から変わっていく土台をつくることを大切にしています。

「不足」か「巡りの滞り」かを見極めて整える
東洋医学では、あらゆる不調を大きく「陰陽」「虚実」という物差しで捉えます。虚実とは、力が足りていない状態(虚)か、余分なものが滞ってしまっている状態(実)かということです。使いすぎや消耗によって本来の力が目減りしているのが「虚」、逆に何かが入り込んだり滞ったりして過剰になっているのが「実」、という2つの方向で不調を見立てていきます。
虚には補うように、実には抜くように——鍼とお灸で、それぞれに合った働きかけをすることを「補瀉(ほしゃ)」と呼びます。鍼の太さや刺す深さ、お灸の壮数(回数)などを使い分けることで、補うか抜くかを調整していきます。
当院が「補う」ことを大切にしている理由
現代人の不調の多くは、忙しさやストレス、生活習慣の乱れによる「消耗」——気血水が不足している状態から起こりやすいと、当院では考えています。そのため、コリや痛みを引き算のように取り除くのではなく、足りない力を補って立て直すという視点を大切にしています。

鍼とお灸だけで、さまざまな症状に対応できる理由
肩こりや腰痛だけでなく、頭痛、胃腸の不調、めまい、自律神経の乱れなど、鍼灸が対応できる症状は幅広いとされています。その理由は、鍼灸が痛みのある場所だけでなく、肝・心・脾・肺・腎という「五臓」全体のバランスを整えることを目指しているためです。
五臓は、それぞれ気血水をつくり、巡らせ、蓄える役割を担っており、互いに影響し合っています。たとえば、胃腸の働き(脾)が弱ると気をうまくつくれず疲れやすくなり、ストレスで肝の巡りが滞ると自律神経の乱れにつながる、といった具合です。当院の経絡治療では、脈やお腹から今どの臓腑の働きが弱っているかを確認し、全身のバランスという土台を整えたうえで、つらい症状にも向き合っていきます。
体質から変わるまでの目安
鍼とお灸による働きかけは、一度で劇的に変わるものではなく、体が本来の力を取り戻していく過程を後押しするものです。週1回の通院を基本とし、6〜8回(約2か月)で改善の手応えを感じ始め、3〜4か月の継続で体質から変わってくるのが一般的な目安です。焦らず、ご自身の体のペースに合わせて向き合っていくことが、遠回りのようで一番の近道だと考えています。

体に備わる力を、鍼とお灸で引き出してみませんか
気・血・水の巡りと五臓のバランスは、脈やお腹から実際に確認するとより分かりやすくなります。東洋中村はり灸院は、国家資格を持つ鍼灸師が東洋医学一筋で施術を行う、札幌の鍼灸専門院です。長引く不調・繰り返す症状など、些細なことでもお気軽にご相談ください。
初回はカウンセリングに時間をかけ、お体の状態をしっかり把握したうえで施術を行います。LINEからいつでもご相談・ご予約いただけます。

初めての方へ
不安なことや現在の状態について、まずはお気軽にご相談ください。

院長プロフィール

中村 麻人(なかむら あさと)
札幌「東洋中村はり灸院」院長・鍼灸師。
脈・腹などから全身の状態を見立てる伝統的な手法を軸に、その方に合ったはり・お灸を組み立てています。コリや痛みを引き算のように取り除くのではなく、足りない力を補って立て直すという視点を大切に、肩こり・腰痛から原因がはっきりしない慢性的な不調まで、体質そのものから整えることを目指してはり治療を行っています。
